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──SQUEEZEが支える再現性高い運営リターン

ホテル投資の成功は
“運営パートナー”で決まる

【試し読み】

ホテル投資はもはや「取得して保有するだけ」で十分なリターンを望める時代ではなくなっている。
高騰する建築費・人件費をいかにコントロールし運用益を最大化できるか。投資家の関心は「効率化」に集約されつつある。SQUEEZEは、こうしたホテル開発・投資・運営をトータルに管理するプラットフォームを携え、効率化の課題に対し正面から取り組むホテル運営のソリューション企業である。

業務効率化の仕組み、自社施設で実証

 SQUEEZEは2014年に創業。「空間と時間の可能性を広げるプラットフォームになる」を企業ビジョンに、オペレーターの立場からホテル運営のDXを推進してきた。物件運営の実務力に加え、開発・投資フェーズでの現場目線のコンサルティングや、運営業務を効率化するシステムの開発力を強みに投資家から高い評価を得ている。「現場の課題に向き合うなかで、データ活用こそがホテル運営の再現性を高める鍵だと考えた。そこで属人性を排し、安定した成果につながる運営システムの構築を進めてきた」と代表取締役CEOの舘林真一氏は話す。
 
 例えば、自社開発のホテル運営システム「suitebook」は、将来需要の予測に基づく価格調整(レベニューマネジメント)機能に加え、販売や清掃の進捗管理、人員配置、各コスト管理まで、運営に関わる主要情報と経営収支をクラウド上で統合、一元管理できる点が特長。需要/価格の提案、運営の異常検知などのAI活用も徹底、運営を自動化、最適化できる。
 
 オーナー/アセットマネジャー向けには「オーナーダッシュボード」を提供し、運営KPIやオンハンドなどの主要データをリアルタイムに共有できる環境を整備している。これにより、収支報告の透明性を担保するだけでなく、価格戦略や販売方針、運営上の打ち手といった戦略面までを、タイムリーかつスピーディに合意・推進できる状態を実現している。
 こうした取り組みが投資家の信任につながり、同社の運営規模は全国約40施設へと拡大。「2027年までに、旅館業・ホテル業で80施設の運営体制を見込んでいる」(舘林氏)。
 同社が展開するホテルの基本要件と代表的な施設事例は[図表]のとおりである。


[図表]SQUEEZEのアパートメントホテル「Minn」

[ホテルの特徴]
出店は観光需要が高く、駅徒歩圏でアクセス利便性のあるエリアに重点を置いている。客室は30~75㎡を中心に、キッチンやダイニングなど生活機能を備え、ファミリーやグループの長期滞在に適した構成とした。宿泊客は欧米や台湾、東南アジアを中心とした訪日客が多くを占めている。今後はより幅広い旅行者層に対応できるブランド展開を進めていく。

[代表事例]

施設名 概要

1「Minn上野」

JR「上野」駅徒歩5分、52室(35~50㎡)

 
Minn上野

東京建物社が開発。2018年の土地取得のタイミングから企画面でSQUEEZEが伴走し、ファミリー・グループの中長期滞在需要を取り込む設計とした。和モダンの内装や浮世絵アート、最大8名まで宿泊可能なロフトベッドルームなど、多人数滞在に適した空間づくりが特徴。SQUEEZE開発のホテルOSを軸に省力化と生産性向上を実現し、開業後は稼働・単価とも高水準でGOP率は通年で70%超に。収益性の高さが評価され、2025年に私募REITにより取得されるに至った。

2「Minn日本橋水天宮前」

地下鉄「水天宮前」駅徒歩4分、29室(36~47㎡)

 
Minn日本橋水天宮前

第一リアルター社が取得、既存オフィスビルからアパートメントホテルへコンバージョンしたプロジェクト。開業後は当初計画を大きく上回る稼働・単価を実現し、海外の政府系ファンドが取得するなど、不動産価値向上の成果が表れている。既存ストックの特性を活かしながら、多様な宿泊ニーズに応える再生モデルとして評価が高い。

3「Minn STATION Ai Nagoya」

JR「鶴舞」駅徒歩6分、25室(19~67㎡)

 
Minn STATION Ai Nagoya

名古屋市のオープンイノベーション拠点「STATION Ai」(運営:ソフトバンク子会社のSTATION Ai)の最上階に展開。700社超の愛知県発スタートアップ、事業会社、大学・研究機関による試作製品・システムを客室で体験できる場としてコラボレーションを実現。最大14名まで宿泊可能な客室を用意。館内にはルーフトップテラスや飲食スペース、交流リビングなども併設。


再現性を裏付ける3つの強み

 SQUEEZEが展開するホテルの運営体制は、省人化、AIダイナミックプライシング、クラウド清掃管理を組み合わせ、運営効率と収益性を高める仕組みを構築している。「一部の施設ではGOP比率が70%超に達するなど、高効率なモデルが実証されつつある」(ホテル開発・仕入チーム マネージャーの泉勇希氏)。その裏付けが、①データドリブン経営②自社開発による統合ソリューション③国内外の集客ネットワークの3本柱である。

データドリブン経営
 ホテル開発プロジェクトの最大の課題は、「企画段階の想定と、開業後の実績が乖離する構造的な問題があること」と舘林氏は指摘する。背景には、投資・開発・運営の三者間で情報が分断され、ナレッジやデータが十分に共有されていない点がある。SQUEEZEでは、この分断を解消するため、suitebookに蓄積されるゲスト属性(国籍割合、予約流入経路)や運営KPI(稼働率、ADR、GOP、その他主要KPI)などをリアルタイムに集計・可視化し、投資家へ共有することで開発計画をサポート。その後の運営、出口戦略までを一気通貫で支援する体制を構築している。ホテルゲストの要望もナレッジ化し、次の開発や運営体制の改善へと反映し、運営と開発の循環モデルを実現。投資家は一貫したロジックとデータに基づき合理的な意思決定ができる。

自社開発による統合ソリューション
 ホテルOSとして、チェックインシステム、クラウドレセプションなどの主要機能を自社で内製化していることが特徴。スマートロックと連動したセルフチェックインに加え、2019年に設立した海外拠点「SQUEEZE Asia」が日本語・英語(一部その他言語)のクラウドレセプションとしてチェックイン/問合せ業務を24時間対応。これにより、国内のホテルスタッフは清掃品質の維持や口コミ対応など、ゲストの体験や、施設価値を高める業務にリソースをシフトできる。また、ホテル清掃は外部委託に頼らず自社雇用スタッフで対応、清掃会社の人材不足に起因する“売り止めリスク”を回避している。「運営の要所を内製化し、サービス品質・コスト・運営リスクを一貫してコントロールできる点が、投資家の安心材料になる」(泉氏)。

国内外の集客ネットワーク
 自社サイトおよび各OTAの活用に加え、2025年11月にはマリオット・インターナショナル(MI)と提携。「Homes & Villas by Marriott Bonvoy」にSQUEEZE運営施設の一部が掲載されるようになった。ハード、デザイン、安全性、清潔さ、アメニティなど、MIの厳格な基準をクリアしたうえで、世界2億6,000万人のMarriott Bonvoy会員に情報発信できる体制が整った。グローバルブランドとの連携は、需要の厚い会員基盤へのリーチを通じて稼働の底上げや単価アップを後押しし、ブランドの信頼性向上ももたらす。投資家には、第三者による目利きを通じた品質保証という意味合いもあるだろう。

ホテル外の運営支援も視野に

 SQUEEZEは、従来の「建物・設備による差別化」から「運営による価値創造」へと移行するホテル市場の変化を見据え、運営力で不動産価値を底上げする仕組みの普及を目指す。舘林氏は「suitebookの機能拡張で、レジデンスやマルチユースビルなど他領域への事業展開も視野に入れている」と語る。
 泉氏は「これからの不動産価値の源泉は、立地や建物の構造に加え、運営の柔軟性が重要」と指摘。特に人材やノウハウ不足が深刻な地方・観光地のホテルでは、同社のクラウドオペレーションとデータ管理システムを「共同運営インフラ」として提供することを目標に掲げる。
 
 今後の成長の柱として、舘林氏は「AX(AI Transformation)」を挙げる。AI、IoTと連携し運営データを横断的に収集・分析、投資家・オーナーの意思決定のスピード・精度を引き上げる狙いだ。その基盤となるsuitebookを「オペレーションプラットフォーム」として、日本の宿泊施設・収益不動産の基幹システムへと進化させる考え。「磨くのはホテル1施設だけではなく“運営の仕組み”そのもの。仕組みが強ければ、物件が増えても品質と収益の再現性を担保できる。安定したホテル投資モデルをつくり、都市、地域、不動産の持続的な価値向上に貢献したい」と舘林氏は展望を語った。


館林真一氏/泉勇希氏

舘林真一氏(右)
代表取締役CEO
東海大学政治経済学部卒業後、ゴールドマンサックス証券シンガポール支社に勤務。その後、トリップアドバイザー シンガポール支社にてディスプレイ広告の運用を担当。2014年9月、SQUEEZEを創業し代表取締役CEOに就任。
 
泉 勇希氏(左)
ホテル開発・仕入チーム マネージャー

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