LEVECHY
【試し読み】
LEVECHY(レベチー)は、2023年6月から不動産クラウドファンディング(CF)を展開する事業者である。これまでの運用資産残高(AUM)は約116億円、累計調達金額は約246億円、顧客投資家数は約2万5,000人。組成したファンドは24本、CFの1件あたり募集総額は約6,000万円~25億円で、運用期間は平均約1年となっている(25年12月時点)。
同社はもともと2012年に創業し、オフィスリーシングから事業をスタート。20年からオフィス再生事業「JP-BASE」を展開している。JP-BASEは、既存オフィスビルを取得し、セットアップオフィスとして再生したのちに売却するもので、これまでに都内で13棟の再生実績を重ねている。 CF事業参入の目的は、課題となっていた自己資本の固定化を解決しつつ新たな不動産投資手法を投資家へ提供するためだ。複数案件を同時に進めると、資金が長期間拘束され事業拡大の制約となる。
そこで2019年ごろから外部資金を活用する仕組みとしてCFに着目、23年には一般投資家向け電子募集が可能な不動産特定共同事業の3号・4号事業者としてCF事業を開始した。多くのCF事業者は自社のバランスシートに計上する1号・2号事業者免許にとどまるが、LEVECHYではSPCを用いた倒産隔離スキームを活用できる3号・4号事業者の免許を取得。これは当時国内2社目の取得だった。
同社があえて個人投資家向けの投資商品の組成に注力したのは、広い資金調達先を確保するためだ。
「機関投資家向けのファンドでは、運用実績の蓄積につれて自然と調達力は上がっていくが、逆に当時ほとんど認知されておらず難易度の高い一般投資家市場に取り組むことで、裾野の広い資金調達基盤を構築できると考えた」と説明するのは、代表取締役社長の高将司氏だ。
顧客投資家属性をみると、年齢は30~40代が中心で、女性比率が約6割と高い点が特徴。1回あたりの平均投資額は約40万円となっている。

LEVECHYのファンドは、首都圏のオフィス、マンションを主力としている。基本はインカムゲインとキャピタルゲインの双方を狙える商品企画としている。平均想定利回りは約8%で、高いものでは10%超の案件もある。
運用期間は1年前後で設定している。個人投資家は長期間の資金拘束を避ける傾向にあるためだ。ただし、「じっくりと腰を据えて運用できる」長期間ファンドも増やしていきたい意向から、投資家の多様なニーズに合わせた商品設計を検討している。

特徴的な事例が、北海道函館市の国指定重要文化財「旧相馬家住宅」を対象とする「LEVECHYファンド19号」である。重要文化財をSPCスキームの不動産CFで取得・運用する国内初の事例で、重要文化財である主屋および蔵を保存しつつ、重要文化財に指定されていない建物部分をホテルとして改装し利活用する。
ファンドでは募集総額約2億2,000万円に対し、応募総額は約3億6,000万円に達し、2025年4月から運用を開始した。運用期間は1年間の予定だが、今後は別ファンドに移しての運用を検討している。
ホテルは既存建物のうち改修が可能なカフェ区画などを活用する形で、2026年3月までに開業を予定している。運営は歴史的建造物の保存・活用事業を展開するバリューマネジメントが担う。
「物件周辺に歴史的建造物が多く観光資源としての価値が高いこと、本ファンドを通じて個人投資家に地方創生や街おこし、歴史保全などを訴求できることを評価した」(高氏)。
LEVECHYでは今後、2028年度までにAUM1,000億円、顧客投資家数10万人まで成長させる方針。そこで注力する分野は、企業の保有する不動産を対象としたファンドの拡充である。具体的には企業の社宅や福利厚生施設、事業用不動産などを組み入れ、企業にリースバックするなど、企業の資本効率や遊休資産の見直しニーズに応えるスキーム提案を検討している。
新たな投資商品としては、大口投資家などに向けた「LEVECHY PLUS」の展開を検討している。個人投資家向けCFでは手の出せない開発行為や大規模なリノベーションの実施に挑戦する方針だ。第1号ファンドを2026年度までに組成したい考え。