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あらゆる可能性を検討したうえで、最も投資効率の高いリノベ計画の立案を

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葬祭会館において、大型会館のリノベーション(以下、リノベ)が注目される時代となっている。それは葬儀規模の縮小に伴う式場の広さが、消費者から敬遠される時代となったからだ。加えて、これら大型会館の多くは90年代に多く建てられているため、老朽化に伴う維持管理コストが大きくのしかかっていることもリノベに向かわせる要因だ。言い換えれば、大型会館や築古会館のリノベは、ランニングコストや維持管理コストを経営サイドがどう捉えるかによって、リノベ対象施設の方向性が決まるといっても過言ではない。ただ、1つ言えることは、旧態依然の建物のまま残し続けることは、確実にその維持管理コストを高めることにほかならず、後継者に引き継ぐ段階で負債計上される「負の遺産」となる可能性が高いということだ。

したがって、自社会館のリノベは既存会館の価値を現在水準(もしくはそれ以上)へと引き上げ、「古くさい」「時代にそぐわない」というイメージをいかに払拭していくかという判断が求められる。さらには、当該会館が立地するマーケットのポテンシャルが、右肩上がりなのかそれともシュリンクしていくのかという点も見過ごしてはならない。当然、リノベにもそれ相応の投資が必要となるため、経営判断によっては、当該会館の閉館(もしくは当該エリアからの撤退)という決断を強いられることもあるだろう。
はいえ、自社会館のリノベについては、前号(297)で特集した異業種施設からのコンバージョンに比べてそのハードルは低い。なぜなら、自社会館リノベ最大のメリットは、新たに出店候補地を探す手間が省けるからだ。そもそも、葬祭会館の開業にあたり最大のネックとなるのは建設予定地周辺住民からの反発だが、ロケーションが変わらない自社会館のリノベであればそうした声は上がらない。だが一方で、リノベ期間中は一般的に一時休館が前提となるため、その間の施行をどこで行なうかという問題が発生する。

この場合、葬祭事業者の選択肢は以下の4つ。
A)工期中は貸し会館・式場等で施行を促す
B)工期中は自社別会館での葬儀施行を促す
C)多層階、複数式場を有している場合、営業を継続しながら葬儀施行を実施
D)一時休館とし、その間の失注ロスについては年間目標から除してリノベを実施


多店舗展開を行なっている事業者であれば、選択肢Bを軸に据えながら計画を推し進めることができるが、1会館しかない事業者は必然的にAもしくはDを選択せざるを得ない。

本格化するリノベ時代。計画立案はマーケットを睨み慎重に

今号では6社6事例のケーススタディを取り上げた。そのなかには、最重要拠点ともいうべき事例も含まれており、いよいよ、旗艦店のリノベが本格化しつつあると捉えることもできる。ただ、旗艦店の場合、複数式場を有するケースが多く、リノベに関してはフロアごとにローテーション工事をすることで、営業を継続しながら失注ロスを極限まで減らしている。
一方、ドミナント展開を行なっていても時間距離の関係から、一時休館を決断し工事の短期集中による失注ロスの最小限化を目指したケースもある。
(ケーススタディは本誌で)
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