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――大の葬祭グループ[大分県豊後大野市]

時代を先取りするDXに先行投資
持続的な企業ブランドの確立へ

23年1月に開業した「家族葬邸宅 大分賀来」

23年1月に開業した「家族葬邸宅 大分賀来」

 大分県南部に位置し、九州で唯一「日本ジオパーク」と「ユネスコエコパーク」の両方に認定されるほど豊かな自然遺産や地域資源を有する豊後大野市。市内中心部はかつて県都大分市のベッドタウンとして人口が増加していた時期があり、主要幹線道路である国道326号沿いには、大型の商業施設やショッピングモールなどのロードサイド店舗が建ち並んでいる。
 その豊後大野市に本拠を構え、同市のほか大分市、臼杵市、佐伯市に8会館を展開するのが大の葬祭グループ(代表川野晃裕氏)だ。
 同社の創業は1971(昭和46)年のことで、創業50周年に当たる2020年11月には、「大分市葬斎場」(炉数16基)の隣接地に「大の葬祭 おおいた本館」を開業。その後、22年9月に「家族葬邸宅 大分明野」を、23年1月に「家族葬邸宅 大分賀来」をオープンし、大分市内では現在3会館体制となっている。

若い世代の採用を機に
社内の業務効率化を実現

 豊後大野市に本拠を置く同社にとって、この大分市への進出は、社内のリクルーティングおよび業務効率化をより充実させるきっかけにもなった。
 15年から新卒採用を開始し、スマートフォンの操作に慣れた若い世代の社員がふえていた同社では、いち早くマニュアルのデジタル化やスマートフォンでの勤怠管理を導入。チャットアプリを活用した会議や日報の報告・連絡などにも着手したほか、毎日の朝礼をオンラインに変更することで、社員が雑務や移動に割く時間を大幅に削減した。
 これにより、社員の有給休暇の消化率は100%に近づいているほか、新卒採用開始前には約80日だった年間休日は現在100日を突破。業務の生産性が向上したことから、初任給も約23万円にまで上昇した。賞与は社員がそれぞれに設定した目標の達成度によるものの、年に3度の支給を実現している。また、勤怠・経理システムや顧客管理をデジタル化するだけでなく、社員のコミュニケーションツールとしてもチャットやZoomを活用することで、風通しのよい雰囲気づくりにも一役買っているようだ。

ロボットを活用した
「アバター会葬」を模索

 葬儀のあり方自体が問われるようになったいま、新しい会葬の仕方として同社が打ち出したのが「アバター会葬」だ。
 もともとコロナ禍直後から、同社でもZoomを使ったオンライン会葬は開始していた。感染症対策はもちろん、遠方の遺族も会葬できるとあって、全体のうち約15%の施行で利用された時期もあったという。

21年3月に行なわれたアバター会葬の実証実験の様子

21年3月に行なわれたアバター会葬の実証実験の様子

アバター会葬のイメージ

アバターの操作を通じてお辞儀をするなどリアルな会葬が可能

ここからさらに一歩踏み込むべく、21年3月に行なわれたのがアバターロボット「newme」(以下、アバター)を使用したオンライン会葬の実証実験だ。
 定点カメラによる「葬儀中継」にならざるを得ないZoomとの大きな違いは、会葬者の意思でアバターを移動させられること。式場内などアバターが移動できるポイントを事前に登録しておくことで、会葬者自らの操作によって自由にポイント間を行き来できる仕組みである。
 これにより、画面越しの会葬であっても、映像に動きが加わることでよりリアルに近い形での会葬が可能となった。実験では、「焼香」「お別れの言葉」「お花入れ」「出棺」の4つのシーンごとにアバターの動きを確認した。
 もちろん、これらデジタル技術を使った会葬がいきなり主流になるわけではない。あくまでも多様化する葬儀のなかで1つの選択肢をふやすための取組みであり、会館に足を運べなくても、故人とのコミュニケーションの場をもってほしいとの想いがあってのことである。今後も葬祭業とアバターとの親和性を吟味しつつ、オンライン会葬にとどまらないサービスの拡充に努める方針だ。

 

(DXを活用した新サービスと今後の見通しは本誌で)

大の葬祭グループの概要

所在地  大分県豊後大野市三重町菅生431-204
設立   1971年
代表者  川野晃裕
会館数  8か所

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