キーワード検索

サイト内検索を閉じる

安心・安全とともに来園者の体験価値向上にも資する
コールマンとの初コラボ企画も

東京サマーランド

CASESTUDY

国内最大級の流れるプールなど
夏場の人気レジャー施設

 東京都あきる野市にて半世紀以上の歴史をもつ大規模レジャー施設「東京サマーランド」。わが国最大級の流れるプールをはじめドーム内プールなどさまざまなウォーターアトラクションを中心に屋外遊園地も併設する複合施設だ。1年のなかでやはりプールを目的に訪れる夏休み期間が集客のピークとなることから、夏季の猛暑対策は看過しえない重要テーマといえる。まずは同園における夏季の集客状況について整理しておこう。
 年間を通じた総来場者数は、近年では他のレジャー施設同様、コロナ禍で打撃を被ったが、その後直近の24年まで毎年右肩上がりで回復。とりわけ24年は6月に新プール「MONSTERSTREAM(モンスターストリーム)」を屋外エリアに新規開設。プールエリアを約1万3000㎡の規模にまで拡大、同施設の目玉である水と自然の魅力のさらなる向上を図った。このタイミングに合わせ5年ぶりとなるテレビCMの放映やSNSの運用強化、人気動画クリエイターとのコラボ企画など広報・集客活動も強化。その結果、24年夏季期間(7〜9月)の総来場者数は約54万人で、前年同期比109%に上昇。特に7月の来場者数(プール・遊園地)は、創業以来過去最高を記録するに至っている。同時に24年度(年間)の遊園地事業の売上高は約38億円と、前年比119%をマーク、コロナ禍以降、入場制限をするなかでも夏季を中心にした来場者増が売上増にも反映する形となった。

熱中症対策に向け
多角的な取組みを拡充

 夏季の集客が年間来場者数の約60%を占める(24年度実績)など、名実ともに「夏のレジャー施設」の代表格といえる同園だが、それだけに猛暑が続く昨今では熱中症を中心とした暑さ対策にも積極的に取り組んできた。
 「プール内にいると暑さを感じ取りにくいため油断をすると熱中症のリスクは高まります。また睡眠不足や朝食など十分な食事を摂らないまま来園しつい長時間にわたり遊び続けてしまうパターンもみられるため、注意喚起が重要です」(同園)。こうした同園の熱中症予防への施策をまとめたのが図表1〜3だ。図表1は来園者向け、図表2は同園で働く従業員向けの予防策、図表3は発症時の対応策で、特に今夏から実施・導入を図る赤字で表記した施策についてみてみよう。
 まず来園者に向けた対策のなかの⑸黒球温度計とは、通常の温度計とは別に、「暑さ指数(WBGT値)」を測定するもの。WBGTはWetBulbGlobeTemperature(湿球黒球温度)の略称で、黒球温度、湿球温度、乾球温度の3種の測定値をもとに算出。熱中症リスクを事前に把握、判断するための指数として知られるが、わが国でも環境省と気象庁が近年、「熱中症警戒アラート」の運用時に使用する。従来から同施設では同温度計を2か所に設置していたが、今夏からさらに2台を増設、暑さ指数に応じて注意喚起放送を実施するほか、来園者に対してそのリスクを「安全」から「危険」までの5段階でわかりやすく見える化したスケール表も掲示する。

 また⑺については園内各所に現時点での気温を表示する看板を設置予定(7月下旬)で、積極的な情報提供により熱中症への注意を促す。さらに⑻人気アトラクションである観覧車「スターホイール」については夏季は高温になるため、すでに昨年度より搬器内が35℃に達した段階で運営を中止するほか、今夏から内部温度を表示する看板も設置する。また⑼同園ホームページにおいても来園に際して熱中症対策を呼び掛けるバナーをより見やすい位置に配し、注意事項をまとめたページにリンクを張るなど事前の啓発に努める。
 園内業務に従事する従業員向けの対策も怠らない。25年6月1日から労働安全衛生規則改正が施行され、事業者に対して熱中症対策が義務づけられたこともあり、従来からの諸施策に加え、今年は新たに「熱中症対応フロー」を策定。熱中症が疑われる従業員が発生した場合の発見から対応までの手順をマニュアル化し共有している。「とりわけピークの夏場はアルバイトスタッフも多く雇用、1日当たりの就業者数は最大300人にも及ぶため、職場としての安全性を確保するうえでも活用していきます」(同園)。特に昨今の人手不足から、人材確保の点でも従業員に向けた熱中症対策など労働環境の整備は重要課題の1つといっていいだろう。
 屋外レジャー施設での熱中症のリスクマネジメントには、①利用者への啓発、②気温など園内環境の周知、③発症時への対応、といった視点からの総合的な対応が求められるが、同園では毎年酷暑化が進展するなか、今後もそのアップデートを図っていく方針だ。
 こうした安心・安全に向けた施策整備に取り組む一方、25年夏には新たな角度からの「暑さ対策」として、従来にない試みにもチャレンジしている。・・・<続きは本誌にて>

月刊レジャー産業資料
2025年8月号

月刊レジャー産業資料 2025年8月号

定価:8,800円(本体8,000円)

年間定期購読料

最新号から

定価:93,500円(本体85,000円)[送料込]

関連リンク

ページトップ