東急リバブル ソリューション事業部 ホテルアセット推進グループに聞く
OVERVIEW|市場のトレンド 投資運用の視点(試し読み版)
国内ホテル投資市場は好調を維持。主要都市では稼働率が高水準に達し、投資判断の焦点はOCC(客室稼働率)の確保からADR(客室平均単価)をいかに伸ばすかへと移りつつある。今後は需要増だけでなく、顧客層・ブランド・運営力を掛け合わせ、客室単価を高める戦略が不可欠だ。
本稿では、東急リバブル ソリューション事業本部のホテル専門チームに、ホテル投資市場の現状や運営動向、そして投資・運用における注目ポイントについて話をうかがった。
金利上昇と建築費高騰を背景に、投資家のホテルへの関心は一層高まっている。その背景には、将来的に収益や価値を上振れさせる「成長性」への期待がある。
住宅やオフィスは賃料改定余地に一定の限界があるが、ホテルは価格設定、ブランド、販売チャネル、顧客ターゲット、サービスの見直しなど「運営設計」によって収益が変わるオペレーショナルアセットである。
この可変性が、国内外の投資家を引きつけている。
もっとも、市場の好調を全体像だけで見ることは慎重であるべきだ。需要の中身をみると、訪日外国人旅行者数は2025年に4,000万人を超え、2030年の6,000万人目標に向けて成長基調にある。
一方、日本人の国内旅行者数は2023年以降おおむね横ばいで推移しており、アウトバウンドも2019年水準には戻っていない。訪日客のプロファイル(顧客層)も一様ではない。
欧米からの旅行者は滞在時の支出が高く、とりわけ富裕層は宿泊費への許容度が高い。「そのホテルに泊まること」自体を目的化する傾向が強いため、ラグジュアリーやアップスケールホテルではADRを伸ばせる余地が大いにある。
一方で日本に近いアジア圏からの旅行者にはリピーターも多く、彼らはコストパフォーマンスを重視し、予算を宿泊よりもショッピングや食事、体験へ振り向ける傾向がある。
そのため、ミッドスケール以下の施設では、稼働率を確保できても単価上昇には制約が生じる。東京・大阪でホテル不足が語られるなかではあるが、今後の投資判断では、エリアごとの顧客層、競合、運営設計を細やかに見極める必要があるだろう。
▶︎アパートメントホテル
いま投資家からとくに注目されているのが、長期滞在やグループ需要に対応するアパートメントホテルである。キッチンやランドリー、広い客室を備え、家族旅行や連泊需要を取り込む吸引力とADRの高さから投資家の関心は高い。ただし、表面上の販売価格をそのまま収支計画に反映させることは慎重な判断が求められる。アパートメントホテルはその特性上、早割や連泊割が適用されているケースも多く、実際の販売価格は公式サイトや予約サイトの表示価格より15~20%程度下がる場合がある。
また、ホテルの運営方針による収益構造の違いも大きい。無人化や省人化でコストを抑えるのか、外国語対応や有人サービスによってホスピタリティを高めるのか。効率性だけを追えば価格競争に陥りやすく、サービスに寄せれば人件費負担が増す。高い単価を実現するには、客室面積、家具・内装から、スタッフ体制、販売チャネル、口コミ評価までを一体で設計する戦略が必要となる。
▶︎既存ホテルのリブランド
ADR上昇のための有効な投資手法として、既存ホテルのリブランドによるバリューアップが挙げられる……
≪記事の全文は本誌で≫

左:鹿島英二氏
アセットアドバイザリー部 投資企画グループ 兼 ホテルアセット推進グループ シニアグループマネージャー
中:伊澤毅洋氏
執行役員 アセットアドバイザリー部長
右:奥田史也氏
アセットアドバイザリー部 ホテルアセット推進グループ シニアチームリーダー