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鑑定は「確からしさ」精査重要に

鑑定はどうなる?|日本不動産研究所

  • 不動産鑑定評価
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コロナ禍でも例年並み、2020年上期の取引金額

コロナ禍の影響が顕在化しはじめた2020年上期(1〜6月)の国内不動産取引金額の総計は2兆円超えで、これは金融緩和がはじまった2013年以降とほぼ同水準だ。よって、投資市場にネガティブな影響はさほどない。
そのうち外資系プレーヤー(外資系ファンドや機関投資家)による取得金額は6,000 億円程度。その理由は、諸外国に比べ感染状況や政治情勢が安定し、市場機能が維持しているからと聞いている。また国内プレーヤーも、J-REITや機関投資家などを中心に物件取得を継続している。
大きく変わったのは取引された資産のタイプだ。オフィスや商業施設、ホテルが減少し、住宅と物流施設が増えている。コロナ禍の影響が小さく、賃料のボラティリティが低い資産を、国内外の長期投資家が選好している。もっとも、住宅と物流施設を選好する動き自体は2019年以降はじまっている。コロナ禍がさらに後押ししていると解釈すべきだろう。なお、ホテルの取引金額は、第一四半期こそ前年同期比+78%だったが、緊急事態宣言後の第二四半期では前年同期比▲91%に減少した。ネガティブな影響を受けた顕著な例である。

投資意欲は前向きもアセットごとに濃淡

投資家マインドも落ちていない。当研究所が今年4月に実施した「第42回不動産投資家調査」およびコロナの影響を調査した「特別アンケート」の結果では、今後1年間の不動産投資に対する考え方について、86%が「新規投資を積極的に行う」と答えた。とは言っても全く変化がないわけではない。感染拡大による不動産投資市場への変化については96.9%が「ネガティブな影響がある」と答えており、引き続き注視が必要だろう。
期待利回りは、ホテルが全調査地区で+ 0.1〜0.2%となり、投資家のリスク認識が顕著に表れた。一方、オフィスや住宅、物流施設は、前回調査(2019年10月)と比べ期待利回りが横ばいもしくは低下となり、リスク認識に変化はみられない。また、各アセットの今後の見通しは、都心型商業施設やホテルで「ネガティブな影響がかなりある」との回答が集中、住宅や物流施設などは「ネガティブな影響があまりない」とした回答が多かった[図表]。

図表 今後1年間の市場を念頭にした各アセットの見通し

出所:日本不動産研究所「第42回不動産投資家調査(2020年4月現在)特別アンケート(T)」(有効回答129 社)

CFの確からしさに着目

コロナ禍以降の不動産鑑定評価は、キャッシュフロー(CF)の確からしさが重要になると考えている。期待利回りは、大幅な調整が生じないだろう。住宅や物流施設は利回り低下の余地すらある。
CFの確からしさが重要というのは、主に商業施設のことを指している。いま飲食テナントを中心に、一時的な賃料減額などが行われて、CFも減少したが、本当に一時的なのか。もし賃貸借契約上の減額改定に波及したら鑑定評価額は下がりうる。またホテルの評価も同じだ。ホテルはコロナ禍前まで、賃料の安定性を鑑み、固定賃料方式の物件にプレミアムが計上されていた。だが、コロナ禍以降はオペレーターの窮状や賃料減額要請などをふまえ、契約方式よりも賃料水準の妥当性と支払の蓋然性が重視されるようになっている。
とはいっても、現時点においては、商業施設やホテルだからといって鑑定評価額が一律に下落するだろうとは考えていない。あくまで個別物件に焦点を当て、コロナ禍の影響の有無やテナントの代替性、そして賃料の水準や負担力、減額リスクなどを精緻に分析し、鑑定評価額を決定していくことになる。もっとも、個別物件の分析の必要性は、住宅や物流施設であっても変わらない。
結局、コロナ禍を経ても不動産鑑定評価の仕組みや基礎理論そのものは大きく変わらない。むしろ、コロナ禍という市場に影響を与える大きなイベントを機に、不動産鑑定評価の原理原則論に立ち返り、価格形成要因を精査していく姿勢が重要であると考えている。
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