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拡大基調のマーケット支える寺院と民営火葬場

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前編

(21年1月号)

では、死亡数や孤独死数等の基礎データおよび一日葬や直葬の傾向などから東京23区の葬祭マーケットを俯瞰したが、後編となる今号では23区ならではの業界構造や葬祭会館の分布などを明らかにするとともに、将来推計死亡数から巨大市場の今後を占う。

東京23区の葬祭業界を各種指標から俯瞰する

 本題に入る前に、厚生労働省は例年、1月1日に公表していた2020年のわが国の死亡数や出生数など人口動態統計の年間推計を見送った。
 1971年に推計を開始して以降はじめてのことだが、新型コロナウイルスの感染対策の影響が大きく、精度の高い推計結果が得られないと判断したようだ。
 20年1~10月の死亡数は、出生数や婚姻件数とともに前年同期比で減少し、20年の年間死亡数は19年(138万1,093人)を下回り11年ぶりに減る見通しだという。コロナ禍が長引き、死亡数や出生数の減少が長期化すれば、後述する人口や死亡数の将来推計にも大きな影響を与えるのは必至だ。
 さて、前号において、わが国最大のメガ市場である東京23区の年間死亡数は8万人を超え、東京都全体の7割弱を占めると述べた。この値を援用し、経済産業省「平成30年特定サービス産業実態調査」から、23区の事業所数は約520か所、年間売上高920億円余りなどと推計した。
 こうした東京23区の葬祭業界を知る主な指標を一覧化したのが図表である。

図表 東京23区の主な葬祭業界の指標

 
■葬祭会館
 編集部の調べでは、東京キ内における民営の葬祭会館(以下、葬祭会館)は374か所、そのうち23区内の葬祭会館は都全体の6割を占める227か所が確認できた。もちろん、オープン・クローズ等の確認漏れはあるが、比較的精度の高い指標にはなるだろう。
 この227施設が、仮に1会館当たり月に10件の葬儀を施行しているとすると、年間では227か所×10件×12か月で、年間2万7,240件。227施設のうち、3分の1ほどが2式場を擁して月5件を施行しているとすれば、約75式場×5件×12か月で4,500件。合わせて、年間3万2,000件弱が葬祭会館で行なわれていると推計できる。
 死亡数8万人のマーケットで、227か所の葬祭会館は少ないといえるが(たとえば、愛知県は死亡数7万人に対して会館数は500か所超)、この現況を補っているのが民営・公営問わず火葬上に併設する式場(以下、併設式場)、区民会館、そして寺院本堂・寺院会館である。

■民営・公営火葬場
 東京23区の火葬業務の7割を担うといわれているのが、ケーススタディでも取り上げている東京博善である。印刷・出版業が主力の廣済堂グループの1企業として事業展開してきたが、20年2月、廣済堂の完全子会社となることが発表され、新体制のもと時代が要請する新たな施設像を打ち出した。廣済堂のIR情報によれば、東京博善の20年3月期の売上高は87億3,500万円。23区内に6か所の火葬場(火葬炉合計64基)と火葬設備をもたない会館を1施設展開し、併設式場も7か所全体で36式場にのぼっている。
(続きは本誌で)
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