“ものづくり”をテーマに開業10周年
園全体の集客力を支える人気エリアに
【CASESTUDY】
東京都稲城市の遊園地「よみうりランド」内の「グッジョバ!!」が開業10周年を迎えた。2016年3月に「ものづくり」を体感できる新エリアとしてオープン。総事業費は約100億円で、1964年開園のよみうりランドにとって最大の大型投資であった。
約2万4000㎡のエリアに自動車、食品、ファッション、文具をテーマにした4棟のファクトリーを設置(2016年オープン時)。パートナー企業の参画を得て、実際に日常生活で目にする機会が多い商品の製造工程を体感することができる点が特徴だ。アトラクション、ワークショップの内容については実際にパートナー企業の製造工程を見学するなど、数年がかりで企画・開発した。
さらに、21年11月には新たに大正製薬㈱が参画し、健康をテーマとするファクトリーがオープン。一部パートナー企業との契約終了もあり、26年8月時点では「CARfactory」(日産自動車㈱)、「FOODfactory」(日清食品㈱)、「SPACEfactory」(大正製薬)、「FASHIONfactory」のファクトリー4棟、およびエリア上空を巡る自転車型ライドアトラクション「SKYパト」(ALSOK㈱)などで構成、15種のアトラクションと4業種のワークショップを展開する。
なお、文具をテーマとする「BUNGUfactory」は今年4月で営業を終了し、現在は「グッジョバ!!スペース」としてイベント開催などで活用されている。

「グッジョバ!!の開業によってよみうりランドの提供するサービスの幅が広がり、また屋内中心の全天候型エリアという点でも従来にはなかった訴求が可能に。よみうりランド全体の入園者数底上げに寄与しています」と話すのは、㈱よみうりランドアミューズメント事業本部遊戯機管理部部長久保田恭弘氏。よみうりランドの15年度年間入園者数は約173万人であったが、グッジョバ!!が開業した16年度は約193万人に増加。その後、コロナ禍の影響が直撃した20年は約106万人にまで減少したものの、21年以降は再び増加に転じ、以降は右肩上がりで推移、25年度は約236万人を動員した。
同園では19年に「スーパー遊園地構想」を掲げて積極的な投資を行なってきた経緯もあり、そうした総合的な戦略の成果としての入園者数増加ではあるが、その一端をグッジョバ!!が担っているのは確かである。
「戦後復興の高度成長期を支えた日本のお家芸といえる〝ものづくり〞をアトラクション通じて体験いただきたい」(久保田氏)との考えで企画されたグッジョバ!!は、親子三世代をメインターゲットとして想定。実際、小さな子どもを連れた親子三世代の利用が多くみられ、狙い通りの集客を実現できている。またどのアトラクションもワンデーパスで利用可能なため、高校生や大学生など若者グループが楽しむ姿も多くみられる。
こうした成果には、学びの要素だけに特化するのではなく、「エリア全体でみて楽しさ7割、学び3割という配分」(久保田氏)が奏功している。たとえば、SPACEfactoryでは吊り下げ型コースター「リポビタンロケット☆ルナ」とアップダウンを繰り返しながら座席が水平回転する「ファイトイッパーツ!」が配され、入園者の目を惹く。アトラクションには「リポビタンD」の製造工程を説明する部分もあるが、基本的には〝楽しさ〞が重視されたコンテンツである。

一方、ワークショップでは、「リポビタンラボ〜リポ博士とヒミツの研究〜」を開催。ラムネ菓子づくりで錠剤の製造工程を疑似体験できる内容だ。実際の製造工程で使用される「打錠機」によって粉末を錠剤型にしたり、錠剤に施される識別用の印刷のようにラムネ菓子に印刷をしたりと、子どもが楽しめるストーリーをベースにしながらも、その〝学び〞の内容は本格的である。


今年7月にはFOODfactoryをリニューアル。3Dシューティングアトラクション「U.F.Oソースシューティング」を新設。パートナー企業からも一定の評価を獲得した。また、園内の「プールWAI」において「日清焼そばU.F.O.食堂」を設けたり、今夏には「プールWAI」でイベント「大正製薬リポビタンDaysプレゼンツ『ダンスプラッシュ!!』」を開催するなど、グッジョバ!!をきっかけとするパートナー企業との各種施策も園全体へと波及している。
今後、少子化進行が予想される国内マーケットにあって、「首都圏に位置するよみうりランドは周辺の人口推移などをみても有利な立地」としたうえで、「グッジョバ!!は能動的に遊びながら知的好奇心も満たせるエリアとして、満足度と集客力向上に引き続き努めたい」(久保田氏)との考え。日本を代表する企業である現在のパートナー企業との一層の関係深耕のもと、今後もリニューアルや新コンテンツ導入などを検討していく構えだ。またテーマに合致し、かつアミューズメント性との融合が可能なことを前提として、新たな業種・パートナー企業についても可能性は否定しない。子どもを対象としたエデュテイメントとしてだけでなく、園全体の集客を支えるグッジョバ!!の次なる10年にも期待が高まる。