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都心ビル再生プロジェクトのポテンシャル

注目企業レポート|マリモ

  • リノベーション
  • 再開発
浅草2丁目(二天門前)プロジェクト
写真提供:マリモ

ハード/ソフト両面での確かな知見
商店会とのリレーション構築にも注力

不動産総合デベロッパーのマリモは、立地条件に恵まれながらも何らかの理由で適正に評価されていない不動産を取得、リノベーションや再開発により資産性・流動性を高め、投資市場に戻す「収益不動産プロデュース事業」の強力に推進している。
ターゲットとなる立地は、浅草、表参道や銀座あるいは心斎橋や天神など、いわゆる“ ハイストリート” と呼ばれるエリアである。すでにマリモでは、これら一帯で約50棟・500億円規模の取得・リニューアル実績を上げている。
ハイストリートは現在、新型コロナウイルスの影響で人出が大きく落ち込み、不動産から上がる賃料収益が打撃を被っている。しかし、「中長期的に物件価値をみるわれわれにとって、(コロナ禍でも)ポテンシャルは依然大きく、収益や流動性を向上できる余地はとても大きいとみている」と話すのは、不動産開発本部 投資マネジメント事業部 執行役員 部長の遠藤健一氏だ。
投資マネジメント事業部はマリモにおいて、不動産の価値、収益、流動性を高めることに特化した事業戦略部門。ハード/ソフト両面で深い知見をもった人材を揃えている。例えばハード面では構造計算書や検査済証のない場合でも遵法性の確保、確認の取り直しまで自社で完遂する能力を具備している。
ソフト面でも圧倒的な収益蘇生・向上をもたらす威力を持っている。最大の武器は、商圏ニーズの的確な把握と需要に見合ったプロダクトの提供だ。これはマリモ本拠の広島をはじめとする人口5万人以上の都市において、マンション分譲や収益不動産開発、再開発事業を手がけてきた経験がベースとなっている。
不動産ビジネスを足場とする事業者で、ハード面よりもむしろソフト面(運営収益)へのこだわりを前面に打ち出すプレーヤーは珍しい。「(ハードは)こだわって“ つくりこみすぎない” ことが重要。テナントや消費者の嗜好は日々変化するものであり、投資リターンを痛めることにもつながる。よって最善の策とは、汎用性の高い物件に仕立て、“ 幅広いニーズを受け入れる器” をつくっていくこと」(遠藤氏)。
運営収益の源泉はテナントから上がる収益にほかならない。マリモでは直接/間接含めた広域で多様なテナントネットワークを擁している。じつはそれだけではない。注目されるのは浅草や表参道エリアにおいて、マリモ社員ら自らが積極的に地域の祭りやイベントへ参加しており、商店会をはじめ地域と結びつき相互信頼関係を築いている。
「物件の価値、収益、流動性を高めるためには、建物単体へ手を入れるだけでは不十分。街全体が盛り上がりポテンシャルを高める“ タウンマネジメント” 発想こそ重要」(同氏)。
このほか、非上場かつコンパクトな組織体制を生かした、柔軟かつ機動的な意思決定も大きな強み。内々かつ迅速な売却ニーズ、あるいは1億円程度からの小規模な取引にももれなく対応する。最短で1週間〜10日程度で回答・取得にいたるケースもある。

マリモが再開発、リノベーションを手掛けた物件

  写真提供:マリモ

浅草の好立地で3プロジェクト取引
相場を大きく上回る高利回り案件も

もっとも力を入れているハイストリートの一つが浅草だ。2021年1月時点で、浅草2丁目(二天門前)、浅草1丁目(浅草駅前)、同1丁目(新仲見世通り)の3プロジェクトが進行中だ。
それぞれみていくと、浅草2丁目(二天門前)は、築54年のビルのリノベーションプロジェクト。マリモが2018年に全空のまま取得した。そののち大手外資系ファンドと設立したSPCに所有権を移し、耐震補強を含む大規模修繕工事を実施した。1階にドラッグストアのマツモトキヨシ、2〜6階に量販店のラオックスを誘致し、2020年11月にオープンさせている。SPCの取得価格に対する利回りは、取引相場を大きく上回る高利回りを実現。
浅草1丁目(浅草駅前)は地下鉄浅草駅のほぼ真上、老舗の神谷バー並びという立地にある。空きビルの状態で2020年1月に売買契約を締結、その後3月の決済・引渡しを迎えるまでに、1〜3階に大手ドラッグストアを誘致するなど着実にリーシングを進めた。こちらも同じく外資系ファンドとタイアップし、建物の大規模修繕等の工事を実施している。          
「立地の良さは誰がみても明らかだが、空中階の空き床を埋め切れるシナリオを描けるかがポイント。飲食やアミューズメントなど幅広い業種から関心をもらっており、早期にリースアップを完了できる見込み」(遠藤氏)。
浅草1丁目(新仲見世通り)は、地元客や観光客に人気の高い新仲見世通り商店街沿いの隣接店舗4棟を一括して取得し、店舗ビルに建て替えるプロジェクト。2021年6月に着工し、竣工は2022年3月をめざしている。リーシングも好調で、ゲームセンター、物販、飲食、他複数の企業からの引き合いを受けている。

単一ビルからエリア全体の活性化へ
タウンマネジメントを強く意識

先述のとおり、マリモが収益不動産プロデュース事業で目指すところは、個々のビルの再生・収益化にとどまらない。浅草にみてとれるようにハイストリートでドミナント的にプロジェクトを展開し、エリア全体の底上げ・活性化を図っていきたいとしている。
「渋谷・オルガン坂からスタートし、渋谷〜神宮前・原宿をファッションのメッカとして開花させたかつてのパルコはその代表例。タウンマネジメントの視点を入れながら収益不動産プロデュースを手がけていく」と遠藤氏。
さきの大手外資系ファンドを含め、マリモの不動産再生・開発能力を高く評価する投資家やAM会社は数多い。国内外含め親密先投資家は10社を超えている。          
「近年は秋葉原や池袋エリアでも案件を開拓している。立地・資産性にこだわった再生をモットーに、個々の投資家のニーズに応じて、市場への参入機会を提供していきたい」と遠藤氏は抱負を話す。
コロナ禍を経てハイストリートの地盤沈下を危ぶむ声がある一方、きたるべきコロナの" 出口" を見据え、再度投資をめざす動きもある。強弱感が錯綜するなか、マリモが培ってきた案件開拓力、再生・マネジメントスキルは、不動産収益に悩めるオーナー、街の活性化に腐心する地域にとって頼もしい存在となりそうである。
月刊プロパティマネジメント
2021年2月号

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