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市場の拡大とライフスタイルへの定着に向けた
サウナ事業の可能性と留意点

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吉永昌一郎氏
潟<gス 代表取締役社長

国内におけるサウナの黎明期より業界のリーディングカンパニーであり続ける潟<gス。同社代表取締役社長・吉永昌一郎氏に、貸切サウナの開発に湧く現在の市場環境、新しいサウナライフスタイル、業界の抱える課題や将来の展望についてうかがった。

多様な嗜好に応えるサウナづくりと日常生活への浸透に向けた取組み

――昨今のサウナブームについて、どのようにみていますか。
吉永  サウナの種類は、低温から超高温に至る縦軸と、ドライ/ウェットという横軸で捉えることができます。最近は超高温で楽しむことが流行でスタンダードのようになっていますが、この50〜60年のサウナの歴史を振り返ると、低温やウェットを好む人にも対応する多様なコンセプトの施設がつくられてきました。一人で楽しむプライベート用サウナから2、3人の少人数、10人以上、さらに今後は100人クラスといったサウナ室の規模感をはじめ、屋内・屋外など設置場所の要素も加味され、サウナはさらに多様化していくものと考えています。
 私たちメトスは、サウナという嗜好品を、好みや使い勝手はもとより、イニシャルやランニングコストなど事業面まで含め、導入から運営に関わるすべての面で対応し、最適な商材を提供可能です。
zauna®の発売を記念し、11月13日(土)・14日(日)に開催された「SAUNAとzauna®で過ごすスポーツの秋 in モリパーク」。同イベントでサウナタッキの試着も行なわれた
――サウナライフの拡充に向けた取組みを教えてください。
吉永  サウナをさらなる成長市場としていくためには、サウナライフを顧客の日常に浸透させる必要があります。当社が潟fポルターレテクノロジーズを事業パートナーとして販売しているサウナスーツ「zauna®(ザウナ)」は、こうした新しいサウナライフスタイルの創造に向けた提案の1つです。
 zauna®のテーマは「サウナの日常化」です。サウナスーツはサウナではないとの見方もあるかもしれませんが、日常から着用し体をととのえておけば、実際のサウナを訪れた際により快適に過ごせるでしょう。健康的な生活のベースづくりに役立つことが、サウナの価値をより高めると考えています。
 同じようにサウナの価値を高めるものとして提案しているのが防寒対応のガウン「サウナタッキ」です。これまで屋外型のサウナで必須となる水着やサンダル、タオルは個々で用意できますが、身体が冷えてしまうことへの対策が足りませんでした。そこで当社は「サウナタッキでアウトドアサウナをさらに楽しむ」というスタイルを提案しています。このように「サウナのあるライフスタイル」をマーケットに広く提案していく考えです。
――サウナ産業が発展するために、いま求められることは。
吉永  まず、ソフト面の対応があります。たとえば、屋内サウナではアウフギーサー®や熱波師がふえ、パフォーマーが拡大することによって施設の価値が高まっていくと思います。そのため、当社はアウフギーサー®の資格者養成に向けた教育に注力していきます。安全性の確保のためのレギュレーションが必要ですし、認定制度でその精度を高めていくことがサウナの価値向上に不可欠だからです。
 安全性という観点では、現状の屋外型サウナには基準となる法規がないという問題があり、行政や自治体との連携を通じ制定について検討を進める必要があります。当社は公益社団法人日本サウナ・スパ協会の技術的諮問委員としてサウナ室のJIS規格の改訂等、各方面と調整を行なっているところですが、屋外型サウナに関しても関連事業者と連携して安全基準策定に取り組みはじめています。
 また、ハード面に関しては、これから特に「見える化」が重要です。温度、湿度、CO2、消費電力、最近のコロナ禍で注目される衛生面や換気など、それらを「見える化」していくこと自体が価値になる、デザインや機能に加えて施設の特徴やこだわりを見せることが集客につながる、そういう時代が来ています。こうした認識を事業者や施設と共有していくために、当社の役割は重要だと認識しています。
 本場フィンランドでは「サウナ」について、内装、温度と輻射、湿度など多面的な規定が設けられ明確な定義づけがなされています。人それぞれに温度、湿度の好みはあるからこそ、サウナにはこれらのスペックを明示する規定が必要なのです。当社では、創業時からの関係資料の再精査なども含め、この定義の確立と普及に向けて取り組んでいるところです。
2019年11月にドイツサウナ協会より講師を招いて開催された日本初のアウフグース研修会

新たにサウナ事業を検討する際の留意点とは

――貸切サウナの流行については、どうご覧になりますか。
吉永  貸切サウナは、現在計画されているものだけで全国50か所以上と認識しています。多くは異業種からの参入で、確実にマーケットは大きくなっていくものとみています。当社が一般住宅向けに販売する1〜3人サイズの製品が貸切サウナという業態に広がっているからです。
 貸切サウナが急速に拡大した背景には、コロナ禍の存在が指摘できます。たとえば、稼動率の低下に悩む施設が、補助金や助成金を使ってサウナを導入しようとするケースが見られます。
 それだけに本気でこの事業を研究して臨もうというプレイヤーばかりとはいえず、この先「こんなにランニングコストがかかるとは」「使い勝手が思った以上に悪かった」などの問題を抱えることも危惧され、これが落ち着くまで2、3年はかかるのではとみています。
20年前から続くメトスの取扱い商品例。ロッキーサウナ(上)、ウォーターディスペンサー(右上)、KLAFS MAXIMUS(右下)
――業界や貴社の今後の展望について。
吉永  いままでは「サウナがあること」だけで一定の価値につながっていました。個人でサウナを所有する方はそれで問題ありませんが、商用施設は、お客さまに料金を求めるのですから、その先を考えなければならないでしょう。安全性、見える化、しつらえやデザインなど、より質の高いものを提供しなければ価値を生み出せません。
 当社は日本にサウナが入ってきた黎明期からサウナに関わってきました。当時選ばれた当社の商品を、こだわりをもって大事にしていただき、それがいま、施設の歴史や価値となってお客様がふえている店舗があります。私たちはこれからも長く安心して使っていただける、20年後にも「あ、あのときの」と思っていただけるような商品を提供し続けていきたいと考えています。
[プロフィール]
吉永 昌一郎(よしなが しょういちろう)
福岡市博多区出身。潟<gス(旧社名中山産業梶j福岡支社長、温浴事業統括、東京支社長、理事、取締役を経て、2018年に代表取締役に就任。激変するレジャー産業界において、常にデータに基づく戦略的視点で業態営業を実践。産業発展の仕掛けに注力し、いまやサウナサービスに欠かせない「ロウリュサービス」を全国に定着させた。
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