㈱エンディング総研代表取締役/㈱コンサルティングファーム代表取締役 小泉悟志
【連載】
最近、「AI」や「生成AI」「ChatGPT」など人口知能に関する話題を多く耳にするようになりました。つい1年前までは、最先端の企業が使うツールだと捉えられ、葬祭業界では特段の取組みはありませんでした。しかしながら、ChatGPTの利用が普及しはじめるとともに、このツールを使って業績を上げている葬儀社が散見されるようになってきました。
おそらく、今後このツールを活用している葬儀社と使っていない葬儀社では、大きな差が生まれることが明白になってくるものと思われます。ChatGPTは、使い方によって単価アップや省力化、さらには遺族の満足度アップにまで寄与することができるのです。そこで今回からどのようにすればChatGPTを使うことができるのかについて、具体的な事例を交えて紹介してまいります。
まず、AI体系図(図表1)によりChatGPTの位置づけについて解説します。
①AI(人工知能)とは?
簡単にいえば人を見分けたり、文章を他の言語に翻訳するといった、かつては人にしかできないと思われていた知的な推論・判断をするコンピュータプログラムのことです。
②いままでのAIと生成AIの違い
いままでのAIは、答えをWeb上のコンテンツから探して回答しているのが一般的でした。一方、「生成AI」は、適切な答えを探すだけでなく、それを踏まえて自ら回答を作成するようになったのです。まさに、既存にないオリジナルコンテンツを提供してくれることが可能になりました(図表2)。
③生成AIの種類
生成AIには主に4つの種類があります。
・テキスト生成AI→メールやブログなどの文章作成
・画像生成AI→オリジナル画像作成
・動画生成AI→オリジナル動画作成
・音声・音楽生成AI→覚えた声で読み上げることや楽曲作成
それぞれに対応したサービスがあり、このうちChatGPTはテキスト生成AIに分類できます。
④テキスト生成AIの主要提供会社とサービス名
みなさんが普段から利用している会社がサービスを提供しています。
・OPEN AI → ChatGPT
・マイクロソフト → Copilot
・Google → Gemini
ChatGPTには、無料版ChatGPT3.5と有料版ChatGPT4の2種類があります。有料版は月額20ドルで利用できます(1ドル=160円で3,200円相当)。※最初のChatGPT4oモデルは、特定の産業向けのためここでは解説しません。
ChatGPTで検索し「試して見る」をクリックすると図表3の画面が出ます。左上の「ChatGPT3.5」を押すとGPT4へのグレードアップ画面が出ます。今後解説しますが、GPT4の登録をお勧めします。
では、実際にできることをChatGPTに聞いてみましょう。「東京・練馬で葬儀社を経営しています。ChatGPTを使うと何ができますか?」
図表4の回答にもあるように、「文章作成」「市場分析」「SNSの投稿、コンテンツ提案」などさまざまなことを回答してくれます。しかも、毎日学習していますので進化がとても早く、いまや修正しなくてもそのまま使える完成度の高いものになりつつあります。
以下は、葬儀社で実際に使われている例です。
①ブログやメルマガなどの情報発信コンテンツ作成
②司会のシナリオ作成
③感動サービス(サプライズサービス)案の提示
④従業員研修の資料作成
⑤業界動向、市場調査情報の収集 他
実際に葬儀マナーに関するブログを作成した場合、1本書くのに1時間程度かかっていたものが、ChatGPTでは1分程度で完了します。このように大幅な時間の短縮を実現したことに加え、情報発信力が10倍以上になりました。このような事例がいろいろな業務ではじまっています。次回以降、いよいよ具体的な事例を解説していきますので、ぜひ利用を開始してさらなる業績アップを実現していきましょう。
「単価アップ、満足度アップにつながる『ChatGPT』の活用法」は、月刊フューネラルビジネスで連載中です。
1969年生まれ。銀行勤務後、ベンチャー企業の取締役を数社歴任。㈱エポックジャパン(現㈱家族葬のファミーユ)取締役を退任後、葬祭業界専門コンサルタントとして独立。施行件数のアップ、プランの見直しによる施行単価の改善などによる売上げ拡大を強みとする。
近年は、葬祭業専門で補助金のサポート、葬祭会館出店サポートや葬儀社のM&A支援も多数手がける。
月刊フューネラルビジネス主催セミナー講師。