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ーー竜王マウンテンリゾート/白馬岩岳マウンテンリゾート

【VIEWS|日本スキー場開発に聞く】
話題をリードし続ける山頂コンテンツ・体験のつくり方

<前略>

竜王マウンテンリゾート── 「雲海+サンセット」を核とした首都圏の若者を引き付ける魅力づくり

 NSDによるスキー場の夏営業の強化、通年営業化する取組みの嚆矢となったのが、竜王マウンテンリゾートの「ソラテラス」である。雲海出現率が65・9%(22年実績)と日本有数の高さであること、一般に雲海は早朝に現れるのに対し、朝24・5%、昼16・0%、夕方25・4%と1日中発生チャンスがあり、なかでも「雲海+サンセット」の組合せは全国的に稀れであることを強みとして活かした。

 世界最大級166人乗りのロープウェイで行く山頂駅目の前の、ただの斜面だったエリアに15年に設置、16年には拡張リニューアルも実施した。手前から奥に高社山・斑尾山・妙高山が重なって見え、その向こうに北アルプスが広がる大パノラマの眼下に雲海が波のように広がる絶景を楽しめる、そうした場ができたことの発信を開始した。

 17年には同テラス上方に隣接する食堂棟を改装した「ソラテラスカフェ」(自社運営)もオープンした。いま雲海が発生していなくても、いま雨が降っていたとしても山頂の空模様は刻々と変わるため、待っていれば出現することが十分に見込めるのが同地の特徴。「雲海パイ包みスープ」や雲形のマシュマロを浮かべた「SORA珈琲」などのオリジナルメニューを楽しみながらそれまでの時間を居心地よく過ごせる場を提供することで来場者の満足度向上につなげている。これらメニューはもちろん、カフェ店内にカップル席やソファー席などさまざまなタイプの席を配し、ラグジュアリーかつリラックスできる雰囲気づくりを行なっているのには明確な理由がある。

「タ―ゲットはF1層のグループ客やカップル。全体の半数以上が首都圏から足を運んでいただいている」(㈱ 北志賀竜王代表取締役西口昌司氏)。運営に参入した09年当時に1万人もいなかった夏季来場者数はテラス開設から4年で10万人になった。滞在時間は平均約2時間にも及んでいるとのことだ。

 山頂にとどまらず、21年にゲレンデ中腹に開設し、22年に拡張した全15区画のグランピングエリア「ソラグランピングリゾート」も若者向けに展開を図っている。特徴のないグランピング施設が増えすぎたこともあり全国的に稼動率やADRが下落しているなか、同リゾートの20歳〜30歳代という客層に合わせ、あえてやや控えめな宿泊料金に設定している。ゴンドラ乗り放題付きで、山頂に雲海が出た時に駆けつけることができる利便性が受け、今年9月の稼動率は97%を叩き出すなど驚異のパフォーマンスを継続している。雲海があるアドバンテージを活かしたグランピングの成功で、夏の客単価は、冬(リフト券+食事)を大きく上回るまでになったという。

 観光の目的地として選択肢に選ばれるよう、新たな取組みにもチャレンジしていく方針である。白馬のような全国的な認知度やブランドがないことに加え、白馬エリアのようにいろいろなコンテンンツがあり、多様な過ごし方ができることが浸透していないことなど課題を抱える北信エリアで、一民間企業として第一歩を踏み出し同エリアに経済効果をもたらしたい意向である。既存のキャンプサイトやコテージのリノベーション、お土産コーナーの拡大などにより、道の駅のような観光施設化を図る計画。「小布施」-「信州中野」-スノーモンキーで知られる地獄谷野猿公苑がある「湯田中」-「竜王マウンテンリゾート」を結ぶ動線の強化にもつなげたい構えである。

白馬岩岳マウンテンリゾート ――絶景にとどまらない選択肢の提供が山頂の魅力増大に直結

NSDグループ(日本スキー場開発㈱ )のなかでもっともグリーンシーズンの成功を収め、ウィンターシーズンの倍となるの20万人の来場者で賑わうのが、12年にグループ化した白馬岩岳マウンテンリゾートである。
<続きは本誌にて>

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