レジャー産業は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止による利用者数の減少や行政による営業時間の短縮要請に伴い、多くの業種で軒並み苦戦を強いられている。そのなかで、ゴルフマーケットはコロナ禍においても大きな影響を受けなかった数少ない産業の一つといえる。特に2020年のゴルフ練習場の売上げは116%(経済産業省特定サービス産業動態統計調査調べ)と前年を上回った。
市場規模増加の要因として考えられるのが、コロナ禍で可処分所得を従来の余暇に充てられずにいる生活者の存在が挙げられる。これまで飲み会などの交際費や旅行などに消費していたが、この1年はそうした消費が抑えられていた。その余った時間とお金の使い道として、密を避けながら身体を動かせるゴルフへと向かった格好だ。特に、ゴルフ業界関係者からは、「若年層の参加がふえている」という声を多く聞く。これまでゴルフ業界では若年層を取り込もうと、さまざまな施策を打ちながらも具体的な効果を見出せないでいたが、図らずもコロナ禍によって一気に60万人もの若年層ゴルファー(矢野経済研究所「コロナ参入・リタイアゴルファー実態調査2021」より)を新たにつくり出してしまったのだから、なんとも皮肉である。
本稿では、コロナ禍ながら拡大基調にあるゴルフマーケットのなかでも、「アウトドア練習場」(いわゆる“打ちっぱなし“)と「インドアゴルフ」(スクール、練習場)にフォーカスして、最新動向をみていきたい。