ラクビル
SPECIAL REPORT

ラクビルが提供する「ラクビルTeX」は、ビルの入居企業、管理者、所有者間のやり取りを効率化するシステムだ。具体的には、テナントからの問い合わせや各種申請、管理者による確認・承認、テナントへの通知などを1つのプラットフォームに集約し、PM・BM担当者間の情報共有や業務連携を円滑化。業務処理の迅速化と管理負担の軽減につなげる。「導入で管理業務を省力化できたぶん、既存人員で管理棟数を増やせ、収益性や付加価値の向上に向けた本業の取り組みに一層時間が割けるようになる。人手不足の解消にもつながる」(代表取締役CEOの大内健太郎氏)。
対象は、オフィス、商業施設、物流施設、複合施設など幅広く、特にテナント数の多いビルで効果を発揮する。
導入企業は拡大。それに拍車をかけている機能が、AIによる問い合わせ対応の自動化とテナント向けポータルサイトの存在だ。前者について、従来、担当者が個別で対応していたテナントからの問い合わせに、AIが館内ルールなど指定された資料を参照して24時間自動回答する。回答には参照した資料名が引用元として表示され、AIが答えきれない問い合わせは物件担当者へ引き継ぐ。同社が導入前の問い合わせを分類したところ、館内ルールに答えが書かれている質問が約6割を占めたといい、管理担当者の定型業務を削減するとともに、テナントの回答待ち時間も短縮する。後者については、会議室の予約から工事申請までをポータルサイト内で一元管理できる。工事申請ではBM、PM、オーナーの順に確認・承認するフローも設定でき、管理会社をまたいだ承認にも対応する。
その他アセット別の特色をみると、商業施設向けでは売上管理機能を搭載。店舗がレシートなどの証憑を添えて売上を報告する仕組みで、複数ビルの売上を横断して集計・出力できる。レジとの自動連携を前提とする大規模商業施設とは異なり、中規模商業施設やオフィスビル低層部の商業区画などを主な対象とする。また複合ビルでは、上層階のワーカーに販促情報やイベント告知を配信し、利便性や満足度の向上にも活用できる。こうしたソフトサービスは、テナントへの提供価値を高める施策となる。「昨今の賃料水準が上昇している状況下において、当社システムを通して提供されるソフトサービスが賃料改定の裏付けの一つとなれれば」と営業開発部の尾﨑渉氏は話す。
料金体系では、延床面積を基に料金を算出する通常プランに加え、常駐管理員のいない小規模巡回管理物件向けに「ライトプラン」を用意する。機能を一部に絞り、1棟月額1万円から利用できる。大型物件で導入している管理会社も、小規模物件へ展開しやすく、物件規模に応じてコストを抑えながら管理業務を効率化できる。
導入棟数は着実な増加をみせ、近年は大型オフィスビルや複合施設での導入が拡大。具体的には、東急コミュニティー、中央日土地ビルマネジメント、東京建物などで導入が進んでいる。
さらに、システム提供を通じて培った不動産運営管理とテクノロジーの知見を生かし、導入企業向けのコンサルティング事業も展開する方針だ。DX・AI人材が不足する企業に対し、自社製品に限らず、施設規模や業務内容に応じたシステム選定、AI活用、業務フローの改善などを支援する。「システムの提供にとどまらず、運営現場の課題に即した改善を通じて、ビル管理業務の効率化と高度化を目指す」と大内氏は意気込む。
大内 健太郎氏(左)
代表取締役CEO
尾﨑 渉氏(右)
営業開発部