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グループ企業のノウハウをグランピング事業に活用
直営とコンサルティングでシェア拡大を加速

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  • 鰍ノしがき/潟uッキングリゾート

    スーパーのチェーン展開、飲食事業、介護支援事業などを手がける(株)にしがきは、1989年にマリントピア事業部を創設以降、リゾート事業にも注力してきた。
    2018年には第1号直営グランピング施設をオープン。その後、立て続けにさまざまなタイプのグランピング施設を直営出し、ノウハウを蓄積。翌19年よりグループ企業によりグランピングの開業・運営・集客支援事業も手がけ、すでに多くの実績をあげている。
    同社代表取締役の西垣俊平氏に、コロナ禍でも好調な要因、今後の事業戦略を伺った。
  • にしがき 代表取締役 西垣俊平氏
           鰍ノしがき 代表取締役 西垣俊平氏

「集客力」「利益を出すオペレーション」がグループの強み

――グランピング事業の現状、動向はいかがでしょうか。
西垣 すべて前年対比で大幅に売上げが伸びています。宿泊部門はコロナ禍でも営業を続け、20年4月だけ前年比70%となったものの他の月は大幅増、11月までの平均で190%以上で推移しています。21年2月までの今期通年では200%超えと予測しています。
 手がけた施設数がふえたのもありますが、既存施設の売上げもふえています。三密が避けられるアウトドアということでグランピングが非常に好調だったのでしょう。公共交通機関を避ける人も多いので、マイカーで来場でき、ほかのお客さまと動線が交差しないことで支持を受けているのでしょう。
 Go Toキャンペーンをうまく活用したことも大きいと思います。10月の売上げは前年比340%超と大きく伸びました。また、海外旅行に行けなかった富裕層がペット同伴可能な施設に来られているということもあります。そうした施設はオフシーズンでも高稼動になっています。
GLAMP DOME 神戸天空
「GLAMP DOME 神戸天空」(神戸市北区)
――グループとしてグランピング事業を推進しているそうですね。
西垣 現在、直営とコンサルティング事業で多数の案件を抱えています。企画・プロデュースを担っているのは、グループ会社の潟uッキングリゾートです。
 同社は、グランピング特化の予約ポータルサイト「リゾートグランピングドットコム」を運営しています。掲載無料で、10%の送客手数料のみを掲載施設からいただき、同時に掲載画像の撮影、オフシーズンの集客プランや客室単価を上げる提案など、かなり細かいお手伝いをさせていただいています。同サイトの掲載案件数は、おそらく21年は70〜80施設と40施設はふえます。そのうち約20施設は私たちの企画・プロデュース案件です。
 また、グループ内に、グランピングの情報発信をするためのメディア、エンドユーザー向けWebマガジン「グランピングスタイル」と、グランピングを開業したい企業向けに参考情報を提供するB to B向けメディアサイト「グランペディア」を運営している潟Oランシーズという会社もあります。委託されたものを含めると、グランピング関連で約50サイトを運営しています。
 つまりグループ全体として、情報発信メディアと予約ポータルの二段構えで集客しているのです。ハイシーズンのアクセス数は月間1千万以上。予約をしっかり取るためには施設に関する情報量が必要で、ポータルサイト単独ではまかないきれないのです。
  
「GLAMPING VILLAGEHAJIME」(京都府宮津市)
――リゾートグランピングドットコムの特徴は。
西垣 まず「集客力」です。グランピングはハイシーズンとオフシーズン、休日と平日の差がはっきり出る事業で、オフシーズンや平日をいかに埋めていくかが課題となります。
 私たちの直営施設でも、オフシーズンの稼動率は高くありません。それでも、単価を維持しながら週末に売れ残りを出さない、平日に団体予約を獲得する、などの取組みでハイシーズンとさほど変わらない売上げです。
 直営で蓄積したノウハウは、コンサルティングに活かされます。そのため「リゾートグランピングドットコム」に掲載された他社施設は、大幅増収する可能性が高くなります。
 特にオフシーズンや平日の集客増に効果が出る施設が多くなっています。現在、同サイト掲載の他社施設は16施設で、売上げは年間1億円に上ります。1施設当たりの送客ボリュームが他社サービスと比較して大きいのが特徴です。
 2つ目の強みは「利益を出すオペレーション」です。飲食提供では、ノウハウのない事業者向けに地産地消の食材をセントラルキッチンで加工、完成したメニューをパッケージとして納品しています。食事付プランを追加することでクライアント施設の客室単価の向上に結び付けています。
 現場で調理・仕込みをしないことは、省人化・人件費削減にもつながります。私たちは少人数で効率的なオペレーションを研究・構築してきました。10〜15棟程度のグランピング施設であれば、通常業務はスタッフ2人で清掃時のみパート5〜6人を追加投入というオペレーション体制で運営しています。

今後は本格的なグランピング施設が増加

  
GLAMPING VILLAGE HAJIME のコクーンテント
――グランピング市場をどのようにみていますか。
西垣 基本的に、シーズン性のあるビジネスはそんなに簡単に廃れないと考えています。コロナ禍の影響もあり、グランピングはこれから5年くらいかけ市場規模が拡大していくと思います。
 同時に、いまは単なるBBQプランや、テントを建てただけの施設が「グランピング」と呼ばれたりしていますが、これからは個別のトイレやシャワー、コットン生地のテントを超える居心地、そうしたレベルアップをした本格的な施設がふえると考えています。
 また、現在主流となっているドーム型テントは、21年も相当な数の施設ができるので、珍しさはなくなっていきます。もう少し多様化していくでしょう。実は当社もオリジナルで新しい滞在空間、ユニークなデザインのものを何種類か計画しており、21年春にはプロトタイプを発表予定です。
――21年以降の展望は。
西垣 関東エリア、特に千葉県と山梨県で土地を取得済みで、21年6月以降、直営のグランピング施設を5か所開業します。全国だとプロデュースする施設が約20か所ふえ、関西エリアの直営を合わせ25〜30施設の開業となります。 九州で初となるPark-PFI(公募設置管理制度)によるグランピング施設の企画にも携わっています。この施設の開業は21年4〜5月になるでしょう。
 ほかにも公営キャンプ場や都市公園の活用などの行政案件、PFIの相談も受けており、積極的に取り組んでいきます。
 運営施設・携わっている施設数で国内ナンバーワンになることが私たちの目標です。21年はその目標にだいぶ近づけていけそうだと考えています。
――本日はありがとうございました。

プロフィール

西垣俊平(にしがき しゅんぺい)
鰍ノしがき 代表取締役

コンサルティング会社勤務を経て2005年、鰍ノしがき 代表取締役に就任。11年よりマリントピアリゾート事業部にて、貸し別荘スタイルの会員権事業をスタート。その後16年、一般宿泊事業を開始。18年にグランピング事業に参入し、直営展開と開業・運営・集客支援などを行なうコンサルティング業務の2軸で事業を拡大中。
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