キーワード検索

サイト内検索を閉じる

新規則機への入替え投資で事業再編が加速

執筆|『パチンコ産業年鑑』編集部

  • パチンコホール
  • 業界再編
  •  2018年2月に施行された改正遊技機規則では、旧規則機の撤去期限を21年1月末までと定めていたが、コロナ禍の影響により1年延長された。業界団体は射幸性の抑制を確実に進めるために、旧規則機の計画的な撤去スケジュールを決議し、新規則機の設置比率目標を5月末に65%として、以降は毎月(オリンピック開催期間を除く)5%ずつ上昇させていく予定としている。

     なお、店舗に設置されている約395万台(パチンコ機240万台、パチスロ機155万台)の遊技機のうち、4月末現在、新規則機の設置比率は61.6%(パチンコ機66.9%、パチスロ機53.6%)となっており、151万5,000台(パチンコ機79万5,000台、パチスロ機72万台)の旧規則機が残っている。
 旧規則機の設置期限が延長されたとはいえ、参加人口の漸減とコロナ禍の業績下降という二重苦にあって、新規則機への入替えはホール企業に重い設備投資負担を強いている。新規則機は出玉数が従来の3分の2程度に抑えられているから、投資採算性の悪化も懸念される。
 そうした構造不況ゆえ、マーケットから撤退する店舗が増加している。

店舗数と遊技機台数の減少ペースが悪化

 5月に警察庁が発表した「風俗営業等の現状と風俗関係事犯の取締り状況等について」によると、20年末の総店舗数は前年から604店舗減少し、9,035店舗にまで落ち込んだ。年間で店舗数の減少が600店舗を超えたのは08年以来だ。これまでの弱小店舗の廃業という自然淘汰に加え、大手・中堅企業でも不採算店舗を閉鎖する流れが顕著になっている。

総店舗数の推移(左)/パチンコ・パチスロ機設置台数の推移(右)

 前回の規則改正時と店舗数の減少ペースを比較すると、04年末から06年末にかけては1,402店舗の減少であったのに対し、今回の18年末から20年末にかけては1,561店舗の減少となっており、前回を上回る。21年は旧規則機の撤去にかかる経過措置期間の最終年となるが、このペースで店舗の減少が進むと、21年末には8,000店舗台半ばになると見込まれる。
 総店舗数のうちパチスロ専門店は832店舗(前年比60店舗減)で、4年連続で前年割れとなった。19年には前年から37店舗減って900店舗を下回っていたが、こちらも減少幅が拡大した。パチスロ専門店比率は前年から0.1ポイント下がって9.2%。前回の規則改正後は10年に最も少ない903店舗(パチスロ専門店比率7.2%)を記録していたが、19年時点でそれよりも少なく、下げ止まっていない。

 20年末の遊技機総設置台数(スマートボール等含む)は前年より19万1,143台(4.6%)減って400万4,787台であった。店舗数の前年比6.3%減より減少ペースは緩やかだが、前年の10万6,801台(2.5%)減に比べると下げ幅は大きく拡大した。
 前回の規則改正では、04年末から07年末までで年平均2.6%マイナスで推移していたが、今回の18年末から20年末にかけては年平均3.5%マイナスとなっており、このペースであれば21年末には380万台程度にまで縮小する可能性もある。
 総台数の内訳は、パチンコ機243万2,563台(前年比12万5,282台減、同4.9%減)、パチスロ機157万2,048台(同6万5,858台減、同4.0%減)となっている。パチンコ機の減少率は前年に比べ1.9ポイント、パチスロ機の減少率は前年に比べ2.4ポイント、それぞれ悪化した。
 20年末におけるパチンコ・パチスロ機の設置比率は60.7%:39.3%となった。パチンコ・パチスロ機ともに設置台数は減少傾向にあるが、パチスロ機のほうが比較的緩やかであるため、パチスロ機の設置比率の上昇が続く。

 20年末における都道府県別の店舗数と遊技機台数をみると、店舗数は全都道府県で前年より減少したが、秋田県(1店舗減)、佐賀県(2店舗減)、沖縄県(2店舗減)、香川県(3店舗減)、愛媛県(3店舗減)などは減少数が少ない。
 遊技機台数は、東京都(1万9,504台減、64店舗減)、大阪府(1万3,170台減、46店舗減)、北海道(1万2,521台減、34店舗減)、千葉県(1万1,298台減、25店舗減)、愛知県(1万0,759台減、32店舗減)の5都道府県で前年より1万台以上減少した。

都道府県別の店舗数・遊技機機設置台数

大手・中堅企業による寡占化が進む

 市場全体における需要と供給の推移をみると、この10年で参加人口は半減しているのに対し、パチンコ機台数は10年前の約25%減にとどまっており、パチスロ機にいたっては10年前より約13%も台数がふえている。この需給のアンバランスも構造不況の一因だ。旧規則機の設置期限までに撤退する店舗もあるため、どこまで是正されるかが注目される。

参加人口と遊技機台数の推移(2010年を基準にした場合)

 弊社が毎年刊行している『パチンコ産業年鑑』には、これら業界データに加え、市場の約4割を占める大手有力企業50社の詳細な業績データ&店舗一覧と、ホール企業全社の売上ランキングを掲載している。
  今年4月に発刊した最新版では、有力企業50社は業容を縮小させつつも、市場全体のダウントレンド下で寡占化が進んでいる状況など、事業環境の変化を捉えた分析資料を収載し、ベンチマークとなる指針を示している。
  先行きが見通しにくい環境下では、事業継続のための財務と経営基盤強化が欠かせない。大手・中堅企業を中心に店舗のスクラップ&ビルドや事業の再編が活発化しており、守りと攻めの企業戦略が生き残りの鍵を握る。
(つづきは本書で)

印刷用PDF