インバウンド需要の拡大や株価高騰などの好調さが反映し、不動産市場が活発化しています。ビルオーナー側からの賃料増額の期待は高まる一方、テナント側の一部は不採算による賃料減額請求を前提とした動きも散見されます。
こうした状況のなか、ビルオーナー側はある一定の知識は得ているものの、賃料改定(継続賃料)時に直面するとテナント側の様子を察して疑心暗鬼になってしまうケースが多く、より良い交渉の仕方に関心があるのは当然のことです。さらには賃料改定の根拠となる不動産鑑定評価手法に基づく継続賃料算定手法を習得し、テナント側への説得材料を得ることも重要なポイントになっています。
本書では、「賃料改定交渉のストーリーづくりと実務のポイント」を時系列に“事前準備”と“交渉時”に分け、「賃料改定の不動産鑑定評価の基礎知識」はもとより、「賃料改定根拠に基づく継続賃料算定手法」をベースにDL付録を活用した実践的な「継続賃料の簡易算定」を収載。著者の鑑定理論と経験則の実務を踏まえたQ&Aの想定問答集を加えながら、様々なケースに対し、どう対処するか、どこまで妥協するかという急所を網羅した実務資料として、関連事業者の皆様にぜひともご購読をお薦めいたします。
成田隆一 ㈱フローク・アドバイザリー 代表取締役社長
不動産コンサルタント/不動産鑑定士/東京地方裁判所鑑定委員(12年間歴任)
成功報酬体系の不動産分野ではコンサルティングに報酬を払ってもらえない、士業はコンサルタントになれないという常識を覆すため、大手信託銀行、外資系コンサルティング会社、外資系不動産ファンドなどを経て、不動産鑑定士による不動産・相続のコンサルティング会社を2007年に設立。成功報酬に依存しない経営体制を確立するとともに、他分野の専門家とのJVを活用した独自のビジネスモデルを構築。また、業務スキルだけではなく、脳科学、心理学に立脚したメンタル面も押さえた独自のコンサルティングメソッドにより、不動産分野専門の経営コンサルタントとしての地位を確立。
大手REIT投資委員会委員、上場企業をはじめとした複数企業の社外取締役、複数の上場企業・上場企業オーナーの顧問を現任。大手企業と富裕層を中心に不動産・相続分野での顧問契約、プロジェクト契約を数多く結び、問題解決を行なっている。主な著書に、日本初の立退料の具体的算定手法についての書籍や賃料改定の実務解説書籍など7冊があるほか、大手金融機関・弁護士団体・ビル経営者団体などの業界団体や企業等での講師実績多数。
1. 本書出版に際して
2. 賃料改定問題の時代的背景
3. 本書で学べること、本書の活用について
1. 賃料改定交渉の前段階の準備過程の流れ
2. 現状把握 ステップ1:賃料のあたりをつける
3. 現状把握 ステップ2:相手方の分析、相手方提案の分析
4. 現状把握 ステップ3:契約条項分析
5. 現状把握 ステップ4:自己都合からの賃料設定ラインの策定
6. 現状把握 ステップ5:勝算分析(相場、勝算からの賃料設定ラインの策定)
7. 交渉スタンス・ストーリーの決定方法
8. 事前準備のまとめ・事前準備チェックリスト
1. 交渉開始後~賃料改定までの流れ
2. 交渉開始時の進め方、留意点
3. 交渉開始時の想定問答集<Q&A>
4. 賃料改定における現場の実際と注意点
5. 賢く賃上げするための賃料交渉時の工夫例
6. 任意交渉から裁判に移行するタイミング、ポイント
7. <ケーススタディ>事例で確認する交渉の進め方と交渉ポイント
1. 裁判や任意交渉における不動産鑑定評価の意義と位置づけ
2. 不動産鑑定評価における賃料評価とは
3. 新規賃料(市場賃料)の算定手法、各手法の特徴
1. 不動産鑑定評価における継続賃料の意義と特徴
2. 不動産鑑定評価における継続賃料の算定手法、各手法の特徴
3. 裁判、任意交渉において鑑定評価で問題となる点、チェックする際の留意点
1. 実践的な継続賃料の簡易算定方法
2. 付録「継続賃料簡易算定シミュレーションソフト」の構成
3. 差額配分法による算定アプローチ
4. 利回り法による算定アプローチ
5. スライド法による算定アプローチ
6. 継続賃料簡易算定結果概要
継続賃料の簡易算定シミュレーションソフト
(A)差額配分法
(B)利回り法
(C)スライド法
※編集内容は一部変更となる場合がございますので、あらかじめご了承ください。
綜合ユニコム株式会社 企画情報部
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