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再考!ホテルビジネス 危機に問われる本質

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第3波で賃料減額要請のオーナー対応も軟化か

 コロナ禍でホテルビジネスの本質が問われている。
 ホテルはオペレーショナルアセットとして、景気感応度が高く、需給バランスやオペレーターの力量によって収益が変動する。その力量を生み出すのに要求されるのが高い競争力と専門性だ。そして、不動産としての立地も欠くことのできない要素である。
 これまでもリーマン・ショックや東日本大震災の際には、外部環境によるボラティリティやテナントの代替性といったリスク要因が表面化してきた。それでも、インバウンドの急増に目を奪われ、継続的な需要の成長を前提にしたシナリオによって、2016年ごろから新規開発が一気に増大した。
 需要成長が客室供給の増加ペースを上回っているトレンド下の開発は、オーナー優位で賃料が上昇。需要過多の局面ではオペレーターの運営力に大きな差が生まれにくく、ホテルビジネスの本質よりも経済条件がフォーカスされたためだ。また投資家によっては、収益に連動した変動賃料を導入し、積極的にアップサイドを追求する動きも増した。
 コロナ禍で市場からの撤退を余儀なくされたホテルのなかには、こうしたタイミングで後発出店し、想定した安定年度に入る前に供給増に伴う競争環境の激化、そして今回の危機が追い打ちをかけ、当初の高い賃料水準に耐え切れなくなった、といった共通項がうかがえる。
 中途解約だけでなく、契約満了時の退店、新規出店の中止などがすでに明らかになった事例もふえており、オペレーターサイドのポートフォリオの整理が今後はさらに進むとみられる。
 一方、オーナーサイドも厳しい環境にある。昨春以降、オーナー・オペレーター間で行なわれてきた賃料減額や繰り延べなどの協議は、今年に入るともはや当事者間だけの問題ではなく、ホテルを担保にもつレンダーも加わる局面になりつつあるようだ。
 階PMG FAS 執行役員パートナーの栗原隆氏は「事業継続のために、暫定的に3か月、半年程度の短いスパンで、オーナーとオペレーターが互いに条件面の目線を合わせていくことが急がれる」と指摘する。
 足元ではようやく感染拡大が抑え込まれてきており、Go To トラベルによる旅行再開の“お墨付き”も待たれる。

Go To トラベル再開はセンシティブな問題に

 1月に成立した令和2年度第3次補正予算案では、Go To トラベルに1兆0,311億円が計上された。
 地方や観光・宿泊業界からは感染状況が比較的落ち着いている地域に限定した早期再開を望む声があがっているが、再開時期の見通しは不透明だ。
 当初、Go To トラベルの延長は今年6月末までを基本想定としていたが、これは東京オリンピックの開催を前提としている。オリンピックの開催が延期あるいは中止になった場合、政府は経済効果の落ち込みをカバーする対策に迫られてくるだろう。
 もっとも、延長をめぐっては「適切な運用」が謳われていて、「たとえば、中小事業者、被災地など観光需要の回復が遅れている地域への配慮を行なうとともに、平日への旅行需要の分散化策を講ずる」としている。また、事業者からも料率の段階的な縮小によるソフトランディングも要望が出ていた。
 政官への業界広報機能として活動する㈶宿泊施設活性化機構 事務局長の伊藤泰斗氏は、Go To トラベル再開の方向性を次のように話す。
 「開始当初は地域や事業者に予算が配分され、まるで計画経済のようであったが、再開時には国民の認識や合理性に基づいた市場経済ベースの考え方に落ち着くだろう。飲食事業者への協力金が前例となって、企業規模によって支援額に差を設けるのはロジックが担保されない。また、総需要の喚起はあっても、需要のない特定地域に限って予算を投入するのは市場原理に逆らっている」。
 コロナ禍の経済対策でも、一定の倒産と失業は許容しつつ、その先の不動産を通じた金融システムの崩壊だけは避けたい、というのが政府の共通認識となっているようだ。

コロナを乗り越え、次の危機にも備えを

 本特集では、コロナの難局を乗り越え、次の危機に備えるための視点を8つに整理した。
現状の後退局面において、オーナー・オペレーターでいかにリスクシェアしていくか。そのうえで、オーナーもオペレーションに関与していく必要性が増すことで、マネジメント体制も問われる。一方、オペレーターは限られた需要のもとでの販売拡大とGOPの最大化を目指していくためのビジネスモデルの再構築が求められる。
(8つの視点の詳細は本誌にて)

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