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――ゴールドマン・サックス|双日

再生力で過熱化市場回避
あらゆる案件を取得検討

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  • インタビュー

外銀、商社のタッグチーム

 ゴールドマン・サックス(GS)と双日は、賃貸住宅投資の新会社(以下JV、出資比率はGS:双日=75:25)を設立する。取得対象は、主に東京、名古屋、大阪の三大都市圏所在で新耐震基準の物件。1棟10億円程度が目安となる。特徴は、新築・築浅物件の“高値買い”を避け、築古物件の取得、バリューアップで投資妙味を確保すること。今夏より事業を開始し、初年度約300億円、次年度以降は年間400〜500億円を投資する計画。

SNUDが投資した賃貸住宅「メゾン南柏綾」

出所:双日新都市開発
 JVの設立は、両社の成長戦略を加速させるためものだ。まずGSは、国内で年間2,000〜3,000億円の不動産投資を実行中だが、うち賃貸住宅は100〜200億円規模にとどまる。投資拡大を阻むのは、賃貸住宅の1棟単位の小ささ。投資効率の面からバルクセール以外の取得機会が限られていた。「住宅開発・再生・運営の知見と専門人材を抱える双日グループとのタッグで、1棟単位からの取得検討、価値向上への取組みが可能になる」(アセット・マネジメント部門 マネージング・ディレクター 木下満氏)。
 一方の双日は、子会社の双日新都市開発(SNUD)を通じて、2015年より賃貸住宅投資、開発事業を開始、累計の投資額は15棟、約300億円に達する。しかし自己勘定投資のため事業規模の拡大には限界があった。「世界屈指の資金力と投資家ネットワークを誇り、不動産マーケットにも存在感のあるGSとの協業は話題性抜群。案件獲得スピードも一挙に拡大できる」(SNUD 代表取締役社長 水池祐氏)。

新築相場目指し価値加える

 SNUDが築古物件をバリューアップした代表例が、2018年に投資した「メゾン南柏綾」(東京都足立区)である。1991年竣工、全33戸、3LDK(60u)中心のファミリー向けマンションだ。取得後のリノベーション工事で、専有部の水回り、間取りを全面的に改修した。特徴は、公園隣接の立地特性を活かして、内装に緑、自然などのテーマ性を強く打ち出したこと。壁や床にも自然由来の素材を採用した。その結果、賃料は約30%アップ、稼働率はほぼ100%となった。
 JVでのバリューアップも、メゾン南柏綾と同様に、立地特性や地域の賃貸ニーズを分析・把握し、SDGsなどテーマ性のあるバリューアップを実行する。目指すのは「新築相場に近い賃料水準」(水池氏)だという。そのため、SNUDが分譲マンションの商品開発で培ったノウハウと人材を動員、マーケティング、リーシング活動を徹底する方針。双日グループが得意とする太陽光パネルの供給なども検討する。さらに、GSグループのプライベート・エクイティ・ファンドの投資先であるテックベンチャーの商品を積極投入することで「DXの観点でも物件の価値を高めたい」(木下氏)という。

「メゾン南柏綾」

出所:双日新都市開発

全方位的に取得機会を探索

 JVの取得戦略では、両社が誇る国内外の顧客ネットワークをフル活用する。さらに不動産M&Aの手法も積極的に検討。築古物件以外にも新築、築浅物件への投資機会も引き続き探索する考え。「あらゆる案件に取得検討の用意がある。最小ロットで1棟5億円程。物件タイプは一般的な賃貸マンションのほか学生専用住宅にも目を向けている」(水池氏)。
 JVを通じた投資残高は、数年間で1,000〜2,000億円まで拡大させる。個別物件の収益性を高めた後、400〜500億円程度の単位で一括売却する方針。出口戦略は検討中だが、海外コア投資家への一括売却を有力シナリオとみる。「日本の賃貸住宅市場は規模、流動性の面で世界最大級であり、賃料や稼働率も抜群に安定していることが魅力。建て替えずに再生するバリューアップ手法もSDGsに配慮する投資家のニーズと合致する」(木下氏)。
 なお、GSでは賃貸住宅以外の資産タイプも、今回と同様の座組みで共同投資を行うパートナーを探索中とのことだ。
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