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プールのあった総合型スポーツクラブを
1棟まるごとホステルに

GRAND HOSTEL LDK 東京西葛西

CASESTUDY/総合型スポーツクラブ→ホステル

4階のプール跡を
ビーチをイメージしたラウンジに

<前略>
 今年5月にオープンした「GRANDHOSTELLDK東京西葛西」は、東京メトロ東西線「西葛西」駅より徒歩約4分に立地。東京ディズニーリゾート(TDR)までバスで約40分、葛西臨海公園まで同約15分、東京スカイツリーまで電車で約40分など観光地へのアクセスに優れた場所に建つ。客室はドミトリールーム、グループ個室、ホテル個室の3タイプで総ベッド数は289[別表]。
 建物はRC造・地上5階建てで延床面積は約3259㎡。築年数は35年で、新築時から入っていた総合型スポーツクラブが撤退した後、約2年間スケルトン状態で借り手がなかった。「もともとお付き合いのあったオーナー様と別件の話をしている中で『2年ほど眠っている物件がある』と相談されたのがプロジェクトの端緒でした」と村上氏は語る。
 当初から「ホステルありき」と決めていたわけではなく、あくまで不動産活用の提案ということでファシリティ調査とともに周辺環境やマーケット調査も実施、どんな業態が活用法として適切か、さまざまな検討がなされるなか、近隣にホテルが多いエリアであること、TDRなど各種観光地が近いという点が考慮されたという。

 2年間も活用を阻んでいた最大の要因は、4階吹き抜け部にあるプールの跡だった。大和ライフネクスト㈱では各種調査を踏まえたうえで、この大空間を巧みに活用するとともに、かつ改修費用に見合う事業性を確保できる、との目途が立ったことから、ホステルならではの交流・コミュニティを体験してもらうために広い共有スペースの存在が特徴の1つである「GRANDHOSTELLDK」ブランドをオーナーに提案。プールのある吹き抜け部をラウンジにすることで他の宿泊施設にはない共有スペースが生まれ、オンリーワンのホステル体験が提供できると考えた。同時にオーナーに対しては、「GRANDHOSTELLDK」ブランドの地域住民との関係性やエシカル、多様性を重視するブランドストーリーなどを丁寧に説明していった。

 「オーナー様の収益性を高めることはもちろんなのですが、『これだったらやってみたい』と思っていただけるような、データだけではわからない周辺との親和性も含め納得感をもっていただくことが重要です」と村上氏は言う。結果、プールのあった吹き抜け部は、フロントやシェアキッチン、カフェ&バーのほか、本物の白砂を敷き詰めたビーチラウンジに生まれ変わった。ビーチラウンジは素足で歩くことができ、新たに設けた壁面にはプロジェクションマッピングで時間ごとの海辺の風景が投影され、宿泊客は南国リゾート気分が味わえる特徴的な空間となった。
 着工は24年5月で、25年1月までは、オーナー側による屋上防水、外壁修繕などの外回りの大規模修繕も同時に進行された。竣工は25年4月末。建物の用途変更、東京都の緑地制限に則った敷地内への新たな緑地(植栽)の設営なども同時に進行したという。

 改修工事においては、都のバリアフリー条例に準拠するため、2階の床上げによりユニバーサルルームまでの段差を解消する、シャワーブースの配管を通すための3階の床上げ、プロジェクションマッピング投影用の壁面の新設などを実施。最も問題になったのは、ビーチラウンジ周りの配線だったという。元がプールなだけに、窓側には全く電路がなかったのだ。構造強度の関係で新規ルートをつくるのはむずかしく、同社では壁面を大回りさせた配線とビーチの砂の下に通した配線で対応した。
 総事業費は約10億円。同規模の施設を新築する場合との比較では、「大幅なコスト削減につながっているのでは」と村上氏は推測する。
 オープンから約2か月が経過した「GRANDHOSTELLDK東京西葛西」の稼動率は・・・<続きは本誌にて>

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