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【レジャー施設集客データ2021】全体分析レポート
全施設が前年度の入場者数を下回る
レジャー産業にとっての“試練の1年”に

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遊園地・テーマパークは他業種との比較でも減少幅は突出

 新型コロナウイルス感染の脅威に晒されておよそ1年半が経過した。その間、政府や自治体から繰り返し発出される「緊急事態宣言」「まん延防止措置等重点措置」により、生活者のライフスタイルは一変。マスクの常用、リモートワーク、大人数での会食自粛などが文字通り常態化(ニューノーマル)し現在に至っている。
 レジャー業界にとって何よりも大きかったのが、大臣や知事、感染症の専門家などから、大型連休が近づくたびに口を揃えて発せられる「不要不急の外出自粛」を呼びかける声。これにより、「外出は悪」「旅行・レジャーなどもってのほか」という世間の空気が醸成されてしまった。1度目の緊急事態宣言解除後にスタートした、「GO TO トラベル」「GO TO イート」などの需要を刺激する政策も、感染者数が収束する前に拙速にスタートしたことで利用が本格化する前に中止された。
 図表1は、経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」より、「遊園地・テーマパーク」における入場者数と売上高の前年度比の増減率の推移をみたものだが、2020年度は入場者数で62.5%減、売上高で65.6%減というかつてない減少規模となった。同調査で遊園地・テーマパークと同じ「対個人サービス業」に分類される「フィットネスクラブ」の20年度の利用者数は対前年比32%減、売上高で同33.5%減と減少幅は遊園地・テーマパークの約半分にとどまっており、コロナショックの大きさを数字が裏づけることとなった。

ミュージアムは前年度比78%減に

 ここからは業種ごとの主要施設の入場者数実績をみていく。本誌の独自調査に基づく、20年度の全国主要レジャー施設・集客施設における年間入場者数は、対象となる5つの業種(テーマパーク、遊園地、動物園、水族館、ミュージアム)すべての施設が前年度の実績を下回った。
 なかには前年から80%以上の入場者数減に陥った施設も散見される。こうした状況に加え、地域や施設タイプによって休業や時短営業などの自粛期間が大きく異なることを考慮、従来通りのランキングスタイルを改め、今回は例外的に19年度入場者数上位施設の20年度の入場者数を本誌掲載するスタイルとした。なお同データは、全国の主要有料施設を対象とする「2020年度 集客実態調査」に基づいて集計した(綜合ユニコム鰍ェ今年10月末発刊予定の『レジャーランド&レクパーク総覧2022』のデータを引用)。
「テーマパーク」は、19年度トップの「東京ディズニーランド・東京ディズニーシー」が756万人、前年度の約2,900万人から73.9%の減少となった。もっとも、19年度(20年3月末期)もすでに新型コロナ禍により対前年度比で10%強の減少となっており、18年度(約3256万人)との比較では20年度は76.8%減とその減少幅はより拡大する。
 19年度2位の「ハウステンボス」は、前年度の約255万人から20年度は約139万人と約45%の減少。同施設は20年度の集計期間が19年10月〜20年9月であることから、コロナの影響が他の施設に比べ短期間であった。
 同3位の「サンリオピューロランド」は68万人。19年度(約198万人)との比較では65.8%減、18年度(219万人)との比較では、68.9%減となる。図表3の業種別の減少率の分布をみると、前年度比31〜50%減が5施設と集中。上位10施設の平均減少率は68.0%と、今回取り上げた5業種のなかではミュージアムに次いで減少率が大きくなった[図表4]。
「遊園地」もテーマパークと同様、19年度トップの「鈴鹿サーキット」は、約69万人で19年度の3分の1に減少。同2位の「よみうりランド」は、約106万人で対前年度比32.5%減(約157万人)と健闘しているようにみえるが、18年度(191万人)との比較では44.6%減と半減している。
 同3位の「ひらかたパーク」は、19年度の約157万人から20年度は約106万人と60%の減少。19年度は前年度比約105%と増加基調にあったが、一転20年度は大幅な減少となった。
 遊園地のなかで最も減少幅が大きかったのが、19年度7位の「浅草花やしき」で20年度の集客数は16万5,000人。19年度の約56万人から70.4%減となった。図表3の減少率の分布をみると、前年度比31〜50%減が4施設、51〜70%減が6施設で上位10 施設の平均減少率は53.5%で、5つの業種のなかでは動物園に次いでダメージが少なかった。

「動物園」は19年度トップの「東京都恩賜上野動物園」が、19年度から実に85%減(約348万人→約53万人)という衝撃の結果となった。
 これは同施設の20年度の営業日数が165日と、正味5か月半の営にとどまったこと、その短い営業期間のなかでも時短営業や入場規制などを強いられたことが要因と推測される。
 19年度2位の「名古屋市東山動植物園」は19年度の約234万人から20年度は約135万人と約100万人の需要が消滅。同3位の「天王寺動物園」は19年度の約149万人から20年度は約77万人と半減した。
 さらに、19年度4位の「旭川市旭山動物園」も19年度の約139万人から20年度は約52万人(対前年度比62.6%減)と上位施設のなかでは大きく落ち込んだ。減少率の分布では31〜50%減が4施設、51〜70%減が3施設で、上位10施設の平均減少率は53.0%。5つの業種で減少率は最も低い。
 
「水族館」では、上位施設が総じて集客数を大きく減らした。19年度トップの「沖縄美ら海水族館」は19年度の約332万人から約60万人(同81.9%減)に、同2位の「海遊館」も19年度の263万人から約63万人(同76.0%減)に。同3位の「名古屋港水族館」は19年度の約200万人から20年度は約92万人(同約53.9%減)に。そのほかの上位施設も前年度から3割以上減少しており、減少率の分布をみると、31〜50%減が4施設、51〜70%減、71%減以上がそれぞれ3施設と上位10施設の平均減少率は61.7%で、5つの業種のなかではミュージアム、テーマパークに次いで減少率が高かった。

「ミュージアム」も水族館同様、上位施設は押しなべて大きな減少となった。トップの「国立科学博物館」は、19年度の約274万人から20年度は同53万人で約80%の減少。
 同2位の「東京国立博物館」は19年度の約258万人から20年度は約38万人で前年度から85%の減少。同3位の「金沢21世紀美術館」は19年度約233万人から20年度は約87万人で62.7%減少となった。
 そのほかの上位施設も71%以上減施設が10施設中8施設と、上位10 施設の平均減少率は、5つの業種のなかでは最も高い77.5%となった。「国立」「市立」「県立」などの施設名からもわかるとおり、公的施設がほとんどであるため、民間のレジャー施設以上に積極的な営業自粛が求められたことは想像に難くない。
 実際に、図表5は、5つの業種の上位施設のなかで減少率の大きかった施設を抽出したものだが、10施設中7施設を「ミュージアム」が占める結果となった(その他は動物園が1施設、水族館が2施設)。
 なお、図表6に5つの業種の20年度の入場者数上位施設を掲載した。100万人を超える施設がたったの4施設と実に寂しいものとなり、その顔ぶれも例年とは大きく異なるものとなった。冒頭で述べた通り、休業や時短営業の期間に大きな差があるため、あくまで参考値としてみてもらいたい。
 以上、数字をみる限り、20年度のレジャー業界がいかに“異様な1年”であったかがおわかりいただけるだろう。21年度も引き続き同様の状態が続くが、9月中旬現在、ワクチンの接種率(2回)が全国民の半数を超え、収束後には反動的な消費がレジャーへ向かう可能性も指摘される。一方で、全国に蔓延した“自粛ムード”を払拭するのも容易ではなく、コロナ後は、各施設この1年半で準備してきた新たなコンテンツやサービスなど、レジャー施設としての“地力”が問われる局面となる。
<5業種各施設の詳細データおよび分析は本誌にて>
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