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――ゴルフダイジェスト・オンラインに聞く

ゴルフ場、練習場、ショップともに好調
いまこそ、業界挙げて一気通貫のサポート体制構築を

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ゴルフ用品販売サイト「GDOSHOP.com」立上げから20 年余り、登録会員数500万人を擁し、ゴルフ場予約事業からメディア事業、インターネットによるゴルフ用品販売事業、さらにはゴルフレッスン事業などを通じ、ゴルフマーケットを全方位的に俯瞰する潟Sルフダイジェスト・オンライン取締役副社長 COOの吉川雄大氏に、現在および2022年以降の市場環境、そしていまの追い風を一過性のブームとして終わらせないために求められる視点を聞いた。

若者、女性がコロナ禍以降増加。スループレイニーズは2022年も続く

 2020年4月に発出された緊急事態宣言以降、登録会員数は新規が顕著にふえ、コロナ前と比べて月間平均で140%の伸びを示しています。世間全般に広がった三密回避、アウトドア志向が当社サイトの登録者数にも如実にあらわれた結果とみています【別図】。
 また、当社サイトの会員年齢は40~50歳代が中心ですが、このコロナ禍で20~30歳代が一気にふえました。女性に関しては、年代を問わず140%の伸びです。逆にシニア層はまだリスク回避のために利用控えをしているせいか大きく変わらない状態です。
 ゴルフ場の予約件数は20年夏以降増加し、20、30歳代の若年層、かつ(短時間・低料金の)スループレイスタイル中心の傾向が続いています。この状況は22年以降も当面続くとみています。スループレイはゴルフ場側としてはオペレーション上、結構な手間を要しますし、飲食需要がないぶん客単価が低くなるため、20年末あたりからスループレイをやめて休憩を挟む従来のスタイルに戻したゴルフ場もありますが、戻した途端に集客に苦戦しているという話も聞きます。逆にスループレイスタイルを強化したゴルフ場にお客さまが集中しているといった状況です。
 ゴルフ場のグレードによって異なりますが、ビギナーも受け入れる標準的なゴルフ場は、コロナ前とは明らかに風景が変わっています。たとえば当社が運営するゴルフ場「GDO茅ヶ崎ゴルフリンクス」(神奈川県茅ヶ崎市)では週1回、ビギナー向けにラウンドデビューをお手伝いするプランを設けています。道具はレンタル、ボールやティーはプレゼント、スタッフが手取り足取り教えるというものですが、これが若者や女性のグループ、子育てでいったんゴルフを離れていた若い夫婦などに好評で、以前のように、「ちゃんと練習してから」「ゴルフの上手な人に連れてきてもらう」というのではなく、みなさん気軽に楽しまれています。われわれとしてはこうした体験をリピートにつなげたいと考えています。
 つまり、ゴルフ場が自ら敷居を下げ、ビギナーを受け入れる環境を整備、そして既存のメンバーに理解いただきながら一緒にゴルフを楽しむ環境をつくっていくことが、選ばれるゴルフ場への近道のように感じています。
 最新の状況に関しては、22年1、2月の予約状況をみると、ゴルフ熱の高いコアゴルファーを中心にコンペ需要が戻ってきているという動きもあります。コンペは緊急事態宣言で3分の1以下に減りましたから、この動きは興味深いですね。オミクロン株の動向しだいといったところでしょうか。

差別化が課題の練習場。ショップ事業はアパレルが好調

 当社はゴルフレッスンスタジオ「GOLFTEC by GDO」を全国に12店舗運営しています。やはりコロナ以降、若者中心にレッスン需要はふえていて、20~30歳代の割合はコロナ以前では全体の3割程度でしたが、現在は4割を超えています。
 昨今、特に都心部でふえているのがインドアのゴルフ練習場です。シミュレーターの操作も容易で、上手くなるために1人でコツコツと練習したい人には利便性が高く、好調は続くとみています。最近では24時間利用可能なインドア施設も続々と開発されています。予約や入退室、セキュリティ管理をDXで賄えば、無人での運営も可能ですので、箱モノを運営する当社としても今後、検討していきたい分野です
 屋外練習場の集客も好調ですが、ここ最近、実績ベースでみて20年比で減少の施設も出てきています。競合施設との差別化や付加価値づくりなど、新しい仕掛けを考えないと現状を維持できない時期にきているように感じます。手前味噌になりますが、当社がアメリカのトップゴルフ社と共同事業を行なっている練習場向けの打球追跡システム「トップ・トレーサー」(TTR)を導入いただいている施設は、コロナ禍でも好調な練習場業界全体のなかでも、さらに上回って好調な集客を実現できています。TTR導入施設における利用率は約8割ですが、利用状況のデータを見ると、TTRのゲームモードなどの利用も含めて、既存ゴルファーだけでなく未経験者においても、 練習場での新たな体験ができることで、来場増、新規顧客増につながっていると考えています。
 ショップ事業についても、コロナ禍ではeコマースの伸びが著しく、20歳代の利用が1.5倍にふえています。ただ、ゴルフ用品は海外のサプライチェーンがコロナ禍で部分的に麻痺しており、工場が稼動しないために苦労しています。クラブのグリップがつくれない、スチールシャフトが入荷されないなど商材の確保が厳しく、新品が出回らないことから中古品も流通していない悪循環に陥っています。他方、ゴルフウェアなどアパレル製品は影響が少なく、業績を伸ばしています。

業界全体でのつながりで、新規ゴルファーの「定着」を

 いまゴルフ業界はコロナの影響で好調ですが、これまで練習に来ていたお客さまが21年秋以降、来なくなったという話は聞いています。つまり、夜の時間帯、街に飲みに行っている。コロナが収束に向かうほど、生活者は元の消費行動に戻っていく、たまたまコロナ禍でゴルフしかないから来ていたお客さまが収束とともに戻っていってしまう。そういう危機意識は非常にもっています。そこで何が必要かといえばこのブームを一過性に終わらせない「定着」に向けた取組みでしょう。
 いままでわれわれも含めて業界がやってきたことは、「とりあえずゴルフを体験してみましょう」でした。しかし、練習場に来て、ある程度ボールが打てるようになったら、次はゴルフ場でラウンドデビューし、それでゴルフの面白さにはまる。道具やウェアも揃え、練習場にも通うという一連のサイクルを一気通貫でどのように提供していくかが重要で、そのためには、業界各社が一連のチェーンにならなければいけない。どこかで寸断されたら、そこで止まってしまうのです。いま当社では、「トップ・トレーサー」の導入施設さんに、ビギナー向けのイベントとして、ゴルフ用品メーカーからクラブセットを無償で提供していただき、複数の施設で一定期間利用できるようにし、その後「GDO茅ヶ崎ゴルフリンクス」でラウンドデビューするという取組みを行なっています。そうした一連の流れがあちこちでできてくればと思います。
 当社がゴルフ業界にかかわって20年余りですが、コロナによる追い風により、いまゴルフ業界に巻き起こっているこのビッグウェーブを単発で終わらせないよう、ゴルフ業界全体がタッグを組んで取り組んでいく時期に差し掛かっているのです。
 <パシフィックゴルフマネージメント 田中社長のインタビューや注目施設事例研究は本誌にて>
[プロフィール]
吉川雄大(よしかわ たけひろ)
明治大学経営学部を卒業後、富士火災海上保険梶i現:AIG損害保険梶jを経て2003年4月に潟Sルフダイジェスト・オンライン入社。10年同社執行役員 ゴルフ場ビジネスユニット長に就任。14年に取締役、20年に取締役副社長(現任)、執行役員最高執行責任者(現任)、GolfTEC Enterprises,LLC(米国)取締役(現任)となる。21年に絵DOゴルフテック代表取締役社長(現任)就任。
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