VIEWPOINT|売買トレンド
【試し読み】
2025年の大型取引の動向をみてみよう。
需要動向に従い、各資産クラスで異なる様相となっている。
2025年、もっとも活発に大型物件が取得されたのはホテルである。ジャパン・ホテル・リートが取得したフルサービス型ホテル「ヒルトン福岡シーホーク」が643億円で最高額。続いてヒューリックリートの「浅草ビューホテル」(380億円)、オリックス不動産の「ホテルユニバーサルポートヴィータ」(350億円)となり、この3物件で同年J-REITが取得したホテルの総額の37.4%を占めている。
このほか、オフィスでは日本ビルファンドが取得した大規模複合ビル「横浜三井ビルディング」が431億円で最高額。物流施設ではKDX不動産の「KDXロジスティクス恩田原」(124億円)、住居では平和不動産リートの「HF目黒行人坂レジデンス」(53億円)が最高額だった。
編集部では、毎年の全取引を反映したJ-REIT全ポートフォリオの取得額の上位ランキングを集計している。2025年に新たにランクインした物件はホテルの3物件のみで、[図表]の通りだった。24年は全資産クラスで7物件が新たにランクインしたことから、全体的に1物件あたりの取引金額が伸び悩んでいる状況がわかる。ただし郊外型商業施設だけ、ランキングには表れないものの金額規模は大きくなる傾向がみられる。
![[図表]J-REIT全ポートフォリオのホテル取得額上位物件(2025年末時点)](https://www.sogo-unicom.co.jp/cms/wp-content/uploads/2026/02/VP-351x400.jpg)
こうした動きは市場の需給環境を反映したものになっている。
具体的には、ホテルはインバウンドのさらなる拡大や大阪・関西万博開催を背景に収益力が向上し、取得意欲が顕著になった。オフィスは都心部のプライム物件を中心に空室率や賃料の改善が続き、選別的に取得が伸長。物流施設は近年の供給のだぶつきや賃料の伸び悩みが目立ち、賃貸住宅も価格高騰による利回り低下や投資妙味の相対的後退から取得が抑制されている。商業施設は人口減少・商圏縮小リスクが意識されるなか、広域商圏を持つリージョナルSCなど競争力の高い物件に資金が集中した。
J-REITの取引における懸念材料として、建築費高騰によるさらなる物件価格の上昇、金利上昇による資金調達コストの上昇、投資口価格低迷による増資を伴う規模の物件取得余力の低下が指摘される。一部資産クラスで物件取引にブレーキをかける動きがみられ、今後の動向に注意が必要である。