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「高規格グランピング」の積極展開を通じ
リゾート宿泊事業の上位マーケットを掴み安定経営を目指す

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西垣俊平氏
鰍ノしがき マリントピアリゾート
代表取締役

2018年に直営第1号を開業以来、鰍ノしがきはグランピング事業を拡大し、21年11月末時点でグループ企業を含め22施設を営業、また16施設を準備中など、業界のトップランナーである。同社代表取締役の西垣俊平氏に、これからの施設開発と直営およびグループ全体の展開についてうかがった。

より上質へとステップアップする「高規格グランピング」

――貴社のグランピング事業の現状について教えてください。
西垣  21年末までの時点で、一部グループ会社による運営や準備中も含め、関東圏・関西圏で38のグランピング施設に直接的に関わっており、22年には、グループ会社を含め20施設程度の開業が決まっています。
 22年以降の方向性としては「高規格グランピング」をキーワードに、より上質なグランピングを中心に展開しようと思っています。
 具体的には、@各棟に温泉のお風呂を付設、Aバーベキュースペースの防寒対策・悪天候対応を施した施設をふやしています。また、ドームテントの施設がいま国内で90か所近くになっていますので、差別化できるオリジナル設計のテント風建築物の宿泊棟で構成する、などを計画しています。
■にしがきおよびグループ企業の2022年開業予定一覧
――グランピングの市場環境についてはどのようにお考えですか。
西垣  市場規模はまだまだ大きくなっていくでしょう。現在は、リゾートホテル、温泉旅館、グランピングが同じマーケットを奪い合っています。そして、40歳代より若い世代から見れば、築年数の経過した、客室の狭いリゾートホテルや温泉旅館よりは圧倒的にグランピングが支持されるはずです。
 グランピング業態のみではなく、リゾートホテル、温泉旅館といった他の宿泊業態も含めた市場のなかでの上位5%に入り「ラグジュアリーなリゾート宿泊事業」としてマーケットを掴むことが大事ではないでしょうか。著名な高級リゾート予約サイトのいくつかを見る限り、21年の新規開業施設数は15〜50件程度です。こうした状況下では最先端のグランピング施設を新規開業すること自体が大きなアドバンテージとなります。それを数多く開発できるビジネスモデルを創出するのが私たちにとって重要だと思っています。
安定的な稼動への必須アイテムとして温泉の確保や、熟成肉の供給とバーベキューの環境整備に取り組む

「高規格グランピング」の最強アイテムは「温泉」

――2022年の注力ポイントを改めてお聞かせください。
西垣  個別のトイレ・シャワーの設置は当然として、「高規格グランピング」の最強アイテムは「温泉」です。温泉自体の魅力もさることながら、冬季対策として大きな効果があります。従来冬季は閉鎖していた施設でも稼動を高めることができるアイテムだからです。
 すでに千葉や淡路島、京都の既存施設には温泉を手配済みで、以前からの源泉のある土地の購入、源泉付き物件の取得、そして新規の温泉掘削や近隣の温泉付き宿泊施設を購入しての運び湯などの手法で、直営施設のすべてを温泉付きの施設にしていく予定です。
 直営施設だけでなく、開業支援等のクライアントからの要望もあり、こちらにも可能な限り温泉のシェアを進めます。たとえば、滋賀県高島市には当社直営の既存施設が2か所と開発中が3か所、開業支援をした既存施設が1か所、さらに開業相談中が2件あり、計8か所の展開となりますが、このすべてに温泉を供給する仕組みを構築し、エリア全体で競争力を高めていく方針です。
 いま話題のサウナも差別化に貢献します。先に申し上げた22年開業の直営約20施設のうち、実は半数以上がプライベートサウナ付きで計画されています。
 「食」のグレードアップも「高規格グランピング」には欠かせません。私たちはいまも和牛を提供していますが、一部で行なっている和牛の熟成肉の供給をスケールアップすべく、大型熟成庫を整備します。また、スーパー事業を通して、南アフリカ産のワインについて国内シェアの高い企業とお付き合いがあるため、グランピングでワインを楽しんでもらえる仕組みづくりや通販での受注機能も意識した取組みをはじめました。「食」の高度化を見える化とネットワーク化によって訴求し、優位性を高めていきます。
 アクティビティについては、非日常感を演出するバーや、自分で薪を割ってお風呂を沸かす体験、農園と連携した収穫体験などのほか、観光スポット、外部アクティビティとの連携を今後進めていこうと考えています。
 さらに、コロナ禍が収束し、インバウンドが回復するのは23年の冬くらいではないかと思いますが、それに先立ってインバウンド需要の取込みに向けた対策を本格化する考えです。具体的には、グランピングはどうしても交通の不便な場所にある施設が多いので、送迎の仕組みを構築し、他の企業とシェアできるようにします。
 22年はこうした体制整備を関東・関西圏でやっていくことになるでしょう。そのうえで、開業支援も含め30施設以上の「高規格グランピング」を開業させるつもりです。
2021年12月オープンの「プライベートオーシャンヴィラ藍水」。全6棟のすべてに、オーシャンフロントデッキとプライベートプール、アウトドアダイニング、鴨川温泉から運んだ客室内天然温泉を備える。1棟の定員は最大6人で、うち1棟がドッグラン付きとなっている
――今後のグランピング市場をどうお考えですか。
西垣  現在国内でグランピングと謳っている施設は400以上あると認識していますが、依然として玉石混交です。
 それでも「グランピング」というワードで開業のニュースは世の中に流れるので、一般のお客さんの認知は向上していきます。あとはそのなかでの比較購買になってきますから、クオリティの高い施設事業者が競争に勝っていくでしょう。
 23、24年になれば、挫折する施設も出てくると考えます。私たちはグループ10社ほどでグランピングに取り組む体制を構築しており、各エリアでM&Aのスキームも視野に入れた情報収集を続けています。
 私たちグループは(一社)全国グランピング協会を設立し、さまざまな情報発信を行なっていますが、そのなかでも「高規格」というキーワードは、これから参入される事業者さんにも広げたいと考えています。温泉が付いている、プライベートサウナがある、食やアクティビティが充実している、といった「高規格グランピング」がふえることによって、初めてグランピングが消費者の選択肢として安定的な地位を得ると考えるからです。
 業界のトップ企業として、市場にこのキーワードを広げていくことは、私たちの使命だと思っています。
[プロフィール]
西垣俊平(にしがき しゅんぺい)
慶應義塾大学卒業後、コンサルティング会社勤務を経て2005年、鰍ノしがき 代表取締役に就任。11年よりマリントピアリゾート事業部にて、貸し別荘スタイルの会員権事業をスタート。その後16年より一般宿泊事業を開始。18年にグランピング事業に参入し、直営展開と開業・運営支援などを行なうコンサルティング業務の2軸で事業を拡大中。
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