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遺体安置施設の役割とポジショニング

深化する「遺体安置施設」

  • フューネラルビジネス
  • 遺体安置

「失注ロスの低減」「癒しの空間」として役割果たす

 遺体安置施設には、大きく2つの役割がある。1つは、「失注ロスの低減」を図る必須アイテムという側面であり、もう1つは、遺族心情に寄り添った「癒しの空間」という位置づけである。
 失注ロスの低減については、いままでであれば複数の諸室を有する大型会館では、空いている式場や遺族控室、導師控室などを安置室として代用することができた。
 しかし、近年の家族葬会館の隆盛によって、代替する諸室不足が露呈。事実、初期の家族葬会館には付帯する遺体安置室に別動線から入室できない設計となっているところも多く、すでに施行を受注した会館では、依頼を断わざるを得ない状況が続く状況が散見された。つまり、1件貸切型を謳う会館においては、遺体安置室への別動線を確保することが必須であるということだ。
 もう1つの「癒しの空間」という発想については、そもそも遺体安置室は単に遺体を安置するだけでなく、火葬前の「人の状態」を保持している限られた時間(地域・時期などの条件によって長期間の安置となることもある)が、遺族にとっては、何物にも代えがたい最良の癒しの時間になるという考えに基づいたものである。
 特に、一日葬や少人数の身内だけで送る小規模葬では、故人とともにゆっくりとした時間を過ごす空間を提供することは、遺族ケアにもつながるだけでなく、遺族にとっても“いいお葬式をあげることができた”という精神的な面からも評価された。
 したがって、遺体安置施設(機能)は「失注ロスの低減」「他社との差別化につながるプラン提供のための癒しの空間」という2つの側面からその充実が図られるようになったといえる。

コロナ禍で顕在化した新たな役割

 だが、遺体安置施設が果たすべき役割は、もはやそれだけにはとどまらないことが今回のコロナ禍によって証明された。それは、「医療崩壊」「火葬崩壊」を防ぐ最後の砦という、社会的意義ある役割も果たす可能性を有しているということだ。

図表 遺体安置施設に求められる役割・機能

 東日本大震災のとき、青森、岩手、宮城、福島の太平洋に面したエリアでは、葬祭会館はもちろん火葬場、病院等が壊滅的なダメージを受けた。これにより、遺体の収容先として機能したのは、比較的被害が少なかった葬祭会館や体育館、公民館といった施設が遺体安置所として代替利用された。火葬においても、秋田・山形といった近県の市町村や東京都といった自治体が協力を申し出るなど、緊急時における連携も実行された。言い換えれば、国内の葬儀社、火葬場は社会インフラとしてなくてはならない施設として機能しているということにほかならない。
 では、遺体安置施設はどのようなポジショニングになるだろうか。(続きは本誌で)
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