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大手デベロッパーのまちづくり事業に参画
高齢者住宅を拠点に多様な役割を果たす──SOMPOケアの取組み

  • 多世代交流
  • スマートタウン
大手介護事業者のSOMPOケア鰍ナは、昨年より一時中断していた新規開発を再開。
その目玉となるのが、大手デベロッパーが開発するまちづくり事業に参画し、高齢者住宅や介護サービスのほか、地域住民の「健康」をサポートするさまざまなサービスを提供する、仙台、横浜で進行中の2つのプロジェクトだ。

高齢者住宅を拠点にまちの付加価値を高めるSOMPO流まちづくり

 2015年より本格的に介護事業に参入したSOMPOケアでは、新規開発を控え、介護事業会社の合併とそれに伴う社内体制の再構築、および居住系・在宅系を含め1,000カ所を超える既存事業所の利用率改善に取り組み、19年度までにV字回復を果たした。業績の回復に伴い、新規開発再開の機運が社内でも高まるなか、18年4月には「不動産部」を設立、不動産戦略の拡大を次なるステージでの成長の要と位置づけた。なかでも最も早く取組みを開始したのが「まちづくり事業への参画」であった。近年、まちづくりと称した大型開発に有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの高齢者向け住まいが組み込まれることは珍しくないが、その狙いはどこにあるのか。
 「『安心・安全・健康のテーマパーク』をスローガンとするSOMPOグループの最大のミッションは『社会的課題の解決』にあります。従来のような、マスターリース方式による1棟ものの開発だけでは、在宅で暮らす高齢者の方やその高齢者をお世話するケアラー(介護者)、さらには要介護手前の高齢者の方々に十分なサービスを提供できているとはいえません。施設や在宅サービスの不足、人手不足による介護需給ギャップ、健康寿命延伸等々の社会的課題に対し、われわれに何ができるかを自問自答し続けるなかででてきた1つの回答が、グループがもつリソースを投入した、当社グループにしかできないまちづくり事業でした」(SOMPOケア 取締役執行役員CMO 安藤滋氏)。
 保険・金融を生業としてきたSOMPOグループにとって、開発主体となって大規模なまちづくりを1から10まで主導することはむずかしい。一方で、近年のまちづくり型開発のキーコンセプトは「多世代交流」「ICT」「健康寿命延伸」等々、SOMPOグループがかねてより取り組んできた得意分野ばかり。そこで、大手デベロッパーが開発するまちづくり事業に参画することで、先に述べた社会的課題の解消に貢献できると考えた。
 事業参画に当たっては、既存の開発例も多数見学し、デベロッパーや参画する介護事業者にもヒアリングを重ねたが、「単にその場所で高齢者住宅を運営している」という事例も散見されたという。高齢者住宅があることによる、「多世代交流」「2世帯近居」などの耳障りのよいワードは、まちの訴求力にもつながるが、実際に高齢者住宅や介護事業者がまちの付加価値を高める存在となっているケースはそれほど多くないと感じた。多世代交流1つをとっても、夏祭りやクリスマスなどの行事限定にとどまり、日常的・永続的な交流が図られているとはいい難いという課題もみえてきた。そこで、マーケットインの発想で地域に必要なもの、足りないものを補完するとともに、高齢者住宅を拠点に日常的に地域で暮らす人々が交流できる、そんな仕組みづくりこそが、「SOMPOグループにしかできない」まちづくり事業への関わり方ではないかという輪郭が浮かび上がってきた。

日常的なコミュニティ形成の鍵を握るコミュニティファーム

 ここからは、SOMPOグループが現在参画する2つのまちづくりプロジェクトを紹介する。
 1つは三菱地所梶Aパナソニック梶Aパナソニック ホームズ梶A関電不動産開発鰍ェ仙台市泉区で手掛ける「泉パークタウン 第6住区東工区開発計画(仮)」で、国土交通省のスマートシティモデル事業における「重点事業化促進プロジェクト」にも採択されている。SOMPOケアでは、同計画の土地の一部約1.2haを取得し、そこに地上5階建て・64室の高齢者住宅(サービス付き高齢者向け住宅もしくは介護付有料老人ホーム)を開発する。23年初頭より着工し、翌24年4月の開設を予定している。
 泉パークタウンは、総開発面積約1,074haに1万0432世帯、2万5,525人(21年1月現在)が暮らす。1974年のまちびらき以来、40年以上に渡り宅地分譲を行なっており、初期から居住する世帯の多くは高齢者となっているという課題を抱えている。
 こうした課題に対し泉パークタウンでは、今回の第6住区の開発に当たって、戸建て住宅721戸を整備するとともに、東工区に「低炭素社会・循環型社会の形成に寄与するソリューションやサービスを導入することで新しい暮らしを提案する」基本方針を決定、その1つがSOMPOケアが開発する高齢者住宅であった。
 SOMPOケアが運営する高齢者住宅には、居宅介護支援、訪問介護、訪問看護の在宅介護サービスのほか、地域住民の集える場として、クリニック、保育(または学童)を併設。さらに、高齢者住宅の敷地内に地域・多世代交流に大きな役割を果たす貸し農園(コミュニティファーム)を整備する計画だ(図表)。(続きは本誌で)

図表 まちづくりの参画イメージ

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