コロナ禍における、レジャー分野の消費で注目されたのが、ハイエンドマーケット、すなわち「富裕層」だ。
基本的に不要不急の外出が抑制され、海外旅行はもとより国内での旅行やレジャー活動が制限されたなかで、人口のボリュームゾーンであるミドル層がけん引していたいわゆるマス(大衆)レジャーは市場縮小を余儀なくされた。それは行動制限の結果だけによるものではない。飲食業はじめ各種サービス業種において、休業や営業時間短縮が求められたことから、多くの雇止めが発生。拡大する非正規従業員などを中心に、収入面の不安から「不要不急のレジャー」に対する消費は大きく縮減を迫られたためである。レジャー分野において、いわば供給と需要の両面でブレーキがかかったのがこのコロナ禍による最大の打撃だった。
その一方で、比較的可処分所得に余裕のある中間層から富裕層に至るまで、いわゆるアッパー層に関しては、どうだったのか。当然、中〜高年期の年齢層が主体となるため、感染症に対する警戒心は一般以上であったのは事実だ。とはいえ、収入に対する不安が少ないだけに、レジャーに対してやみくもに自粛する動機は乏しく、安全・安心を担保されたサービスや商品との条件のもとで、積極的に模索、享受する動きがみられた。
2022年においてもコロナの完全収束が見通せず大量集客を前提とするマスレジャーの回復が立ち遅れるなか、またインバウンドの復活も先になるとすると、こうした国内アッパー層の消費性向を把握したうえで的確なサービス提供を行なうことは、ビジネスチャンスにつながるものといえよう。