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商店街のビルの空きフロアを客室に
域外から人を呼び込み地域を活性化

ビル泊

CASESTUDY

若い世代やインバウンドを集客
分散型で中心市街地の活性化を図る

<前略>
 ビル泊は㈱CSAtravelが手がける商店街の空きビルを活用した分散型宿泊施設である(図表1、2)。同社は静岡市を中心に不動産の売買・仲介・不動産活用などを行なう㈱CSA不動産の子会社で、静岡鉄道㈱や㈱静岡新聞社などの出資を受け、16年に設立された。
 ビル泊は静岡市中央商店街連合会と連携した取組みである。20年3月にJR静岡駅周辺の中心商業地の「コスモスビル」「政豊ビル」「YS静岡呉服町ビル」「江﨑新聞鷹匠ビル」の4棟合計7室をオープンした。さらに22年には「ガーデンスクエア第6ビル」、23年には「ザシードハウス紺屋町」をオープンし、現在は6棟10室体制となっている。
 レセプションはホテル以外の場所に設置しており、その10分圏内に各ホテルが点在している。客室は路面ではなく2階以上のフロアを使用しているが、エントランスは商店街の雑居ビルそのままで、小さな看板が出ている程度。注意しないと見過ごしてしまう。しかし、隠れ家的な雰囲気があり、期待感が高まる。その一方で、室内に入ると様相は一変して全室スイートルーム仕様となっており、ラグジュアリーなホテルライフを提供している。最新の「ザシードハウス紺屋町」は2部屋からなり、301号室はベッドのまわりの格子が印象的なシックな内装、アイランドキッチンが付いて長期滞在にも対応できる。

 401号室はロフト付で、アイボリーを基調にした明るい内装に丸みを帯びたソファがかわいい。窓からは目抜き通りである呉服町通りを見下ろせる。
 利用者は、当初はファミリーやグループを想定していたが、実際はカップルや夫婦など2人での利用が多く、年代も20歳代〜30歳代と若い層が多い。YS静岡呉服町ビルでは客室を開放することで大部屋になり、誕生日パーティや企業の慰労会など大人数でのパーティに利用されることもある。
 東京都心から新幹線を利用して1時間程度でアクセスできることから、関東圏からの利用が最も多い。現在はインバウンドの需要も高まっており、宿泊者の5割程度がインバウンドである。国籍・地域は主に韓国や香港、台湾などアジア圏。

 ビル泊と商店街との連携として、SNSを通して商店街の飲食店などを紹介したり、宿泊者には同じビルのフィットネスクラブの利用無料特典を付与している。商店街の店舗へのアンケートによれば、ビル泊で来店者がふえたとの声もあり、地域貢献の効果が確認できる。
 同社によれば、商店街を活用したビジネスモデルに注目している行政・企業・団体が非常に多く、視察の問合わせ・申込みが多いとのこと。地方を考える場として、大学の視察もあるそうだ。ビル泊のフランチャイズも募集しており、そちらの問合せも寄せられている。条件が合えば今後も新たな客室をふやしていく予定だ。 
 [続きは本誌にて]

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