――Lキャタルトン・リアルエステート
【試し読み】
L キャタルトン・リアルエステート(L Catterton Real Estate :LCRE) は、LVMHグループと、1989年創業のプライベートエクイティファンドのキャタルトン・パートナーズが共同で2016年に設立した世界最大のコンシューマー業界特化型プライベートエクイティ投資会社、L Catterton(Lキャタルトン)の不動産投資部門である。
L キャタルトンの不動産投資事業は、北米、欧州、アジアにおいて商業、オフィス、住宅、ホテル等、カテゴリーを横断する複合不動産開発プロジェクトを主体に展開する。
日本で投資する代表的なプロジェクトは、GINZA SIX(森ビル、住友商事とのJVによる商業施設とオフィスの複合施設)やShibuya Upper West project(東急グループと共同による商業施設、ホテル、住宅、美術館の複合施設)などがある。
LCREの特徴は、ラグジュアリービジネスに関する知見と消費者トレンドへの洞察をもとに、需要に応じた建物(ハード)と空間(ソフト)が一体となった施設づくりを行うことにある。ロケーションや建物ハードウェアだけでなく、コンシューマーが求めるユニークな「体験」や「サービス」の提供を重視している。
それぞれの不動産が持つ歴史や背景を踏まえ、マーケットに求められる新しい目的地の創出(プレイスメイキング)を重視している。「われわれの不動産事業のアプローチは、建物容積率を高め、賃貸床を増やし、床効率を上げるといった従来型の手法と異なり、施設に来訪されるコンシューマーの方々の全てのタッチポイント、すなわちショッピング、食事、宿泊、文化などを複合する唯一無二の“体験価値”という付加価値を創出して高収益型の不動産事業の実現を目指している」(Principalの渡辺達夫氏)。
LCREは日本をアジアにおける戦略的重点地域と定め、この先有望な投資市場だとみている。その理由の一つは富裕層や若年層を中心とした消費行動の変化だ。消費(モノ)だけではなく、体験(コト)の価値を重視するパラダイムシフトが生じ、“体験価値”の創出がますます重要なマーケットとなってきた。もう一つは国内需要とインバウンドを含めた質の高いツーリズムビジネスの伸長である。高付加価値な観光コンテンツが求められるなかで、LCREの不動産投資アプローチが有効となる可能性が高いためだ。
不動産投資先としてイメージするエリアは、富裕層や高感度な若年層のニーズを獲得するポテンシャルの高い都市部および一部の観光拠点。都市部では東京、大阪、京都、福岡など大都市の都心立地。地方では一部リゾート地が想定されるが具体的な立地要件として詳細には定めておらず、案件ごとに吟味していくスタンスである。
事業は各地における有力な現地企業との共同事業が前提となる。「それぞれの国や地域ならではの規制、商慣習に精通し、ネットワークを備えたローカルパートナーとの共同事業が基本。共同事業パートナー同士がお互いの強みを発揮しながらプロジェクトを進めていく」(渡辺氏)。
プロジェクトへの出資は、……
(続きは本誌で)