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【座談会】コロナ禍でこれからの高齢者住宅はどう変わる?

  • 有料老人ホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅
国内での陽性者の発見から半年以上を経てもコロナ禍の収束がみえないなか、今後、高齢者施設・住宅はどのような方向を目指すべきか。主要事業者が集う高齢者住宅経営者連絡協議会のメンバーに市場の変化から対応策、将来展望まで語ってもらった。

高齢者住宅経営者連絡協議会

 グッドタイムリビング 代表取締役社長 森川悦明氏
 ツクイ 執行役員 笠松慎也氏
 日本の介護 代表取締役 昆野 仁氏
 日本ホスピスホールディングス 執行役員 三重野真氏
 長谷工シニアホールディングス 取締役会長 浦田慶信氏
 マザアス 代表取締役社長 吉田 肇氏
 (社名五十音順)

住替えは自立向けはブレーキも要介護向けは安定、復調

――新型コロナウイルスの感染拡大が長期化するなか、その発生から現在までの間に高齢者施設・住宅事業に携わるみなさんの見方、考え方も変化してきているかと思いますが、そのあたりからお話をいただけますか。
森川 細かくは整理しきれていませんが、総じて言えるのは、「withコロナ」の言葉通り、現在の特異な状況が今後の「普通」になっていくのではないかと考えています。そのなかで、高齢者住宅はいま一度世の中に期待される存在になるとみており、「新しい常態」のなかで、利用者の期待に応えるサービスを提供していくことが基本だと思っています。具体的には感染症予防に優れた住まいを設計面やサービス、ロボティクスなどで実現していくことで、従来型の手厚い介護だけでなく、こうした部分が施設の価値創出につながるはずで、まずは生活空間としての安全性を高め高齢者住宅の価値をあらためて向上させていくことが重要だと思います。
――コロナ禍以降、入居検討者のニーズの変化などを感じる場面はありますか。たとえば立地の選択基準などはいかがでしょうか。
森川 「都市部から郊外へ」という変化は、オフィスワーカーを中心に「働き方の選択」として、密集を避ける場への移行ということは起こるかと思います。では高齢者住宅はどういう立地が求められるかというと、コロナ以前と大きな変化はみられません。やはり交通至便な立地で多様な場所にアクセスが取れる、人とのコミュニケーションが図れる立地が求められると思います。遠隔地でもリモートによる交流などは可能になるでしょうが、やはりリアルな人間関係の価値こそがあらためて見直されるのではないでしょうか。
笠松 森川さんが言われるとおり、これまで東京など大都市部に暮らしてきた方がコロナを恐れ地方に移住するケースはごく一部だとみています。やはり家族や友人、知り合いがいる住み慣れたエリアのなかで住み続けたいという方がほとんどだと思います。
――では、自立の方と要介護の方でのニーズの差異についてはどうでしょう。
笠松 自立の方では、従来は先を見据え早めの住替えを行なう動きがありましたが、「いま住み替えるより、もう少し在宅で頑張ろう」と考える人はふえたのではないでしょうか。半面、要介護の方においては、当社でもコロナ禍発生当初はスタッフの状況も考慮し入居を制限したものの、6月以降は地域の状況を見ながら以前の状態に戻しております。ただ全般的な変化として入居に際し、施設が感染予防をしっかり行なっているかの事前確認はこれまで以上に問われるようになっています。また協力医療機関とどの程度連携しているか、さらにもし感染した場合にどのような対応をとってもらえるか、も同様です。
吉田 当社も自立と介護双方を手掛けていますが、重度の方対象の施設のほうは影響が小さい半面、自立型のサ高住などは外出自粛の社会的気運が広がるなか、「自宅にとどまるほうが安全」というイメージにつながったのか、新規入居は進んでいない状況です。また当社グループの紹介センターなどでも、問合せそのものは大きくは減っていないものの、紹介する施設側が新規受入れをストップしていたため、住替えにつながっていない状況も伺えました。先の立地面については、東京近郊のリゾート型立地の既存物件では、コロナ禍で申し込みがふえた、という声も聞きますが、実数からすれば限定的なものといえるでしょう。
浦田 当社の高齢者住宅の総入居者数は約2,300人。内訳は自立が約6割、要介護が約4割で、建物の内部で両者のゾーン分けをしています。コロナの影響で3月から見学会を事実上停止し、昨年度末まではそれまでの営業活動の成果としてそれなりの契約ができていたものの、年度が変わった4、5月からは急ブレーキがかかった格好でした。たとえば5、6月の2カ月間で自立型の契約件数は1件のみ。一方、介護型はそれでも一定の入居があったのはいまのお話と一緒です。ただ緊急事態宣言解除以降は見学会も人数などを限定し再開したこともあり、7月は自立型でも動きがではじめました。介護型では100%を超えることができました。特に関西では金額目標比で200%といううれしい報告を聞いたところです。一方、別事業ですが認知症デイサービスでは7月に新規顧客獲得数が創業以来過去最高を記録しました。つまり介護サービスに対するニーズがコロナでなくなったわけではない、サービスを求める人はたくさんいる、ただそれが高齢者住宅の場合、十分契約に結びついていないというのが現状だとみています。
(続きは本誌で)
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