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――編集部

第2次開発ラッシュ止まらず
476か所が開業し1万1,507か所に

[特集]葬祭会館の定量考察|総論【抜粋版】

コロナ禍がほぼ終息した2024年を振り返ると、葬祭業界の売上高・取扱件数のいずれも23年より拡大した。そうしたなか、月刊フューネラルビジネス2025年6月号「総論|第2次開発ラッシュ止まらず 476か所が開業し1万1,507か所に」では、2024年の葬祭市場と葬祭会館の開発・整備状況を明らかにするため、下記7項目を考察した。

■ 2024年(+25年前半)の国内外の概況
■ 24年の年間死亡数
■ 24年の新設会館数
■ 24年の1会館当たり死亡数
■ 過去10年間の新設数推移      
■ 新設集中度からみた都道府県の傾向
■ 2つの集中度からクラスター分析

ここでは、「24年の新設会館数」「24年の1会館当たり死亡数」の一部を抜粋して掲載する。

24年の新設会館数
全国で467か所が新規オープン

 図表は、2024年の全国の葬祭会館新設動向を示したものである。それによると、編集部で確認できた24年の会館新設数は467か所である(2023年は334か所)。編集部では本誌創刊時の1996年から全国の会館データを集計しているが、この467という数字は約30年間で最も多い新設数ではないかと思われる。その結果、全国の会館総数は1万1,507か所となった。

 都道府県別に会館総数をみていくと、当たり前だが、政令指定都市が置かれて市場規模(死亡数)が大きい都道府県が総数・新設数ともに多くなっている。24年の新設数を含めて最も会館数が多いのは、①愛知で711か所。次いで、②大阪の636か所、③福岡599か所と、この3府県が飛び抜けて多い。以下、④埼玉491か所、⑤神奈川473か所、⑥北海道471か所と続く。24年の新設数をみても、①が31か所、②が33か所、③が27か所、④が36か所、⑤が22か所、⑥が26か所と、いずれの道府県も20か所以上が新たにオープンした。

 24年の新設数467か所を事業者別にみてみる。まずは互助会系で最も多かったのはアルファクラブグループで、アルファクラブ武蔵野やアルファクラブなどが80か所を新規に積み上げたとみられる。13年に子会社化した小さなお葬式ブランドのユニクエストを含めれば、90か所に届く勢い。次いで、メモリードグループの18か所。

 専門葬儀社では、24年9月にきずなホールディングス(家族葬のファミーユなど)を連結子会社化した燦ホールディングスが38か所(燦ホールディングス12、きずなホールディングス26)、ライフアンドデザイン・グループ(ライフアンドデザイン・グループ西日本など)が21か所など。また、近年、各地の葬儀社をつぎつぎと傘下に収めて勢力を伸ばしている金宝堂グループが53か所(金宝堂26か所、仙和8か所など)の会館を新設したとみられる。

 いわば、大手互助会、ホールディングス企業、急成長する新興葬儀社グループの三つ巴の陣取り合戦が、24年の新設数を押し上げたといえる。事実、出店地を確認すると、上記の事業者同士が同じ町内(○○市○○町など)に競って出店したケースや、上記事業者が地域の有力事業者の会館近くに出店してパイを奪いにかかったケースなど、激しい攻防が続いた24年であった。なお、24年の新設会館467か所は、本誌に「DATA|2024年全国新設会館一覧」として掲載している。

都道府県別の会館数(2024年オープンまで)

24年の1会館当たり死亡数
全国平均は138人

 前述したように、24年の新設会館467か所を加えた全国の会館総数は1万1,507か所となる。これにより、1会館当たり死亡数は全国平均で138.0人(年間死亡数158万8,433人÷会館総数1万1,507か所)となった。

 都道府県別では、最も少ないのは①栃木で81.9人。以下、②佐賀87.9人、③宮崎88.0人、④香川89.6人、⑤福島89.8人の5県が90人を下回っている。低い順に10位まで並べると、九州エリアが4県、東北エリアが3県含まれているが、両エリアで1会館当たり死亡数が低下した背景・理由は異なる。九州は1990年代にはすでに会館の普及・整備が進んでいた先進地域であり、そのため現在でも1会館当たりの死亡数が低い。すなわち、「競合が激しい」「出店余地が小さい」エリアである。一方、東北の会館整備は2000年代以降と他のエリアより遅れたが、その後、大手互助会等の出店攻勢が続いて1会館当たり死亡数が低下し、いまに至っている。


本誌では、上記内容のより詳細なレポートや、過去10年間の新設数推移や新設集中度からみた都道府県の傾向などを掲載しています。

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