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【2005.12.16】

葬祭業界も、2005年がM&A時代元年に

 今年春、日本一の専門葬儀社である「燦ホールディングス」(大阪・公益社)が、鳥取県米子市の葬儀社「葬仙」を買収し、一挙に11会館・年間葬儀施行件数1,200件を上積みしました。両社は、異なる営業エリアでともに葬儀業を中心として業務を行っており、かねてからM&Aを模索していた経緯が知られていたので、業界内では大きな衝撃が走ったというわけではありませんでした。

 ところが秋になって、福島県の墓石業大手「カンノグループ「と冠婚葬祭互助会をもつ葬儀社「アイトゥアイグループ」(ハートライン、たまのや)の経営統合が実現しました。こちらのケースは、石材業と葬祭業という同じメモリアル産業に属するものの、実体的には事業基盤や経営手法が大きく異なる両社の統合です。統合比率は1:1で、M&Aというより、将来を見据えた地元企業同士の企業合同という面もあります。

 墓石や霊園販売は、バブル時の過剰供給の傷がいまだに癒えておらず、新規の需要開拓はごく都心部の低価格路線、あるいは身内に葬儀が発生して仏壇や墓石建立が必要となった実需層に限定されてきています。そのため、将来像が見えずに墓石関連業者のなかでも葬儀業の将来性を見越して、葬儀業への拡大(川上戦略)しているケースが多くなっています。

 カンノも、2年前からこうした葬祭業への川上戦略を取り自社で葬祭会館を建設して、葬祭業へ進出しています。一方のたまのやは、自社の顧客が墓石等を求める際に同社を紹介していましたが、両社の思惑が一致して一挙に経営統合という選択肢を選んだそうです。

 石材業の川上戦略は、最大手の「メモリアルアートの大野屋」が早くから着手していますし、葬祭業をはじめ生前予約システムの開発などに取り組んでいます。2番手グループの「ニチリョク」も葬祭部門が拡大してきており、葬儀・仏壇・墓地・墓石などメモリアル産業のトータルサービス化を突き進んでいます。

 仏壇業界でも、最大手のはせがわは以前は「仏壇のはせがわ」をキャッチフレーズにしていましたが、霊園・墓石部門が拡大して、現在では看板からロゴ、TVコマーシャルまで「仏壇・墓石のはせがわ」を前面に打ち出しています。

 こうしてみてくると、今後需要拡大が見込まれる葬儀業を中心として、全国地域ごとに分散する企業の「水平統合」が進むと思われ、同時に人生の末期から死後のアフターサービスに関連して「垂直統合」の動きも加速されると思われます。

 アメリカの葬儀産業においても、1980年代からこうしたM&Aが盛んに行われ、SCI(Service Corporation International)などの巨大企業が誕生した経緯があります。わが国でも、葬祭業が21世紀末から一般の産業に遅れて「近代化」が進められてきたなかで、いよいよ一般産業と同様にM&A時代が到来したといえるでしょう。

 なお、こうした各社の戦略については、「月刊フューネラルビジネス」2006年1月号(12月25日発売)においては、「特集 墓石業界で進行する川上戦略」と題して、記事構成をしております。フューネラルビジネスは、新年を機に雑誌の仕様を変えて読みやすくなるなど、大きな誌面刷新を行っていますので、ぜひご覧いただきたいと思います。

【参考URL】
<月刊フューネラルビジネス公式サイト>
編集スタッフのつぶやきコーナーもあります。
http://www.funeral-biz.com/
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