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【CASESTUDY】
東静岡アート&スポーツ/ヒロバ
駅前の広大な市有地を暫定利用
交流、にぎわいの創出で地方創生にも貢献

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  • BMX
季節や天候に左右されず安定稼動が可能な1,200u規模の屋内スペース
中上級者向けのハイスペック。日本選手権大会の会場にも
 JR東海道線「東静岡」駅北口に、2017年5月13日に開業した「東静岡アート&スポーツ/ヒロバ」。同施設は2万4,000uの敷地にローラースポーツパーク、芝生広場、駐車場兼イベントスペースで構成。そもそもは旧国鉄時代の貨物場跡地の区画整理事業による暫定利用として、静岡市が掲げるにぎわいと交流の場づくりである「まちは劇場」プロジェクトの1拠点との位置づけのもと、市の存在価値向上および新たな来街者の増加を目指し期間限定の暫定利用を前提に開設されたもの。開発費用は約1億3,000万円。
「東静岡」駅北口に広がる旧国鉄時代の貨物場跡地約2万4,000uを暫定利用
 そのなかでスケートボード、BMX、一輪車、インラインスケートなどに対応するのが「ローラースポーツパーク」だ。同施設の運営業務については公募型のプロポーザルにより、東京・お台場などでスケートボードパーク運営に実績のある芥.L.N.A(東京都渋谷区)に委託された。運営責任者である同社杉本圭介氏によると、当初、施設の基本構成案は地元の愛好家などの意見をもとに作成されていたとのことで、「当パークだけで約7,000uの敷地をもつなど空間としてのゆとりもさることながら、季節や天候に左右されずに安定稼動が可能な1,200u規模の屋内スペースはキーポイントとなりました」(杉本氏)とする。
運営責任者の杉本圭介氏
 そのうえで市として広域からの来街による周辺エリアの活性化も事業目的としていたことから、このパークを目的に来場してもらえるよう、世界のコンテストシーンのレギュレーションを想定したハイスペックなセクションを配置。実際、屋内スペースはスケートボード全日本選手権をはじめ、プロサーキット戦など各種コンテストの開催場所となっている。その効果は絶大で同パークの名を全国的に広く知らしめ、トッププレイヤーなど広域からの集客につながったという。
段階的に地域需要を獲得、年間3万人超の集客実現
広々したフラットスペースが初心者にも好評
 こうした中〜上級者層を主にした施設づくりを施設の認知度向上に活かし、初速をつける一方で、徐々に地域の利用者の関心をひきつけ新規顧客を呼び込む戦略を想定。ハード面でもフラットなスペースを広々と用意することにより、ビギナーの価値となり、1人でじっくり練習したい人の需要も受け止める。さらに初心者向けの無料体験会や学校の課外授業などでの利用にも実績を積み、段階的に足元での裾野を拡大し安定経営を実現している。
 開業初年度の来場者数は年間約1万7,000人だったが、以降右肩上がりで、直近ではコロナ禍による営業の制約などがあるなか約3万人にまで達する(ちなみに屋内スペースは現在も最大定員60人に限定中)。利用種目比ではスケートボードが約65%、BMXが約20%、インライン約10%、残りが一輪車とのこと。
直線コース(ストローク)は当地で盛んな一輪車の愛好者に人気
 実際の利用においても屋内スペースはもとより、屋外では起伏に富むBMX専用のパンプトラックの人気が高いほか、直線コース(ストローク)も一輪車利用者に好評。
 また業務委託の範囲には、ヒロバ全体でのイベントの開催を含むこともあり、同社ではイベントの企画・開催にも積極的に取り組む。パークのイベントとして2〜3か月に1回程度を開催(「H.L.N.A BMX JAM」など)、また「芝生広場」ではライブやアクティビティ、体験型ワークショップ、飲食・物販ブースの出店など、トータルで年間10回以上の多彩なイベント開催を手掛け、にぎわいづくりにつなげている。
公共事業的な制約をどう乗り越えていくか
受付を行なう管理棟
 契約内容は、静岡市や地元関係者によって組織された実行委員会から管理・企画運営委託を受ける形。ちなみに同社が東京・お台場で運営する「リポビタンfor Sports SKYGARDEN by H.L.N.A」では面積は7分の1の約1,000uで、年間利用者数は約1万7,000人ながら、売上額はヒロバよりも大きい。スクールに集中した運営ができ(1回3,500円)、結果的に客単価が上昇し経営効率は高いようだ。一方のヒロバの場合は公共的な意味合いが濃いため、特定の顧客が対象となるスクール事業などには制約がある(主にビギナー向けに種目ごとにスクールを設けるが料金は2,000〜2,500円)。また一般の利用料も、12歳以下は会員になれば(会員カード料金500円)都度は無料など低廉な設定だ。
 また、イニシャルコストは市が負担したが施設の修繕費や設備のメンテナンス費用は同社の負担。ヒロバ全域の植木の管理からトイレ修理などまで、経年とともにコストプッシュ要素があるほか、パークでのレンタルギアなど消耗品に要するコストも利用者が多い分、お台場の比ではないとのこと。
 また同パークではそもそも同社のショップを併設せず、周辺ショップとの地域連携を打ち出すことから一般的なパーク事業では大きな収益軸となる物販収入が見込めないことも経営的には厳しい要素となる。
受付カウンター。各種ギアのレンタルも行なう
 ある意味、100%フリーハンドの自社運営施設とは正反対のケースだが、それでもこの現場で得た顧客ニーズなどに対する知見が事業の幅を広げ、また新たな展開へとつながるメリットは大きいと杉本氏。  ちなみに市との契約期間は暫定利用案件のため、当初は17年度から4年間、その後22年9月まで延長されたが、以降については5年の期間が経過することから現在、委託業務に関する再公募が行なわれており同社もプロポーザルに参加の方針。民間事業者にとっては公共施設としての運営面、経営面での制約や、期間限定という点では追加投資の判断などにもむずかしさがある案件だが、若者層やファミリー層を中心ににぎわいづくりに一定の成果を挙げてきた事例だけに、恒久的な空間の利活用も含め今後の成り行きを注目したい。
<そのほかの事例研究は本誌にて>
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