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新型コロナ緊急調査から見えてきたアクティブシニアの「巣ごもり消費」の実像

  • シニアビジネスマーケット
  • 新型コロナウイルス
博報堂シニアビジネスフォース
新大人研 所長 安並まりや
 博報堂シニアビジネスフォース(旧博報堂新しい大人文化研究所)は、2000年よりシニア生活者の動向を定期的に調査しています。今回新型コロナウイルスの流行がアクティブシニアにどのような影響を及ぼしているかについての緊急調査を、潟Iースタンスの「趣味人倶楽部(しゅみーとくらぶ)シニアコミュニティラボ」と共同で行ないました。調査の結果、見えてきたのは、デジタルを駆使して情報収集をし、他者とのつながりを求め、在宅生活を充実させようとする“能動的”なシニアの姿でした。本稿ではその調査結果と、コロナ禍下におけるアクティブシニアの巣ごもり消費傾向を仮説も交えてお伝えします。
※本稿では、「趣味や交流を楽しんでいる活動的な60歳以上の方」をアクティブシニアと呼んでいます。

アクティブシニアの8割がネットで新型コロナウイルスに関する情報を収集

 今回の調査結果で最も興味深かったのは、情報行動についてです。シニアのメディアといえばテレビや新聞などを思い浮かべがちですが、アクティブシニアの82・7%が、インターネットで新型コロナウイルスに関する情報を収集していることがわかりました。ほぼテレビ(93.3%)に並ぶ2大情報ソースになっています。新型コロナウイルスという未曾有の事態において、複数のメディアから正しい情報を得たい、不安を払拭するための情報を能動的に得たい、というニーズをネットニュースは満たしているのだと思います。
 実際に日常生活で気を付けていることとして「3密(密閉空間、密集場所、密接場面)を満たす場所を避ける」と答えた人はアクティブシニアの79.9%でトップと、感染の直接的原因となる状況を極力回避したい気持ちがうかがえます。男性(77.2%)よりも女性(87.2%)のほうが回避に積極的のようです。ほかに気を付けている点として「こまめな手洗い」「不要不急の外出を避ける」「手指の消毒」はいずれも約7割が実施しています。女性は「不要不急の外出を避ける」のほか、「複数人での宴会や人が集まる場所に行くのを避ける」「同居していない家族や友人と会わない」等、さまざまな項目において男性よりも高く、防御姿勢がより強いことがわかります。ウイルスに対して防衛する手段の1つとして、ネットニュースから能動的に情報を得ている姿が今回の調査を通じて浮き彫りとなりました。

健康的なライフスタイルの質を高める知恵や商品・サービスに注目が集まりそう

 新型コロナウイルスをきっかけに、以前よりも意識するようになったことについて聞いたところ、「家族を大切にしたい」(53.3%)という気持ちが高まっています。そのほか、家で過ごす時間を充実させたい」(46.3%)、「健康のために運動をしたい」(46.1%)と続き、家族とのコミュニケーションをサポートするものや、健康的なライフスタイルの質を高める知恵や商品・サービスに注目が集まりそうです。女性は特に「家の中をきれいに保ちたい」(42.6%)、「自宅で作る料理を充実させたい」(28.6%)が全体より10ポイント以上高く、巣ごもり生活を充実させたい気持ちは女性のほうが高いことがわかりました。

新型コロナウイルスをきっかけに以前よりも意識するようになったこと

出所:「新型コロナウイルスによる生活への影響に関するアンケート」
   博報堂シニアビジネスフォース、趣味人倶楽部シニアコミュニティラボ

オンライン活動が加速する一方でリアルでは「捨て活」の動きも

 オンラインで生活を充実化していく兆しがみえる一方、こんなデータも。新型コロナ前と比べて家での時間の過ごし方として、「不用品の片づけ・処分」をすることがふえたと答えた人は3割にも上ります。以前から家の掃除や身辺整理も兼ねて「捨て活」を行なうシニアは多くみられましたが、自粛生活でそれが加速化しているようです。東京などの大都市で粗大ごみの予約がふえていることが報道されていたり、筆者の家の近所でも、「ご自由にお取りください」というメッセージとともに玄関やガレージに捨て活で出てきた不用品を並べている家を何軒か見かけました。
 この調査ではフリマアプリ利用がふえたと答えた人は約1%でしたが、今後捨て活した後、不用品をフリマアプリで出品する活動がシニアにおいてもふえていくのではないでしょうか。

ウィズコロナで「巣ごもり消費」はこう変わる

 これまでのアクティブシニア市場は、旅行やフィットネス、観劇等、外での消費を中心に語られることが多かったかと思いますが、コロナ禍により自粛生活が長引き、消費の中心が家にシフトしている状況は、今後も変わりにくいことが予想されます。消費の多くが「巣ごもり化」するウィズコロナ期において、シニアの消費動向がどのように変わっていきそうか、調査結果を元にちょっと大胆に予測してみました。
(続きは本誌で)
月刊シニアビジネスマーケット
2020年6月号

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