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岐路に立つ調剤薬局
住宅を起点に地域のニーズに適う高齢者向けサービス網の構築へ

  • 薬局
  • 介護サービス
  • 調剤報酬改定や薬価の見直しなど、
    調剤薬局を取り巻く経営環境は厳しさを増す。

    一方で、国は2025年までにすべての薬局が
    「かかりつけ薬局」「健康サポート薬局」
    となることを推進するなど新たな役割を求める。

    地域包括ケア時代の調剤薬局経営の光明はどこにあるか。
    薬局経営に詳しいコンサルタントに聞いた。
  • CBコンサルティング
      CBコンサルティング 事業開発支援部 次長 佐藤文洋氏

顧客との接点少ない調剤薬局
多店化より地域ニーズに沿う多角化を

──国は2025年までにすべての薬局を「かかりつけ薬局」にするよう推奨していますが、現状はどうでしょう。
佐藤 これまでは多くの患者さんが複数の医療機関にかかったとき、それぞれの門前薬局で薬を受け取っていました。それが薬の重複や薬の飲み過ぎ、残薬問題を招き、結果として国の医療費を圧迫してきたといえます。
 そこで国は、患者さんがどの医療機関を受診しても、身近な1つの薬局、1人の薬剤師のところに通うようにすることで、その患者さんの服薬情報を一元的・継続的に把握し、薬学管理・指導を行なえるようにしようとしており、それが「かかりつけ薬局」であり、その担い手となるのが、専門性の高い「かかりつけ薬剤師」です。かかりつけ薬局ではICTを活用し、24時間対応、在宅対応できるようにもしていきます。
 そしてもう1つ、これからの調剤薬局には、病気の予防やあらゆる健康相談を受け付ける「健康サポート薬局」としての機能も期待されています。健康サポート薬局については、各都道府県が公表している件数を確認すると2020年時点で全国2,000件ほどの薬局が実施を届け出ており、独自に健康教室を開催するなど各地でその活動が広がっています。
──そのなかで、昨今の調剤薬局の事業環境をどのようにみていますか。
佐藤 経営的にはかなり苦しい状況といわざるをえません。国が医療費抑制政策の一環として原則2年に1度実施している調剤報酬改定は、ほぼ毎回マイナス改定となっていますし、医薬品の公定価格・薬価も下がる一方で、経営を圧迫する要因となっています。
 調剤薬局は全国に5万9,000店舗余りといわれており、現在も微増しています。1社で全国に1,000店舗以上、売上高2,000億円超という大手調剤チェーンがある一方で、地域には医療機関と一体となったいわゆる「門前薬局」があり、なかには1店舗のみという小規模薬局が多いのが現状です。地域に根付いた小規模薬局のなかには、患者さんの確保を門前の医療機関に頼っている場合もあります。
 こうした状況に調剤薬局の経営者の方々は強い危機感を抱いています。そのなかで維持・成長を図っていくためには、多店舗展開による規模の拡大、もう1つは医療介護の流れに沿った事業の多角化という2つが考えられます。
 多店化に関しては、調剤薬局は「医療機関の出店ありき」という事業上の特性がありますので、自分たちの都合だけで出店できない面があります。したがって、事業者としてより成長を図っていくには、本業とのシナジーが見込める「多角化」、なかでも国が目指す「かかりつけ薬局」「健康サポート薬局」の考えにも適う高齢者向け事業・サービスが有望といえるでしょう。
 ご承知のとおり、各都道府県では2025年の医療需要を推計して地域医療構想が策定され、それに合わせて地域包括ケアシステムが組み立てられています。そうしたなか、そもそも地域に密着した調剤薬局には新たな役割が求められているのです。前述したように、周辺の医療機関や介護事業者と連携し、新たなサービスを面で展開するというものです(図表)。

図表 薬局経営の現在と今後の役割の変化

──一方、ドラッグストアの事業環境はいかがでしょうか。
佐藤 ドラッグストアは現在、全国に2万店舗余り、売上規模は2019年時点で7兆円超を誇る成長産業です。ドラッグストアは、各社多店化によって地域に競合がひしめき、顧客を奪い合う形となっています。そこで各店舗がいま確保している顧客をどれだけ確保し続けられるかが重要になります。たとえばポイント付加によるサービスを工夫したり、食料品や生活必需品、化粧品など医薬品以外の品揃えに特徴をもたせたりと、小売業の原理で事業を拡大しています。そこに調剤薬局機能を併設するなど、調剤と異なり顧客との接点を能動的に自ら創出することで顧客獲得を図っているのが特徴です。
 私どもがいま支援させていただいているのは、これまで自ら顧客を獲得することのなかった調剤薬局、しかも圧倒的多数を占める小規模薬局が中心です。

高齢者住宅事業から派生して
多様な高齢者向けサービス網を構築

──かかりつけ薬局や健康サポート薬局など調剤薬局の新たな役割が求められるなか、その一環として高齢者向けサービスへの参入の動きについてはどうみていますか。
佐藤 確実にふえていると思います。なかでも顕著なのが高齢者住宅ですね。(続きは本誌で)
月刊シニアビジネスマーケット
2020年12月号

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