――既存２会館との連携を強化し、ロボット導入効果測るパイロット店

ピースフル古府 ARIES［石川県金沢市］

式場、リビング、和室はオープンスペースとし、広さを感じさせる空間とした

石川県金沢市を拠点に葬祭事業を展開する(株)シオタニ（社長塩谷真一郎氏）は、2022年７月24日、金沢市内に「ピースフル古府 ARIES」（以下、ARIES）をオープンした。

JR北陸本線西金沢駅から車で約６分、北陸自動車道金沢西ICから約１分、交通量の多い県道25号沿いに立地する。

敷地面積1,291.36㎡、建築面積195.18㎡、鉄骨造平屋建てで、延床面積192.26㎡の規模。館内には、式場（15席）、遺族控室（リビング・ミニキッチン・浴室等）、導師控室（４畳）、多目的に使える和室（６畳）などを配置。駐車場は10台分を確保する。

コンビニエンスストアのコンバージョンだが、改装後はそのイメージを完全に払拭。シンプルで機能的なつくりで設えられた館内は、ホワイトベースで統一するとともに、モノトーンな内装としたことで落ち着きのある空間演出を実現。大切な故人との最後の分かれとなるシーンに飾られる生花や想い出の品を、より際立たせることを狙った。

フレキシブルに対応できる祭壇スペース

式場横に配された和室。遺体安置室としても利用する

今回の開設は、コロナ禍で拍車がかかった小規模葬の高まりを受けてのものとなった。邸宅型をコンセプトとするだけに、エントランスで靴を脱いで入室するスタイルを踏襲。自宅にいるような感覚で、ゆっくり故人と最期のひとときを過ごしてほしいとの想いを具現化し、式場、遺族控室などは一体利用ができるよう、平常時は仕切りを外したオープンな構造で開放的なつくりとしている。

また、館内には同社初の試みとなるパーソナルロボット「temi」を配置した。石川県産業創出支援機構（ISICO）の補助金を活用して導入したtemiは、AIアシスタント機能を有する移動可能なロボット。自律移動と遠隔操作（テレプレゼンス）で、来訪者の後ろをついて歩いたり、あらかじめ登録されている地点まで誘導することができる。

現状は、館内案内や同社本部への通話機能を中心とした展開ではあるが、スタッフ不在時に訪れる来館者（見学者）を逃さず、館内にとどまるようになればということで導入したそうだ。実際、ロボットの案内で館内の見学を行なったケースもあるようで、今後は、こうした運用効率をみながら自社既存会館への導入や、ロボットが有する他機能の活用策も検討したいとしている。

ARIES周辺には、車で約５分に「ピースフル金沢」（94年開業、14年改装）、同じく７分ほどの距離に「ピースフル大徳」（03年開業、09年改装）が位置する。これら既存２会館との相互連携を図ることで、初年度30件、次年度45件の施行獲得を目指す。

同社初導入となったパーソナルロボット「temi」