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「コモディティ化」する小規模会館
新機軸をどう打ち出すか

地域によって異なる
小規模会館の仕様

 会館ビジネスモデルに大きな変化をもたらした会葬者の減少により、全国の葬祭事業者がこぞって中・小規模の会館を建設しはじめたのは2000年代後半からである。同じ頃、家族葬なる葬儀形態が注目を集め、いまや依頼電話の大半は「家族葬」からはじまるご時世となった。ましてや、このコロナ禍で会葬規模の縮小化が加速、これまで中規模クラスを中軸に据えていた事業者も、小規模会館の建設を急ぐようになる。
 小規模会館建設に拍車をかけたのは、コンビニ改修型の小規模会館が、昨今の会館ビジネスモデルの標準タイプとして認知されるようになったからである。
 しかし、果たして、コンビニ改修型の施設が小規模会館の適正規模であるか否かについては、誰しもが言及できるものではない。なぜなら、葬送の慣習が全国各地で異なるからだ。「会葬規模」「前火葬・後火葬」「飲食機会の有無」「即返し・後返し」「友引を忌避する(火葬場との兼ね合いもあり)」等々、たとえ同一県内であっても、それら慣習が異なれば、葬送の場である会館づくりも地域によって異なるのが道理である。
  たとえば、コンビニ改修型ばかりが巷にあふれかえったとしよう。しかも、提供されるサービス、従業員のホスピタリティはほぼ同じ、商品プラン(価格帯)も似たり寄ったりだとすれば、消費者の選択肢は「新しい施設」を最優先しがちである。つまり、コンビニ改修型は、「どれをとっても同じ」という見方しかされなくなる可能性が高く、すでに「コモディティ化」しているといえる。しかし、コンビニ改修型であったとしても、「商品プラン設計に長けている」といった特徴があれば、それだけで支持されるようになる。言い換えれば、提供するサービスメニューとそのサービス提供に見合った会館づくり(=ハードとソフトのリンク)が必須になるということだ。

開業までの実行項目を整理し
理想の会館像を導き出す

 ケーススタディで取り上げたのは、それぞれ創業90余年、70余年を迎えた㈱公益社(燦ホールディングスグループ)と㈱アスカフューネラルサプライの老舗葬儀社2社、および2000年の創業以来、直葬・火葬式をメインターゲットに事業展開をしてきた㈱セレモニー真希社と、今年、葬祭事業に参入したばかりの㈲くらしま生花店という新旧4社である。詳細については特集頁を参照願うが、今回取り上げた4会館の開設に至るまでのプロセス上に共通する実行項目を整理してまとめたのが図表である。

図表1 会館開業までに至るプロセス上の実行項目
図表1 会館開業までに至るプロセス上の実行項目

 図表には、「立地分析」「市場分析」「コンセプトメイク」、そして「開業後PR戦略」といったカテゴリーを示したが、新規会館を開設する場合、基本的に立地分析と市場分析からスタートするのが一般的だといえる。ただし、すでに複数会館を展開しているのであれば、時勢に見合った会館づくりを目指すため、コンセプトメイクからスタートしてもよい。

 

                             <中略>

 

 以上、新旧4社における小規模会館への開設に至るまでのプロセスからみえてきたのは、新規会館が目指す方向性=会館のアイデンティティともいうべきコンセプトメイクを的確に行なったうえで展開を図っているということである。
 確かに、コンビニは居抜き物件として小規模会館にコンバージョンしやすい建物であることは間違いない。しかし、その多くが長方形であり(しかも平屋)、他社との差別化が図りにくいのも事実である。一方、ケーススタディ各社は、小規模会館を展開するうえで、いずれも、「消費者に対して何を提供したいのか」を明らかにしたうえで、自社なりの小規模会館像を描き、それを具現化している。コロナ禍によるさらなる会葬者減が進んだことで小規模会館はさらにコンパクト化が進んでる。そして明確なコンセプトであったり高品質など、自社なりの小規模会館の「最適解」を導き出しているといえるだろう。

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