キーワード検索

サイト内検索を閉じる

──「集客イベント」に関する実態調査【抜粋版】

人形供養祭は根強い定番
小規模・多様化の動きも加速

[特集]集客イベント考|アンケート分析

編集部では、6月2~16日にかけて、「『集客イベント』に関する実態調査」アンケートを実施した。全国720社の葬祭事業者にアンケートを送付し、145社から回答を得た(回収率20.1%)。回答者の属性は、専門葬儀社103社(71%)、JA系企業22社(15%)、互助会系企業20社(14%)図表1。ご協力いただいた葬祭事業者にあらためてお礼申し上げたい。

項目 内容

アンケート名

月刊フューネラルビジネス「集客イベント」に関する実態調査アンケート

目的

全国の葬祭事業者における「集客イベント」の実施状況やその傾向、直近の変化を把握し、業界内の実態を明らかにするため

調査方法

Webアンケート、FAX調査、メール調査

実施対象

全国の葬祭事業者(主に本誌読者および過去に取材等で接点のあった事業者)

調査期間

2025年6月2日(月)~6月16日(日)

有効回答数

145社

開催頻度は増加傾向
小規模・予約制なども定着

 まず、直近1年間で実施した集客イベントの回数を尋ねたところ、最も多かったのは年1回~2か月に1回程度の「1~6回」で57社(41%)を占めた。次いで、2か月~1か月に1回程度の「7~12回」が28社(20%)、月1~2回程度の「13~24回」が19社(14%)、月2~週1回程度の「25~48回」が12社(8%)、週1回以上の「年49回以上」が16社(11%)と続いた(図表2)。全体の中央値は年9.5回で、月に1回弱の開催頻度が中心とみられる。本設問では企業の規模(社員数・会館数)を考慮していないため、数値の背景には注意が必要である。実際、今回の回答者の大半を占める専門葬儀社は中小企業が中心であり、こうした企業では月1回程度の開催が一般的な実施ペースとなっている。一方で、年49回以上を実施している企業の多くは、会社規模の大きい互助会系企業、あるいは複数地域に拠点をもつ専門葬儀社であった。

 集客イベントの実施回数は増加傾向にある。「イベント実施回数の前年比」を問う設問では、「(前年と)ほぼ同じ」と回答した企業が82社(59%)と最多で、「増加した」が46社(33%)、「減少した」が11社(8%)と続いた。「増加した」企業が「減少した」企業を大きく上回っている(+25ポイント)ことがわかる(図表3)。コロナ禍からの回復により、イベントの開催を再開・強化する企業がふえたとみられる。

 コロナ禍は、イベント形式にも影響を与えたようだ。「この3年間(22~24年)でイベントの形式にどのような変化があったか(変化させたか)」を尋ねた設問では、「小規模イベントがふえた」が57社、「予約制イベントがふえた」が41社と、感染対策として導入された形式がアフターコロナにおいても継続されていることがうかがえる(図表4)。特に中小規模の葬祭事業者にとって、来場者の把握・管理がしやすく、運営やコストの負担を抑えられるこれらの形式は、一時的対応ではなく新たなスタイルとして定着しつつあると考えられる。一方で、「大規模イベントがふえた」と回答した企業も15社あり、コロナ収束後に通常開催を再開する動きもみられる。

定番は人形供養祭・相談会
セミナーや体験型企画も増加

 「この3年間(22~24年)に行なった集客イベントの内容」として、最も多くあがったのは「人形供養祭」(96社)、次いで「相談会」(94社)、「終活・葬儀関連セミナー」(75社)、「会館内覧会」(70社)、「周年記念祭」(57社)、「終活フェア」(51社)などが上位を占めている(図表4)。これらはいずれも、業界内での定番イベントといえる。

 このうち、「この3年間で新たにはじめたイベント」を尋ねたのが図表5だ。最も多いのは「終活・葬儀関連セミナー」(21社)で、「その他ワークショップ」(17社)、「相談会」(14社)、次いで「その他セミナー」「終活・葬儀関連ワークショップ」「人形供養祭」が12社で続く。「終活・葬儀関連セミナー」や「相談会」「人形供養祭」は、業界内では定番化しているイベントだが、コロナ禍を経たことで新たに導入した企業も少なくないと考えられる。また、「その他ワークショップ」や「その他セミナー」など、従来のテーマや手法にとらわれず新規企画を模索する新たな動きが起きている。

 「新たにはじめた理由」としては、「自社のブランディング・差別化を強化するため」(47社)が最多であり、「社内で新しい企画提案があったから」(24社)、「他社の成功事例を聞いたから」(20社)などが続く。そのほか、「顧客からの強い要望(エンディングノート講座や人形供養祭)」「防災意識の高まりを受けて(防災セミナー)」「社内他事業との連携(JA系企業による金融セミナー)」「駐車場スペースの有効活用(キッチンカー祭り)」といった具体的な理由もあげられた。

 そうしたなかで、「最も効果的だと感じるイベント」を尋ねたところ、「人形供養祭」が59社と突出して多かった(図表6)。人形供養祭は、葬儀社にとっていまや定番イベントの1つであり、常に一定のニーズが見込める。来館のきっかけづくりや会員加入への導線として有効であることから、多くの企業が高く評価していると考えられる。次いで多かったのは、「終活・葬儀関連セミナー」(35社)、「相談会」(26社)、「終活フェア」(22社)、「終活・葬儀関連ワークショップ、体験会」(16社)といった、葬儀や終活に関連するテーマを扱ったイベントである。具体例としては、樹木葬、墓じまい、ペット供養、おひとりさま向け、団塊ジュニア世代向けなどの企画が目立った。一方で、「その他ワークショップ」(15社)のように、葬儀と直接の関わりがないイベントを効果的とする回答もあった。具体的には、歌声サロンやヨガ教室、フラワーアレンジメントのほか、認知症や防災、防犯、健康といった日常生活に関連するテーマ、子ども向けのフェアなどがあげられている。


本誌のアンケート分析では、「イベントの開催目的」「主なターゲット」「この3年間で実施しなくなったイベント」「参加者ニーズの変化」「集客に使用しているツール」「運営上の課題」などの結果も掲載。そのほかにも、アンケート回答から編集部が選んだ具体的な「イベント事例」や、各社の「イベント戦略のあり方」についても詳解する。

月刊フューネラルビジネス
2025年8月号

月刊フューネラルビジネス 2025年8月号

定価:5,500円(本体5,000円)

年間定期購読料

最新号から

定価:46,200円(本体42,000円)[送料込]

関連リンク

ページトップ