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――プロフィッツ

企画アイデアで物件と資金獲得
ユーザー目線でリターン最大化

  • ファンド
  • ソーシング戦略

EFFICE赤坂

出所:プロフィッツ

資金調達では物件よりもコンテンツを先に決める

 プロフィッツは、2017年に営業を開始した不動産AM会社。21年12月に投資助言業免許を取得し、今後ファンド組成を積極的に進めていく考えである。同社が手がけるAMの特徴は、「不動産投資と事業開発の融合」である。不動産のみならずそれを利用するテナント に着目し、彼らの利用満足度を高めるコンテンツを作ることにより不動産価値を引き上げることを念頭に置く。
「不動産ファンドにおけるリターンの源泉はテナント賃料であるが、AM会社は投資家の方ばかりに目を向けがち。当社の場合、リターン最大化にはテナントマネジメントこそが重要で、投資家とテナント(ユーザー)の両輪をコーディネートすべきと考えている」と語るのは、代表取締役の田中慎一郎氏。同氏はハウスメイトワークスやザイマックス、ラサール不動産投資顧問、独立系投資会社設立などを経て現職に至っている。こうした姿勢はソーシングや資金調達のプロセスにも表れている。通常の不動産ファンドであれば物件を決めてから資金を調達するのに対し、プロフィッツでは不動産に付加するコンテンツのモデルを投資家に提案してから、そのコンテンツに適した物件を探すケースも少なくない。
「不動産価格の高騰が続くなか、投資家は想定通りのリターンを確保できるか危機感を強めており、収益アップにつながる新しいビジネス発想への感度を高めているように感じる」(田中氏)。

一味違うオフィス企画を立案
都内ビルで展開すべく物件探す

 プロフィッツでは目下、2つのオフィス企画を進めている。
 そのひとつが、人材採用を強化したい中小企業向けのセットアップオフィス「EFFICE(エフィス)」である。業務席数の1.5倍の人数を収容でき、かつ内装・家具を予め備えることによる企業の費用負担軽減、ギャザリングスペースの充実によるコミュニケーション促進や個室ブース設置による生産性向上、テナント退去後の内装・設備再利用による環境負荷軽減を売りとする。またリーシングにおいても、エリアと賃料のみによる比較に巻き込まれるのを避けるため、SNSやパートナー企業のオウンドメディアを活用してテナントの入居メリットをPRしていく。
「コロナ禍によるオフィス縮小の動きは一巡し、人材採用強化に向けたブランディング戦略としてオフィス環境に投資を行う企業が増えている」と、ソーシング・アクイジション&ビジネスディベロップメント部長の多幾宏平氏は話す。
 1号物件として「EFFICE赤坂」(東京都港区)が6月にオープンし、オープン前に入居テナントが確定した。分譲賃貸マンション「エスト・グランディールCARO赤坂」の1〜2階(86.43坪)にオープンしたもので、投資家とプロフィッツの共同出資にて当該区分を取得している。また7月には神保町でも20坪の規模で2号物件をオープン予定。3号物件以降のオープンに向けたソーシングも進めており、「都心駅近の既存B/Cクラスビルを1棟で取得する形での展開を狙っている」(多幾氏)とのことだ。
 そしてもうひとつの企画が、「BLOCKS OFFICE(ブロックスオフィス)」というシェアオフィスである。これは新宿や渋谷などへのアクセスに優れた住宅地エリアで、小規模事業者(従業員1~5人)をターゲットにシェアオフィス専用の1棟ビルを新築またはコンバージョンで展開するというものだ。コロナ禍を経て住居の近くに働く場所を構えたい需要が増えたことと、小規模事業者向けの良質なオフィス供給が限定的だったことから展開を決めた。
 展開に際しプロフィッツは、シェアオフィス運営事業者のRJオフィスと合弁会社「BLOCKS PLUS」を設立。この合弁会社がBLOCKS OFFICEの運営を担う。
「運営に投資の目線を加えることで、機動的にブラッシュアップを図るのが狙い」(多幾氏)。
  1号物件として「BLOCKS目黒不動前」(東京都品川区)が8月にオープン予定。プロフィッツがAMを担当し、投資家が取得したビルをコンバージョンするものである。現在も複数の機関投資家と話をまとめたうえで、年3〜4か所の新規オープンを目指しソーシングを進めている。

BLOCKS目黒不動前

出所:プロフィッツ

物件だけでなくコンテンツのソーシングルート確保に躍起

 今後の事業拡大に向け、プロフィッツはさまざまなプレーヤーとの協業にも関心を寄せる。そのひとつがデベロッパーや建設会社との提携だ。彼らに新たな事業機会や付加価値創出のアイディアを提供する一方、開発物件をオフマーケットで取得できる機会を確保する。目下、デベロッパーからフォワードコミットメントにて物件供給を受ける形で、賃貸住宅ファンドの組成準備を進めているという。また強力なソフトコンテンツを有する企業との提携も視野に入れていく。企業にコンテンツ成長の場として不動産を提供する一方、プロフィッツもコンテンツを援用して不動産価値を向上させることを目論む。いわば物件のみならず、コンテンツのソーシングルートを確保しようというわけである。
「高いリターンを確保したいのであれば、AM会社自らテナントがしっかり儲けられる仕組みをよく考えるべきで、それを実現すればテナントが賃料増額を受け入れる可能性は極めて高いはず。事業開発の視点から知恵を絞り、手間を惜しまない点に当社の強みがある」と田中氏は結んでいる。
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