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樋口政亀氏[全日本タワー 連盟 事務局]

展望施設の実態とは
──全日本タワー連盟に聞く

OUTLOOK

定期交流会から全国規模のイベントや ソーシャルアクションまで

――26年に65周年を迎える全日本タワー連盟の発足の経緯についてお聞かせください。
樋口 1961年(昭和36年)に名古屋テレビ塔(現中部電力MIRAITOWER)と通天閣と東京タワーの3タワーでスタートした団体です。当時、1958年の開業から間もない東京タワーは、修学旅行生をはじめとした団体客が非常に多く、お客さまの受入れ方法などの情報交換を目的に集まったのが原点のようです。
そこから東京オリンピック(1964年)前後に竣工した、横浜マリンタワー(61年)、神戸ポートタワー(63年)、京都タワー(現ニデック京都タワー/64年)などいくつかのタワーも加わり、協議会という形になっていったと聞いています。
以降、しばらくは新しいタワーが現れなかったのですが、1980年代後半になると、千葉県の人口が500万人を突破したことを記念して千葉ポートタワーが建設されたり、アジア太平洋博覧会(よかトピア)の記念モニュメントとして福岡タワーが建設されるなど、地域住民に愛されるタワーを建てようという機運が高まりました。愛知県一宮市のツインアーチ138は、市立中学校の制服のボタンに描かれるようになるほど、まちの象徴として親しまれています。
これらタワーにも加盟いただきながら、また2024年には、埼玉県行田市の行田タワーも加わり、現在全20タワーで活動しています[図表]。

――加盟基準などはあるのでしょうか。
樋口 ひとつは展望台を運営する法人であること。もうひとつは、イースト・セントラル・カンサイ・ウエストに分かれる当団体において、該当するブロックの2タワーから推薦があることです。入会のご希望をいただいた場合は、基本的にウェルカムです。
――団体として主にどのような活動を行なっているのですか。
樋口 かつては総会を年2回開催していたのですが、現在は、春に総会、秋に実務者会議を行なっています。実務者会議で話し合われた案件を総会に上げるという流れですね。
実務者会議では、各ブロックごとに別れて情報交換も行なっています。各種イベントを実施する際のノウハウ、行政や地域との取り組み方など、それぞれの地域性を踏まえた情報交換はたいへん参考になりますし、他のタワーが導入したユニークな取組みやオペレーションも勉強になります。
たとえば、横浜マリンタワーでは、25年に、ワンちゃんと一緒に入館できるイベントを実施したところ、普段、山下公園などでワンちゃんのお散歩をしている愛犬家から好評だったそうです。おそらくタワーでは全国初となる取組みだと思われ、たいへん興味深かったですね。
また、当団体として全国的に行なっている施策のひとつに、06年以降、毎年10月1日を「展望の日」(10をten=てん、1を棒=ぼうに見立てたことから)に制定したことに関連するキャンペーンがあります。前夜に特別なライトアップを点灯したり、当日は全タワーが一斉にオリジナルグッズを配布するなど、全日本タワー連盟全体で「展望の日」を盛り上げています。
 そのほか、加盟タワーにおける相互誘客を目的とした「All-Japanタワーズスタンプラリー」も実施しています。300円でラリー帳を購入いただく必要があるのですが、開始日から1年以内に、各ブロックを制覇すべくスタンプを押し集め、最終的には全ブロックのコンプリートを目指すものです。各ブロックをクリアするごとに、そして完全制覇した際に認定証を発行しています。これまでに延べ数万人がチャレンジし、2000人弱の方が完全制覇しています。認定第1号の方は、開始からわずか5日間で達成されました。1人で11回完全制覇されたタワーファンもいます。展望台からの景色、タワーの外観だけでなく、全国各地の風景を旅の様子としてSNSにアップするなど、みなさんそれぞれに楽しんでいただいているようです。

―それぞれの展望台も魅力的ですが、いち団体としてまとまると企画や取組みの1つひとつに大きなパワーが感じられますね。
樋口 当連盟を窓口とすることで全国的な展開ができますから、全国各地のタワーで一斉に商品を売りたいとコラボ企画の相談はいまも寄せられています。以前は亀屋万年堂とコラボし、「タワーナボナ」の販売に協力したこともありますし、現在は東京凮月堂と、「ゴーフレット」の販売について調整しています。全日本タワー連盟のプロパティをご利用いただくことで、メーカー側は全国エリアでの販売が可能となりますし、連盟はロイヤリティ収入を得るほか、連盟知名度のアップにつながるので、双方にとって良い取組みであると思います。
また24年と25年の7月〜9月には、官民一体となって熱中症予防の啓発を推進している「熱中症予防声かけプロジェクト」に参画し、観光シーンにおける熱中症予防の〝ひと涼みサポートアクション〞を展開し、企業・民間団体部門の最優秀賞を受賞しました。インバウンドを含む観光客に対し、タワーは涼みながら観光できるひと涼みスポットであることを周知したうえで、マイボトルなどに無料で給水できるウォーターサーバーを設置したほか、団扇と塩飴のセットを配布しました。
――インバウンドのお話がでましたが、集客状況としてはインバウンドの割合などはいかがでしょうか。
樋口 まず加盟20タワーの24年の合計来場者数は、史上初めて1000万人を突破しました。
・・・[記事後半部分は本誌にて]

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