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――インテレクト

電気代2割減のインパクト
不動産収益と環境価値生むPM

  • PM
  • 環境価値

中小ビルのPM品質をAクラスビル並みに

 インテレクトは、不動産のコンサルティングおよびPM、再生可能エネルギー施設のコンサルティングおよびO&M、両分野に関するCMおよび設計・監理、工事などを手がけている。

 PM事業には2019年より参入。主に一般事業会社のオーナーから、延床面積500〜3,000u程度の中小ビル(オフィス・店舗)を中心に、首都圏と福岡にて15棟のPMを受託している(2021年12月現在)。企業経営に関わる不動産コンサルティングと合わせてPMを受託するケースが多いほか、直近ではエネルギー関連のサービス(後述)とPM提案を同時に行うケースもあるという。

PM受託物件「NX福岡大手門テラス」

出所:インテレクト
「“ 不動産価値と環境価値の創出” が当社のモットー。ESGに対する関心はあれども、何をすべきかわからない中小ビルオーナーは多いとみられる。リーシングや設備管理などに加え、エネルギー関連の付加価値向上提案を図ることで、中小ビルにAクラスビル同等のPMサービスをもたらしていく」と話すのは、代表取締役会長の金丸直幹氏。同氏は総合不動産会社や再エネ事業のJAG国際エナジーで代表取締役社長を務めたのち、インテレクトの代表に就任した。

 ちなみに再エネ施設のO&Mについては、太陽光発電所61か所(総出力77.2MW)のほか、地熱バイナリー発電所の実績も有する。

電気代を年間2割削減

 再エネ事業のノウハウを活かしたエネルギー関連のサービスが、インテレクトの得意とするところだ。そのサービスメニューをみていくと、まず新電力への切り替えによる電気代削減提案がある。複数の新電力会社を入札にかけて最適な電力会社を選定、年間12〜18%の電気代削減につなげている。インテレクトは電力契約の切り替え業務も代行、電気代削減分の数%をフィーとして徴収する。

 ビルの規模やスペックによっては、ソーラーパネルを屋上に設置し、電力を自家消費および販売することも提案。再エネ由来の電源確保や電気代およびCO2の削減を実現する。先述の新電力切り替えと合わせて電気代を年間20%程度削減できるケースもあるほか、売電まで実施すれば付帯収入を生み出すことにもつながる。オーナーからの反響はもちろんのこと、環境配慮への意識を強めるテナント企業からの反響もみられるそうだ。

「大企業がサプライチェーン全体での環境対応を要求されたことで、中小企業も環境対応に差し迫られるようになった。グリーン電力への需要はますます高まるとみられ、調達コスト的に自家発電の方が有利となりつつある」と金丸氏。

建物の屋上に設置されたソーラーパネル

出所:インテレクト
 ソーラーパネル設置には、300u以上を目安とするスペースのほか、耐荷重や防水の性能などに関する確認も必要となる。設置の可否検討から実際の設置までには3〜6か月(売電も実施する場合は電力会社との調整でさらに6か月)かかる目安で、投資回収までには10〜15年程度かかる目安だ。

 パネル設置にかかるEPC(工事)や設置後のO&Mはインテレクトが自らカバー。遠隔監視システムを導入することで、管理コスト削減と合わせてパネル故障の早期発見にもつなげている。

 またソーラーパネル以外にはBCP対応や地域防災に役立つ蓄電池導入も提案しており、国や自治体から出る補助金の申請支援まで手がける。そのほか、清掃・設備点検の業務プロセスや賃貸借契約の中身を見直すことによるコスト削減提案も行う。「オフィス賃貸市場は少しずつ需要が戻りはじめているが、いまだ不透明感は拭いきれない。無駄なコストは早急に省くことが重要」(金丸氏)。

新技術の取り入れに意欲

 インテレクトでは、エネルギー関連のさらなるサービス拡充を進める構え。たとえば先述したビル屋上の自家消費型ソーラーパネルに加え、ビル敷地外の遊休地を活用し太陽光発電所を設置、託送制度を利用し再エネ電力を調達する方法も提案する。

 またペロブスカイト太陽電池を用いたソーラーパネルの設置も検討する。これはペロブスカイトという結晶構造を用いた太陽電池のことで、現在研究開発が進められている。従来のシリコン系太陽電池に比べ軽くて薄く、曲げて使用できる特徴があり、ビルの壁面にも太陽電池を設置できるようになるという。

「実用化が進み市場流通価格も落ち着いた段階から導入を進めたい。壁一面をソーラーパネルで覆うと景観に影響がおよぶので、緑化と合わせて提案することになりそうだ」(金丸氏)。

 そのほか電気自動車の充電スタンドとソーラーカーポートの設置も検討している。ソーラーカーポートは充電に使われる電力をその場で生み出すのみならず、夏の猛暑時には日陰の役割、降雨時には雨よけの役割も果たす。とくに郊外型商業施設や物流施設の平置き駐車場で大きな設置効果が見込まれる。

ソーラーカーポートの設置イメージ

出所:インテレクト
 今後は一般事業会社のみならず、ファンドやREITを運用するプロ投資家からのPM受託にも応えていく。インテレクトでは「ポテンシャル調査」と称し、個別ビル単位のほかポートフォリオ単位で、ソーラーパネルにおける電気代やCO²の削減効果、導入コストや投資回収のシミュレーションを算出。定量的なESG対応が求められるファンド・REITとの相性はよいとみられる。

「これからのPM会社は、不動産のノウハウ一辺倒だとやがて限界が訪れるはず。当社が培ってきた環境・エネルギーの専門ノウハウを遺憾なく発揮し、市場での存在感を高めていきたい」と金丸氏は抱負を語った。
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