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平山恵一氏[(株)共立メンテナンス ドーミーイン事業本部 首都圏事業部 部長]

【VIEWS】共立メンテナンス

サウナ導入の先行チェーンホテルとしてさらなる進化と差別化策を継続

開放感のある天然温泉はドーミーイン最大の強み

(前段略)
 ホテル事業の「ドーミーイン」は4つのブランドから構成し、「スタンダード」53か所、「プレミアム」17か所、「エクスプレス」9か所、「御宿・野乃」11か所の総計90棟を北海道の稚内から鹿児島にまで展開し、特に都市部の東京都内には12棟を擁すほか、さらに今期は4棟の新規オープンを予定しており、今後は全都道府県への開設を目標にしています。そのなかで、ビジネスホテルという業態にあって大浴場やサウナなど温浴機能の付帯を早くから図った理由についてお話します。

 そもそも当社が手掛けていた寮事業においては、入寮者の方にそこが「わが家」であると感じてもらえることを重視していました。ホテル事業でも同様で、宿泊のお客様に自分の家と同じようにくつろいで過ごしてもらいたい、それには客室内の手狭なユニットバスでは足も伸ばせないだろう、とゆったり入浴しながら疲れがとれる大浴場の併設を発想したのが発端です。

 その第1号はいまから約30年前の1995 年に開業した千葉市・蘇我のドーミーインです。開設当時はビジネスホテルに大浴場の併設は事業的にも非常識とさえ言われた時代でしたが、大浴場が必須の寮事業で培ってきたノウハウも活かしながら導入に踏み切りました。以来現在までに当社が展開する90のホテルにおいて、大浴場を付帯しない物件は「ドーミーインE X P R E S S 松江」(島根県松江市)1か所のみです。

 とはいえ、このホテルでも客室内のユニット浴槽を大型化し浴槽内で腰掛けられるタイプを採用するほか、浴室内にテレビを設置し、くつろぎながら入浴してもらうというコンセプトは共有しています。また、立地にもよりますが、基本的には天然温泉を中心とし、近年の開発では沸かし湯の物件より上回っています。また、配置については都心部を除き、建物最上階への設置を基本とする設計としています。

 

 事業的には天然温泉の掘削や、最上階への大浴場の設置は建物の荷重強度の点でもコストアップにつながるのは不可避ですが、ホテルでも「わが家」を体感してもらううで“入浴”という要素を重視するため、一貫して取り組んでいます。特に最上階への大浴場の設置は地階や1階部分などに比べ、露天風呂やサウナ利用時の外気浴の提供も可能で、開放感の高さが顧客満足につながるものと捉えています。

 この約30年の歴史のなかで、「天然温泉」「最上階の大浴場」はドーミーインの最大の強みとして広く市場に認知を得ていますから、多少建築費が嵩んでも、可能な限り最上階に温泉による大浴場を設置していく方針は変えません。

ロウリュの導入など進化するニーズにも積極対応

大浴場の構成要素については内湯、露天風呂、サウナ、水風呂が標準で、建物規模や立地により異なるホテルもあるものの、サウナはすべてのホテルに設置する形です。最近はサウナブームもあり、ビジネスホテルの世界でもサウナを導入する施設がふえてきているため、その意味では、先行施設としてそこからさらに進化し、差別化を図っていかねばなりません。

特に水風呂についてはこだわり、強冷水を採用し、通常水温16°Cのところ12°Cに設定し、より爽快感を味わってもらえるよう配慮しています。また天然温泉の施設では水風呂にもその源泉を使用している店舗が稚内、八丁堀(東京)、倉敷と3施設あります。これは希少な存在だと自負しています。ドーミーインのサウナは室温96°Cに設定した高温サウナですが、一部のホテルの女性サウナは、ミストサウナを設置しています。

 さらに、ドーミーインは駅近の都心型の立地展開が主流ですが、17年に開業した「ドーミーイン E X P R E S S仙台シーサイド」(仙台市宮城野区) は、当社初の郊外ロードサイド型です。しかも温浴機能の充実を図り、ホテル棟とは別に専門の温浴棟を併設した初の複合施設でもあり、両棟の中央にフロントを設け、そこで両者の利用客を振り分ける形です。通常、ホテルでの浴場面積は男性を広めにとりますが、ここでは男女同一としました。

 また、ここで当社では初となるオートロウリュを導入。60分に1回のタイミングで実施し好評です。差別化という意味では、ドーミーインの新設物件では、セルフロウリュが可能なサウナ室も設けています。これもサウナブームとともにふえてきた自分でロウリュをやりたい、との声に応えてのものです。細かな部分では、サウナ室を快適にご利用いただくために森林浴を楽しめるヒノキの香りを生む薬剤を導入し、より空間の快適性を高める工夫もしています。
<続きは本誌にて>

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