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【2005.05.27】

J-REITが欲しがる物件

 株式市場では相変わらずJ-REIT銘柄への人気が高いようです。一般の株式投資の多くが株価そのものの変動による収益に期待するのに対し、J-REITへの投資は不動産から得られる賃料からの収益に期待することに大きな違いがあります。ビルやマンションの家賃が急に大きく変わるということはありませんから、通常、不動産への投資は、安定した収益を得られるミドルリスクミドルリターンの投資商品と位置づけられます。

 しかし、不動産投資には換金性がむずかしいという大きな問題があります。

 1,000万円のマンションを買って賃貸に回し年間100万円の利益があれば利回りは10%ですが、「毎月の利益はもういいから1,000万円を返して欲しい」といっても、そのときにマンションが1,000万円で売れなければどうしようもありません。それどころか買って1年しか経っていないのにそのマンションが800万円でしか売れなければ利回りどころか、大きな損失を被ってしまいます。

 こうしたことから不動産投資に二の足を踏む人は多かったのですが、J-REITは不動産の所有会社を上場することで、この問題を解消しました。投資家は投資した資金を返して欲しければ株式市場で売却すればいいわけです。その意味では、J-REITの株価はあまり大きく変動しないものなのですが、最近では預入金利のあまりの低さに、J-REITの人気が高まっているのでしょう。

 ところで、こうした仕組からJ-REITでは基本的に購入した物件は長期間保有することになります。しかも、テナントに喜んでもらえるいい状態にしておいて、できるだけ高い賃料を維持しなければなりません。そのためには設備もできるだけ長持ちする物件がいいし、資金は潤沢にありますから適切な修繕や追加投資を行いやすい、簡単に取替えができる仕様の物件が欲しいということになります。

 しかし、残念ながらこうした物件は必ずしも多くはありません。オーナーに十分な資金がない場合など、適切な修繕が行われず物件価値そのものが大きく落ちてしまっていて、J-REITが購入できないということも多いようです。

 月刊プロパティマネジメント6月号では、J-REIT各銘柄の取得戦略を特集として報告しました。

 最近の大きな流れとしては、市場から物件を買うだけでなく、長期で保有しやすいしっかりとした建築の、保守管理しやすい設備の物件を竣工前からデベロッパーなどと協力して開発する「開発型案件」が増えているようです。従来の日本の建物は、どこかで建替えを意識して建築していたような気がしますが、欧米では100年以上の建物も決して珍しくありません。手入れをきちんとして、安定した賃料が得られれば建替えるよりもずっと投資効率がいいわけです。

 今号の特集は、J-REITの視点からまとめましたが、できるだけ長持ちする建物の開発は、今後、不動産金融の視点、また環境問題の視点からも非常に非常に重要になります。その意味で、不動産の開発に携わる方々にも、ぜひお読みいただきたいと考えております。

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