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急がれる葬・介・医連携による情報共有システムの構築

新型コロナウイルス── その影響と対応策

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  • 新型コロナウイルス
 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」という見えざる敵は、昼夜を問わず、細心の注意を払っていても罹患する可能性がある。
 したがって、日常生活において、完全なる感染予防を行なうことは不可能だ。特に、不特定多数との接触を必然とするサービス業は、人との接触は避けてとおることができない。
 3月31日、愛媛県松山市にある葬祭会館で行なわれた通夜・葬儀で集団感染が確認されるという報道があった。栃木県内から駆けつけた参列者がコロナ感染していたことが発覚し、その行動履歴を追った結果、愛媛県に連絡が入り、その葬儀に参列していた人を検査したところ、4人の感染確認がなされたというものだ。
 テレビ、ラジオ、新聞、週刊誌といった各種メディアを通じて報道されたこともあり、ご記憶の方も多いだろう。しかし、これら報道のおかげで「葬儀は危険」「葬祭会館は危険」「葬儀はあげるな!」といったことを印象づけるようなコメントも一部あったことから、巷では「(現状)葬儀に参列することは危険」と認識されてしまう恐れが出てきた。
 しかし、実際には愛媛県での報道がなされる以前の2月中旬以降、「遠方からの会葬を遠慮する遺族がふえ、一般葬が家族葬に、家族葬が直葬に変わりつつある傾向がみえてきた」と語る都内葬祭事業者もあるように、国内感染者発覚以降、緩やかにCOVID-19の影響がはじまっていたのも事実だ。
 さらに言えば、今回の松山市やその後発覚した新潟市の出来事は、会葬者も、そして、施行の場となった葬儀社(葬祭会館)双方が“被害者”であって、けっして“加害者”ではないことを理解する必要がある。そのため、(不幸にして)感染源となった感染者や、(不幸にして)感染の場となった葬祭事業者を非難することはできない。当然、でき得る限りのリスクマネジメントを行なったうえであることを、業界関係者だからこそ理解し、多方面に拡散してほしいものである。

サービスインフラ産業として不可欠な感染予防への対応策

 新型コロナウイルスに対して、葬祭業界はどのように対応すべきか。いわずもがな、人はなんらかの要因で亡くなる。その葬儀を、社会生活になくてはならない「エッセンシャルサービス」として遺族に代わって請け負うのが葬儀社であり、自粛要請による休業などはできるはずもない。言い換えれば、社会のサービスインフラを形成する産業の1つとして対応が求められる。特に地域シェアの上位に位置する事業者は、地域行政から強く協力要請を求められる立場にある。
 「葬儀は不要不急」云々を議論する前に、遺族と故人との最期の別れをサポートするのが葬祭事業者である。
 だが、冒頭、松山市の件でふれたように、無自覚で参列した感染者を媒介とする感染症の拡大、いわゆるクラスター問題に発展する可能性は、今後各地の葬祭会館にも共通する問題として捉えておく必要がある。
 そのため、葬儀社として感染拡大リスクを軽減するには、「37.5℃以上の体温がある方」「頻繁に咳をされる方」「ここ数日、喉に不調を感じる方」といった症状がある人の来館、参列の辞退を促すといった対応策がとられるはずだ。
 COVID-19の国内感染者発覚後、葬祭業界に限ってみれば、その対応は実に早かったと感じられる。というのも、HP上で「接客の際、スタッフがマスク着用のまま対応させていただくことがございます」と、新着・お知らせ情報欄に固定掲載する企業が数多く見られたからだ。
 その後、各社なりの対応策を続々と打ち出しているが、総括すると以下のような対応をとっている企業が多い。
具体的には、
 (1)会館入口へのアルコール消毒の設置・使用の強化
 (2)会館内の座席+共用部アルコール消毒の実施
 (3)予防アイテム着用による接客の実施
 (4)定期的な換気対策
の4項目。
 各社のHPなどを見ていると、(1)~(3)までは実施しているものの、換気対策は結構、見落とされている(もしくはHP上に謳っていない)会社が散見されていたので、この点についても実践すべき(HP上に謳うべき)だろう。
 とはいえ、自覚症状のない罹患した会葬者が通夜、葬儀・告別式に参加する可能性は否めず、この点への対策がむずかしい。
 詳細は緊急アンケート結果に譲るが、「感染者発生地域からの会葬を遠慮してもらう」といった依頼を葬家に依頼する事業者もあるが、その対応策に明確な回答を示すことができないのも事実だ。

見えない敵に対して地域内連携がカギを握る

 現段階で、対応策への明確な指針を提示することはできない。というのも、別稿でふれている「新型コロナウイルスへの対応について」実施したアンケート調査において、「葬儀社の使命としてコロナ感染者の葬儀に携わるべきという思いはあるものの、一方で、スタッフの安全を考えれば、使命感だけで受け入れることに躊躇せざるを得ない」という回答があったように、見えない敵だからこそ、安全第一を優先する気持ちが働くのも当然のことだろう。
 とすれば、今後は葬祭業界全体の問題として、COVID-19対策に取り組んでいくことだ。そしてその活動は、地域の葬儀社による垣根を越えた活動がキモとなる。具体的には、地域内の事業者が共同で、(病院・自治体などへの)「要望書」を提出したり、地域内事業者同士の連携フレームの策定などが挙げられる。
 具体的イメージとしては、2011年3月11日に発生した「東日本大震災」の際の宮城県における初動対応が参考になる。
 詳細は省くが、このとき、全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)、全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)という枠を超えた仙台エリアでの葬祭会館所有企業の横断的組織である「仙台地域葬儀会館連絡協議会」(仙台葬連協)の存在があった。
 こうした枠を超えた協力体制が敷かれたからこそ、県内各所への棺輸送、および納棺支援業務の協力体制が整備されたほか、県内約20か所に遺体安置所を設置するなどの対策がとられたのである。もちろん、この動きには県内葬儀社のスタッフはもちろん、全国各地から応援に駆けつけた葬儀社や関連事業者の協力があったからこそであるのはいうまでもない。

葬儀施行手順を洗い出したマニュアル整備を

 自社施行における対応策を洗い出す際に大切なことは、葬儀施行時の手順を洗い出し、「新型コロナウイルスに罹患されていない故人の葬儀施行」「新型コロナウイルスに罹患している故人の葬儀施行」に分けて、下記に提示するような対応策を練りあげることが大切になる。
(1)「罹患されていない故人」の葬儀
 ・参列者数の制限
 ・ 一般焼香は式場前入口で実施。式場内には遺族、親族のみ入場可能とする
 ・体調不良を訴える参列者の参列辞退のお願い
 ・会食などの工夫(持ち帰り、人数制限等)
 ・遺族控室などへの長時間滞留の禁止(仮眠などを遠慮願うなど)
 ・全会葬者の名簿作成(追跡調査が可能な情報のみ)
(2)「罹患された故人」の葬儀
この場合、原則的に24時間以内での火葬となるため、遺族に対してその旨の告知と理解を求めることが大切となる。
加えて、自社エリア内の火葬場の対応はどうなっているのかも早急に確認しておくべきだろう。
 地域によっては、「いまだ対応策が明示されていない」といったこともある。また、早々に指針を打ち出した火葬場では、「火葬時間を限定して実施」「1日1組のみ実施」といった方針を打ち出しているところもあるため、この点については確認を急いでおきたい。
 また、医療機関との連携についても、エリア内の事業者が共同で「要望書」などを提出するなどの必要もあるだろう。
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2020年6月号

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