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サービスアパートメントの定義と特徴

執筆|石丸 栄一 オークウッド 営業・事業開発本部長

  • 宿泊施設
  • 長期滞在
  •  日本では、サービスアパートメントには法的な定義や基準は設けられておらず、業界団体も組織されていない。そのため定義の明確化は困難だが、サービスアパートメントについておおよそ共有されている理解は以下のとおりであり、本稿でもこれに沿って述べることとする。
     家具、家電、調理器具や食器が完備されたフルキッチン、洗濯乾燥機など、居住に必要な機能が揃ったマンションで、ハウスキーピングやリネン交換、フロント・コンシェルジュサービスを付帯する。通常、1か月以上の定期建物賃貸借契約を結び、ほとんどの場合敷金・礼金は不要、賃料には水光熱費、インターネット接続費用、ケーブルテレビ視聴料が含まれる。
     すなわち、賃貸住宅同様の居住施設でありながら、居住者が家具や備品を用意する必要がなく、ホテルのようなサービスを受けることができるのが、サービスアパートメントの特徴である。また、契約も1か月から可能である。
 さらにサービスアパートメントの特色といえるのが、コミュニティの存在である。主要顧客となる欧米からの赴任者・出張者のライフスタイルを踏まえ、また海外を本拠とするサービスアパートメントオペレーターの進出も背景に、ほとんどのサービスアパートメントでは居住者同士の交流を図るハード・ソフトが備わっている。たとえば居住者用のラウンジがあり相互交流が自然発生するようになっていたり、居住者向けの交流会やイベントを定期的に開催するなどである。
 他者とのコミュニケーションを楽しみ、ネットワークを広げ、日本滞在の思い出づくりにもなるこのような仕掛けは、居住者に喜ばれると同時にサービスアパートメントの魅力を高める不可欠な要素になっている。

ホテル、賃貸住宅と比較した場合のメリット・デメリット

 契約形態、設備、サービス等を、ホテルや賃貸住宅に比較すると下記の表のようになる。ホテルと賃貸住宅それぞれの利点を融合させたものがサービスアパートメントといってもよいだろう。

サービスアパートメントと賃貸住宅とホテルの違い

サービスアパートメントと賃貸住宅とホテルの違い
                                       資料:筆者作成
 サービスアパートメントは、日本に赴任してきたり、中長期の出張で日本を訪れる外国人ビジネスパーソンを中心に、日本人エグゼクティブやセカンドハウス、自宅リフォーム中の仮住まいとしても利用されている。施設にもよるが、このような層にとってサービスアパートメントントは次のようなメリットおよびデメリットがある。

ホテルとの比較

【メリット】
・同じ期間、同じ広さの部屋のホテルに宿泊するよりも料金(宿泊料・賃料)が安価
・自炊が可能、館外からデリバリーをオーダーすることも可能
・自分で洗濯が可能
・自分のペースで生活ができる
・住宅ならではのくつろぎを感じられる
・館内はプライベート空間(ホテルは公共性があり、不特定多数が訪れる)
・ペットが飼える(不可の施設もあり)
                                     資料:筆者作成
【デメリット】
・フロントサービスが24時間対応でない場合、日本到着の時間によってはチェックイン(入居開始手続き)ができないなどの可能性がある
・1か月未満の滞在でも、1か月ぶんの賃料が発生する
・清掃やリネン交換は毎日ではなく、アメニティグッズも一定量以上は自分で用意することが必要
                                     資料:筆者作成
(つづきは本書で)

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[タイプ別]サービスアパートメントの開発・運営計画資料集
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