〈付録〉賃料簡易算定シミュレーションソフト/サクラクオリティ詳細調査基準
ホテルの賃料は、資産区分・更新区分に加え、オーナーとオペレーターのリスク・リターンの選好度合いに影響します。
昨今は契約形態やオペレーター・ブランドの競争力によってホテルの個別性が高まる傾向にあるため、不動産としての評価にとどまらず、オペレーションが生み出す収益の一部も不動産価値に反映するなど、評価手法はますます複雑になっています。
本書では、賃貸借契約条件の傾向と論点、契約書の記載事項を整理し、オーナーとオペレーター双方で留意すべき点を解説します。
「新規賃料」「継続賃料」の算定・評価においては、ホテル事業の収支・利回りを構成する「バリュエーション」の手法について詳解します。また、標準的に適用されている賃料評価手法の課題を指摘し、新たな手法「一体ホテル事業成果按分型賃料算定方式」を提示します。賃貸市場の潮流を踏まえ、オーナーとオペレーターそれぞれのあるべき利回りの調整による適正賃料を導きます。
付録の賃料算定簡易シミュレーションソフトは、オーナー・オペレーター双方の初期投資や事業収支、期待利回りなどを設定することで、固定賃料・売上/GOP変動(歩合)賃料スキームに対応した賃料を算出することができます。
賃料メカニズムの知見は、適切に不動産・事業リスクを織り込みつつ、アップサイドを享受するために欠くことができません。ホテル投融資家、アセットマネジャー、オペレーターをはじめ、幅広い皆様にご購入をお勧めいたします。
北村剛史
㈱日本ホテルアプレイザル 代表取締役 専任不動産鑑定士/㈱サクラクオリティマネジメント 代表取締役
1. 事業形態と収益構造
(1)所有直営方式
(2)不動産賃貸借契約方式
(3)MC方式
(4)FC方式
2. 賃料形態と賃料水準
(1)固定賃料
(2)ハイブリッド型賃料
(3)歩合賃料
3. 賃貸借契約におけるテナント契約前チェック
(1)財務指標
(2)運営力及びブランディング
4.需給ギャップを埋めるアパートメントホテル
1. 不動産鑑定評価上の賃料概念
2. 正常賃料(新規・家賃)の留意点
3.積算法
(1)基礎価格
(2)期待利回り
(3)必要諸経費
4.賃貸事例比較法
(1)事例収集
(2)価値曲線
5.収益分析法
6.負担可能賃料による方法
(1)定義
(2)想定GOP
(3)運営ノウハウや暖簾に帰属すべき収益
(4)賃借会社として求められるであろう適正利益留保金
(5)賃借会社が負担するFFE更新積立金
7.新規地代
8.限定賃料
9.新たに顕在化したリスク
(1)定期建物賃貸借契約への過信
(2)オーダーメイド賃貸による開発リスク
10.PF指数の計算及び評価例
1. 賃料算定上の留意点
2. 賃貸借契約条件に影響を与える外部制度要因
(1)リース取引
(2)相当地代
(3)国際観光ホテル整備法
(4)税法上の修繕費と資本的支出
(5)固定資産税等の資産税及び保険料
3.ホテル賃貸借契約条件の傾向と論点
(1)契約期間
(2)原状回復義務
(3)賃料増減額規定
(4)途中解約に関する違約金規定
(5)一時金及び建設協力金規定
(6)FFE及び建物修繕積立金に関する規定及び管理
(7)運営状況管理と情報共有
(8)甲乙区分(所有権及び修繕義務規定、担保権設定等)
(9)その他
4.ホテル賃貸借契約書の記載事項と留意点
(1)契約数量及び面積
(2)一時金
(3)費用負担
(4)使用目的
(5)賃貸対象建物(ホテル)の資産区分
(6)賃料改定条項
(7)そのほか特約
(8)問題化しやすい契約条項
5.海外でみられる賃料算定方法
(1)ホテル賃貸事例
(2)ホテル賃貸借契約の動向
(3)海外と日本のホテル賃貸借契約条件の違い
(4)コロナ後の賃貸市場の展望
1. 賃料算出モデルの具備すべき性格
(1)適正賃料を求めるために
(2)標準的に使用されている賃料評価手法
2. 一体ホテル事業成果按分型賃料算定方式
(1)ホテル一体収支(事業成果)
(2)期待利回りの想定
(3)リスク要因
(4)賃貸人及び賃借人の投資額
(5)賃貸人及び賃借人の投資採算性
(6)合意プロセス
3. 固定賃料と歩合賃料
(1)固定賃料
(2)ステップアップ型賃料
(3)ハイブリッド型賃料
(4)完全歩合型賃料
(5)賃料比較シミュレーション
1. 継続賃料と新規賃料の違い
(1)継続賃料という概念
(2)賃料の増減額改定
(3)「衡平性」という概念
(4)価格時点
(5)一時金の取扱い
2. 継続賃料の算定方法
(1)算定上の留意点
(2)差額配分法
(3)利回り法
(4)スライド法
(5)賃貸事例比較法
3. 一体ホテル事業成果按分型賃料算定方式と継続賃料
4. 賃料改定の論点整理
5. 賃料増額要請交渉のポイント
6. 歩合賃料移行の際の留意
(1)モニタリング指標
(2)資産区分の見直し
(3)CapEX、FFE更新投資の考え方
(4)附帯条件の設定
1.タイプ別ホテルの投資判断
(1)はじめに
(2)契約形態
(3)スタークラス別のチェックポイント
(4)共通事項
2.対象不動産の確認
(1)遵法性
(2)物的確認
(3)権利の態様の確認
3.価格形成要因の分析
(1)マーケット環境
(2)地域分析
(3)個別的要因
(4)全般的留意点
4.事業収支分析
(1)収入項目
(2)支出項目
5.競争力分析
(1)ブランド力
(2)人材
6.負担可能賃料の査定
(1)負担可能賃料
(2)サンプル事例
7.還元利回り及び割引率の査定
8.DCF法の適用及び留意点
9.ESG・SDGsの取組みとホテル価値への影響
●賃料簡易算定シミュレーションソフト(Excel)
●サクラクオリティ詳細調査基準
綜合ユニコム株式会社 企画情報部
TEL.03-3563-0120