綜合ユニコム|編集長だより [ホームへ戻る]




【2005.09.30】

「サツキとメイの家」・・・そして今の子供たち

 この9月、テレビや新聞などでは連日、アメリカを襲ったハリケーン「カトリーナ」や「リタ」による被害の報道が流れていました。日本でも毎年のように台風による大きな被害が発生していますが、こうしたニュースを見ていると、スケールの違いにちょっと驚かされます。ニューオーリンズでは街が水没してしまったり、テキサス州のガルベストンでは避難する住民の車で大渋滞が発生して逃げるに逃げられない、身動きもままならないという状態になったりなど、悲惨なニュースを目の当たりにしました。

 同じ頃、日本では、「愛・地球博」が閉幕間近ということで駆け込み入場者が膨れ上がり、なかには「8時間待ち」(!)の長い列がつくられていたといいます。片や「自然の叡智」をテーマに掲げた博覧会がフィナーレを迎えようとしているときに、海の向こうでは自然の猛威に晒されて為すすべもない状況に陥っているというのは、何やら皮肉な話ではありませんか。

 その愛・地球博は、目標入場者数1,500万人を大きく上回る2,200万人超の記録を残して25日に閉幕しました。私も取材でいくつかのパビリオンを体験してきました(「エンターテインメントビジネス」8号と9号でレポートを掲載しています)。

 これはまったく個人的な趣味・嗜好の問題ですが、そのなかでも「サツキとメイの家」は、開館前に入ることを許可していただいたこともあってか、感慨深い体験をすることができました。私にとっては、今夏のなかで最も印象に残っていることのひとつといっていいでしょう。時間としては20〜30分程度でしたが、誰もいない家の縁側に座って池や森の緑を眺めていていると、子供の頃に住んでいた家にも、ささやかながら縁側があったなということが思い出され、時間も忘れて近所の友達と遊びまわっていたことなどが脳裏をよぎったりもしました。おそらく、ある世代以上の方々は、そうした家に住み、夢中になって遊んだ子供時代の思い出を持っていると思います。

 ところで近頃では、外で遊びまわる子供たちの姿をあまり見かけなくなったようです。塾通いやテレビゲームといった家の中での遊びに熱中しているからという指摘もあるようですし、物騒な世の中で安心して子供を外で遊ばせることができないといった悲しい現実もあるでしょう。あるいは子供の数自体が減ったという見方もできるかもしれません。いずれにしても、高齢化とともに少子化はわが国の抱える社会的課題のひとつではありますし、それに伴って子供を取り巻く環境も大きく様変わりしていることは確かです。

 ビジネスの視点から見れば、少子化はマーケットの縮小に直結しそうですし、実際のところ縮小を余儀なくされている分野もあります。ただ、その一方で少子化のなかでもビジネスチャンスをしっかりと捉えている企業も少なくありません。

 銀座・博品館で行なわれたイベントに長蛇の列ができているのを見て、「ムシキング」の人気の凄まじさに驚嘆したのは最近のことで、改めてその熱中振りを実感しました。なかにはカードだけに止まらず本物の甲虫類を集めることにまで熱中している子供も多いと聞きます。

 また、世界の遊具・玩具の輸入販売や公園、幼稚園・保育園などに独自のフィロソフィに基づく「理想のあそび場」の提案などを行なっている(株)ボーネルンドでは「あそびのせかい」という新業態の展開を進めており、昨年の横浜・みなとみらいに続いて新神戸にも施設を開設しました。そこには子供を安心して遊ばせることのできる「インドアプレイグラウンド」が用意され、親子が一緒に遊ぶ楽しそうな光景を見ることができます。

 さらには、三井不動産(株)が来年9月の開業を目指して開発を進めている大規模都市開発「(仮称)豊洲プロジェクト」のなかに「キッザニア」がオープンする予定で、ここではテレビ局や銀行、コンビニなど子供サイズで現実そっくりに立ち並ぶ街の中で、大人の社会と同じような仕事をはじめとするいろいろな社会体験ができるユニークな施設として、いまから注目を集めています。

 このほかにも、商業施設やレジャー施設のなかにも、子供を安全に、安心して遊ばせることのできる場を設ける動きが広がってきており、親(保護者)からの支持を集めています。私たちの子供時代とは隔世の感がありますし、こうした環境で育った子供たちがどのような大人に成長していくのか、いまのところ想像がつきません。ですが、「シックスポケッツ」と言われるように、子供に対する投資は惜しまないという層は確実に存在しているようで、それも「モノ」を買い与えるというよりにも、「知育」や「体験」、親子の「コミュニケーション」といった「コト」に対して投資するという傾向が確かに見受けられます。

「エンターテインメントビジネス」の最新号(第10号、9月30日発刊)では、「子供マーケット」をテーマに、上記の事業者側へのインタビューを通じて、その可能性を探ってみました。ぜひご高覧いただければ幸いです。
■編集長だより
月刊レジャー産業資料
月刊プロパティマネジメント
月刊シニアビジネスマーケット
月刊フューネラルビジネス

季刊E+ビジネス
季刊レジャーホテル
季刊カラオケビジネス
アクアウエルネス

Copyright 2005 SOGO UNICOM Co.,ltd. All rights reserved.


[ホームへ戻る] お問合せ:03-3563-0025 E-mail:info@sogo-uni.com