中嶋康博氏[高木工業㈱ スポーツ事業本部 ゼネラルマネージャー/(一財)ピックルボール日本連盟 普及指導本部長]
【開発・運営の要諦】
1975年4月に日本初のインドアテニスクール「VIPインドアテニススクール」を開設し、日本のインドアテニスクラブ&スクール事業のパイオニアとして業界を支え続けてきた中嶋康博氏。25年4月には「VIPインドアピックルボールクラブ」を開設し、(一財)ピックルボール日本連盟 普及指導本部長も務めるなど、近年はピックルボールの普及活動に力を入れている。
本稿では、中嶋氏にピックルボール施設事業のポイントをうかがった。
私が日本初のインドアテニススクールを立ち上げて半世紀以上が立ち、インドアテニススクール市場は成熟しています。そうしたなかで、私がピックルボールに関わるようになったのは、3年ほど前です。ピックルボールのプレイヤーでピックルボール施設の開発・展開も行なっている人から、「日本でピックルボールを広げたいので手伝ってほしい」と声がかかったのがきっかけでした。その後、日本における施設づくりやプロモーションなど多角的にサポートするようになり、現在は私自身もピックルボールをプレイしています。
アメリカではすでに非常に大きな市場になっており、アジアでも急速に普及しています。日本でも近年、競技人口が大きく伸びているというデータもあります。ピックルボールは他のスポーツを比較してはじめやすく上達しやすいため、今後さらに市場が拡大していく可能性が高いとみています。

だからこそ、事業者にとってはいまがチャンスです。実際、大手企業も参入し、大会を見てもスポンサーの顔ぶれが変わってきました。
施設ビジネスとしてみると、日本での先駆けとなった施設がアメリカ基準の価格帯で展開したことは見逃せません。テニスコート1面でピックルボールコート3〜4面とれる面積でありながら、平日1時間6000円、休日は8000円といった利用料を設定しても十分に予約をとれるケースが多い。面積当たり売上げでみれば優秀で、この点に事業者として参入するメリットがあります。
そもそも、現状の課題は「プレイできる場所がない」ことです。これまでは公共体育館などが中心でしたが、公共施設は利用希望が他競技と競合する場合も少なくありません。そのため、ピックルボールをプレイできても週1回、2回というケースが多い。公共施設はその性格上、新しくはじめたい層が見学することもむずかしい。
ですから、今後は民間によるピックルボールコートの設置が求められます。特に初心者がふえている現在は、ピックルボールをきちんと教えられる人材が非常に重要です。公共施設では基本的にレッスンを提供することができません。その点では、たとえば長年テニススクールを運営してきた事業者には大きな強みがあります。テニスコーチは技術だけでなく、初心者を楽しませながら上達させるノウハウや、接客、クラス運営の経験をもっています。ピックルボールの選手としては上手くても、教えることについてはまだ経験が浅い人が多い。既存のテニススクール事業者のピックルボール事業参入が期待されるところです。


<具体的なビジネスモデル、施設づくりの注意点は本誌で>