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【VISUAL REPORT】グリナリウム淡路島

「映え」「事業効率」を凌駕する徹底した「いちご愛」
生産と集客の2本柱で成長を持続

上下可動式イチゴ棚を活用 ピクニック体験を提供

神戸淡路鳴門自動車道で明石海峡大橋を渡った最初のインターチェンジ「淡路」IC から車で約5分。県道157号線沿いの高台に「グリナリウム淡路島」はある。同施設は約6・7haに及ぶ広大な敷地に、ピクニック感覚でいちご狩りが楽しめるハウス、トマトの収穫体験ができるハウス、施設内で採れたイチゴやトマトをはじめ、地元産の魚や野菜、淡路牛などの食材を中心としたメニューを提供するカフェ&レストラン、さらにBBQエリア、広大な広場などで構成される。

そのなかで、集客の目玉となるのがイチゴ狩りのできるハウス「いちごピクニック」。約1440 ㎡のハウス内には高設栽培のイチゴ棚が設けられる。土耕栽培のように地面上で生育するものではないため、観光農園では利用者の身体的な負担が少ないものとして採用が進むが、同施設の場合、その高さを温度や日照に合わせ最適な位置に上下移動可能な「吊り下げ」方式を導入。そのため、「空中に浮かぶイチゴ」の姿が、インスタなどの写真投稿サイトでも「映える」として評判が高い。

空間的にも平坦な印象になりがちな農園とは異なり、棚の高低により変化を生み出す効果も。生産する品種は「紅ほっぺ」「かおりの」「章姫」「おいC ベリー」「やよいひめ」などで、季節により変動する。さらに同施設は、土足を脱いで入場、清潔感のある白い床に腰を下ろし思い思いの恰好で空中になるイチゴの姿を下から眺めながら文字通りの「いちごピクニック」が楽しめるのが特徴。床に広げるラグや折り畳み式のイスやテーブル、ハンモックなどのピクニックツールを豊富に用意し、好みのものを選んで利用することができる。

 

利用可能な期間は、基本的に毎年12月から翌5月末あたりまで。入場は事前予約制で90分間1300 円(1パックのイチゴ代含む)。食べ放題ではなく、収穫したイチゴは量り売り方式でその場で販売(100g当たり300円前後)、また、各種スイーツや軽食、ジュースなども販売しており、摘みたてのイチゴとともに味わえる。

一方のカフェ&レストランは広大な斜面地を見下ろす絶景を活かしたガラス張りの開放的な空間。ホテルシェフ経験者やパティシエらによる、同施設の出自でもあるトマトをベースに淡路島ならでの食材を掛け合わせた「ここでしか食べられない」本格的なメニューを提供。カウンター形式の屋外テラスでは遠く明石海峡や本州までを見渡す景観を望みながら食事ができる。

 

隣接して、全面ガラス張りの「キウイデッキ席」を配置。内部の天井近くにはキウイやパッションフルーツがなり、温室のなかのような空間。こちらでもレストランのメニューを食べられるとともに、ペット同伴可能なゾーンとしている。その横には世界各地の10種類超のトマトを栽培する「トマトハウス」(約200 ㎡) が。収穫体験が可能で、採れたてをレストランに持ち込み、メニューとともに味わうことができる。

 

またコロナ禍を契機に、より開放的な場を用意するべく、BBQ スペースも追加新設している。さらにカフェ&レストランの建物群から下に広がる斜面地は広々とした緑の草原となっており、地形を活かし、ブランコや流木による橋などで子どもはもとより大人までゆったりと屋外体験が楽しめる場としている。

 

家族で淡路島に移住 甘さを追求したイチゴ生産へ

そもそも同施設が開設されたのは2019 年のこと。それまで大手外食チェーンで食材となる農業生産部門に従事していた大森一輝氏が、自らの考える農業のあり方を追求するべく独立、淡路島に移住するとともに農業生産法人 淡路の島菜園を立ち上げ、トマトの生産に乗り出したのがきっかけ。併せてイチゴの生産に着手するとともに、徹底的に甘さ、おいしさにこだわったイチゴは消費者に届くまで時間を要す流通ルートに乗せるよりも、生産の現場に来てその場で摘んで味わってほしいとの思いから、現在のイチゴ狩りの場の開設に至った。

 

開設後はコロナ禍での営業を強いられるタイミングとなったが、三密を避けられる開放的な施設環境と、淡路島という京阪神エリアの大都市に至近ながら自然環境に優れた立地から、遠隔地への移動が困難ななかでの観光需要を獲得。現在、年間約6万人まで集客数を伸ばし、売上げ面でも開業以来、昨年対比でプラスの成長を毎年続けている。

 

またこの間、同施設からクルマで約10分の淡路島東部に、築110 年の醤油蔵を再生したカフェ「グリナリウムグレイナリー」をオープン。「いちご愛がとまらない」をコンセプトとする同施設でも、グリナリウムで採れたイチゴをふんだんに使用したパフェなどのスイーツやトマトを中心とした食材を使用したハンバーガーなど各種メニューを提供するほか、直売所としての機能ももたせ、目的客を獲得している。

 

今後は、自らのイチゴのおいしさをより広く世界に向けても発信していくステップとして、インバウンドの団体観光客をメインターゲットとしたイチゴ狩りができる集客施設の開発を計画中。淡路島というローカルの魅力を活かしその地に根差しながらも、世界を視野に新たな食の価値の提案を進めていく姿勢を明らかにしている。

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